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日本の食糧危機を救うカギとなるスマート農業の技術と農村の活性化

2024.02.12

令和の時代に食料危機!? 飽食の時代に育った世代としては信じられないような話だが、その危機は確実に忍び寄っている。本当に飢えるのだろうか、その実態を聞いた。

AI任せではなく、人間をサポートする技術の向上が求められます!

山下一仁さんキヤノングローバル戦略
研究所 研究主幹
山下一仁さん
農政アナリスト、経済学者、博士(農学)。農林水産省で農村振興などに尽力。退職後、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、東京大学公共政策大学院非常勤講師を務める。農業政策問題などを取り上げた著書も多数。

山下さんのトレンド予測2024

日本の小規模農場に適したスマート農業技術が進化しそう

日本は小規模農場が多く、大規模栽培がしにくい。この特殊な環境に最適化したスマート農業の技術が生産量を増やすカギになる。

スマート農業

日本の食の危機は流通が鍵を握っている

 パンデミックで世界から閉ざされ、続くウクライナ紛争で輸入に頼り切っている日本の流通の脆弱性が浮き彫りになった。トイレットペーパーや卵など、かつてないほどモノ不足が問題視されるようになった昨今、特に警鐘を鳴らすべきは食料不足問題だとキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁さんは語気を強める。

「先進国では食料費のうち農産物に支払っているのは1割ほどで、あとは加工・流通・外食費。輸入穀物の価格が高騰しても食料危機は起きません。しかし、穀物を輸入に依存する日本では、物流が止まると大変なことになります」

 輸入に支障が出るのは、どんな時なのだろうか。

「最大の懸念は台湾有事です。もし勃発したら、まず日本の米軍基地が狙われます。そうなれば日本への輸入は全面ストップ。食料自給率がたったの37%しかない日本は、一気に飢餓状態に陥いることが確実です。食料危機の中でも、これが一番ひどい想定シナリオですが、ウクライナ侵攻だって誰も予想しなかった。台湾有事も〝想定外〟と言い切れません」

 何ともゾッとする話だが、そもそも日本はなぜ食料自給率が低いのか。田んぼもあるし、世界に誇る黒毛和牛や豊富な水産物もある。食糧は潤沢な印象もあるが……。

「まったく足りていないんです。本来〝食料安全保障〟とは、海外から輸入できなくなった時に、どれだけ食料を自国で生産し、国民の生活を維持できるかという問題です。日本の畜産はエサの穀物をほぼ輸入に頼っているため、流通がストップしたら即アウト。野菜も種を輸入しているので生産できない。そしてガソリンがなければ漁に出ることもできません」

農業

 では、唯一ほぼ100%を自国で賄っている米はどうだろうか。

「農業に関心のない人でも〝減反政策〟という言葉を知っている人は多いでしょう。1960年代後半、農家のために米価を上げたため米の供給が過剰になったので、生産量を減らして米の単価を上げ、農家の収益を上げようとした政策です。減反は生産量と需要量を一致させ、余分な生産を許さない。天候不順や戦争、災害など、有事の時を考慮していないんです。こんな生産量を下げる政策をとったのは、先進国の中でも日本だけですよ」

 世界の米の生産量の推移を見れば一目瞭然。日本が特異な政策をとっていることがわかるだろう。

「同じように、EUでも穀物の生産は消費を上回りましたが、日本と違い補助金で生産を減少させるのではなく、輸出を増やすために使って、生産も農地も守りました」

 平常時に余った分は輸出、有事には国内に回すという考えは非常にまっとうに思える。生産量を確保し、収益が安定すれば農業を始める若い世代も増え、後継者不足という問題も解決するだろう。

「日本の農家の高齢化や耕作放棄が止まらないのは、農業収益の低下が大きな原因です」

農村の活性化、農業の改革が飢える未来を回避する

 政府は、国内で食料が不足する事態に陥った場合、花農家に米やイモを作るよう命令したり指示したりできる法案を計画しており、来年の法改正を目指している。しかし、そもそも農地が少なければ、国民全員の食料を賄うことなど到底不可能な話だ。有事の際に〝飢えない〟ためにも日本の食を支える米、その農家の構造改革と農村の活性化が急務といえよう。

 農業の改革で注目のジャンルはスマート農業が挙げられる。スマート農業とは、ロボットやAI、IoTなどの先端技術を活用し、超省力・高品質生産を目指す新たな農業の取り組みだ。人工衛星や農業用ドローンで広大な農地を管理する、自動走行する農業機械を活用するなどの研究が進んでいる。

「ただし、農作物は生き物、生命です。人の命を預かる医者がAI任せで治療しないように、農業も人の目、経験、感覚などが必要です。AI任せではなく、人間をサポートするような技術が年々伸びてきている印象がありますね」

 食料危機の対策は様々なジャンルで始まっている。我々も食の現場に関心を持ち、飢える未来からの脱去を模索したい。

ドローン

■ 米生産量の推移(1961年=100)

米生産量の推移出所:FAOSTATより山下一仁さん作成
米の生産量は1961年以降、世界全体で3.5倍に。そんな中、他国に反して日本だけが右肩下がり。一方、中国が生産を大幅に拡大しているのが見て取れる。

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