Z世代よりさらに若いα世代はいったいどんなことに興味があって、親世代はどんな子育てをしていけばいいのか? ここでは、少女向けコミック誌『ちゃお』(小社刊)の萩原編集長と、現役のカリスマ保育士・てぃ先生の対談が実現! 日本の未来を担うα世代のリアルを語り尽くした。
α世代の子たちは自分磨き大好きですね
『ちゃお』編集長
萩原綾乃さん
1994年小学館に入社し、『Sho-Comi』に配属。以来、小学生女児から高校生くらいまでの10代の女の子向け漫画畑一筋で、自身も子供の頃から大の少女漫画好き。2022年10月に『ちゃお』編集長に就任している。
萩原編集長のトレンド予測2024
α世代は自分磨き大好き!安心安全な美容グッズに注目
α世代親のコア年齢層は30代~40代。子供のメイクや除毛に寛容で、良きアイテムは積極的に購入。肌に優しい豆乳成分の除毛クリームや、水で落とせる水性のネイルが流行すると予想。
鈴木ハーブ研究所『パイナップル豆乳除毛クリーム』3030円
サンソウゴウ『Otogi Nail ベーシックシリーズ』1870円〜
今、α世代で話題になっているもの
2023年7月にベイブレードの新シリーズ『BEYBLADE X』が発売され、男子の人気アイテムに。ほか2024年3月にピーチ姫が主役のゲーム『プリンセスピーチ Showtime!』が登場予定だ。
©Nintendo
難しい世代だが耳を傾けて尊重を!!
萩原 てぃ先生は保育士になってどのくらいですか?
てぃ先生 今年で15年になります。
萩原 ということは、2010年以降に誕生したα世代と、ちょうどかぶっているわけですね。
てぃ先生 そうですね。今はお店屋さんごっこをしても、おもちゃのお金なんてあまり使いません。キャッシュレス化が進んで、カードをピッてやっている(笑)。
萩原 学年誌の付録でも、今はバーコードを読む機械とかを出さないと喜んでもらえないそうですよ。
てぃ先生 もちろん童謡が好きという子供も多い一方で、近年はアイドルの曲を歌って踊る子が増えてきたとは感じますね。また一昔前までは大人と子供の流行って明らかに線引きがされていたように思いますが、近年はその垣根があまりないような気もします。
萩原 確かに! 親子でコンサートに行ったり、推し活をしているケースはすごく多いです。その一方で、男の子は今でも最新のベイブレードに夢中になってくれるので、興味があるものがわかりやすい。でも女の子って、そう単純ではなくて、とにかくバリエーションが欲しいんです。
てぃ先生 〝イロチ〟ですね(笑)。
萩原 そう。なので今後はお友達とファッションを合わせた〝ニコイチ〟とか〝サンコイチ〟アイテムがもっと流行ると思います。
てぃ先生 そういえばうちの保育園の年長さんで「今年のクリスマスプレゼントはコフレが欲しい」という子がいました。しかもディオールがいいって(笑)。
萩原 一昔前は子供が化粧したら怒られたじゃないですか。でも今は土日だけならメイクしてもOKだし、水で取れるジェルネイルを買ってあげたりします。企業もそういった子供向けのグッズを積極的に展開していますね。
てぃ先生 でも子供ってそういうのは見向きもせず、大人が使っている本格的なものを欲しがります。
萩原 わかります! ディオールの話じゃないけど、〝小学生向け〟って打ち出すとあまり反応してくれない。それをうまく隠しながら、子供に安心安全な商品を提供する必要があるんでしょうね。
てぃ先生 子供向けのデザインじゃダメ。あの子たちは大人が使っているものがいいんです。
萩原 親はお金がかかりますね。
てぃ先生 商品情報も一昔前と比較すると、考えられないほど豊富。それを追いかけるだけでもα世代ってすごく忙しいと思う。たぶん僕が子供の頃より100倍ぐらい忙しいんじゃないかな。
萩原 習い事や塾もありますしね。
てぃ先生 暇つぶしさえも今の子たちは忙しそうにしている。最近の子たちって信号が変わるまでの間も何かの暇潰しをしているそうですよ。数十秒が待てないんです。
萩原 わかります。α世代って漫画のタイトルでも「転生したら何とかになって何とかだった」ぐらいまでの情報が必要なんです。情報がないと本が読めないというか。
てぃ先生 それ実は保育園の絵本でもたまに感じます。最近の子たちは、長いお話より短いお話を好んでいるな。ていう印象があります。
萩原 出版社としては厳しいです。
てぃ先生 難しい世代だけど、我々としてはその子のことを理解する必要がありますよね。「何言っているの?」と思わずに尊重する。それがいつの時代も重要なことなのだと思います。