テムザックは、多機能型農業ロボット『雷鳥2号』を開発し、2023年12月15日(金)に宮崎県延岡市の圃場にて走行テスト及び、二番穂の収穫を実施した。来年の収穫は、この雷鳥2号で本格的に行うほか、土を耕すロボットとしても活躍する予定だという。
省力化を追求した“WORKROID農業”で、雷鳥2号の走行テスト&二番穂収穫を実施
『雷鳥2号』は、完全電動で動作し、従来の機械にはない機動的な動作が可能な、比較的小型のロボットだ。耕作放棄が懸念される小規模な圃場や不整形の条件不利農地でも稼働することが期待される。
宮崎県延岡市および北浦農業公社との連携協定(2022年12月締結)に基づき同社が今年稲作を行った圃場において、開発した雷鳥2号に収穫用アタッチメントを搭載して収穫作業を行った。
圃場はすでに9月に稲刈りを実施済であったが、二番穂(*)が生育している状態であったため、今回は雷鳥2号を用いて二番穂の刈り取りを一部行い、収穫作業に活用できることを確認した。
*二番穂:初回収穫後の株から生育した稲。ひこばえ、再生イネ。
『雷鳥2号』(Prototype)は、各種アタッチメントを付け替えることで、耕起、収穫等を完全電動で行うことができる、多機能型農業ロボットである。
搭載したバッテリーによるモーター駆動で走行し、かつ4輪をそれぞれ動作させることにより、前後移動・横移動・その場旋廻といった動きが可能だ。将来的には完全自律走行および群れ化により、さらなる省力化をめざしているとのこと。
製品概要
サイズ:縦2200mm、横1400mm、高さ1300mm(突起物込み1520mm)
重量:約300kg(刈取りアタッチメント含まず)
バッテリー容量:DC48V 20Ah DC24V 20Ah
モーター諸元:出力600Wインホイールモータ、数量4(各車輪に設置し個別に制御)
タイヤサイズ:10インチ、4輪独立操舵可能
テムザックの省力化農業の取り組みについて
テムザックは、2022年12月、ロボットを活用した稲作について延岡市と連携協定を締結し、2023年春には、最先端実践拠点として「アグリ研究所」を開設。
農業経験のない人でも取り組める省力化農業 “WORKROID農業”として、米粉用米の水稲直播栽培を開始し、雑草防除ロボット『雷鳥1号』の開発・投入、ドローンによる播種作業の実施、水管理システムの運用などを実践してきた。
また『雷鳥3号』による害獣追い払いの検証も行っており、米作りに関するあらゆる工程の省力化に取り組んでいる。米作りにかけた労働時間は既存農業と比べ大幅に削減したにもかかわらず、無事稲穂が実り800kg弱(24aの圃場より)収穫することに成功。
これにより「大幅な省力化」「土地に張り付かない農業」などを実現できる可能性を確認することができた。今後は収穫ロボットなども開発し順次投入するとともに、収穫した米を米粉にすることで、6次産業化の仕組みづくりにも挑戦している。
構成/Ara