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あなたは「アート」という言葉を忘れて、鑑賞することができますか?

2024.01.11

アイデアノミカタ

私たちが日常的にふれる「アート」という言葉を忘れて、アートという存在を見つめ直すことができたなら、それは未知の領域への冒険のはじまりかもしれません。

もしも審美眼を持って、その深遠な表現の奥底に迫ることができたなら、どんな世界が広がっているのでしょうか。

そこで今回のアイデアノミカタは、人間の目の特性、偉大なアート作品とアーティスト、アートの見方とは何か、目利きの力などを考察しながら、それでも「わからないから面白い」アートの世界を深掘りしていきたいと思います。

人間の目の特徴と絵画の遠近法

人間(サルも含む)には、他の動物と決定的に異なる部位があります。それは2つの目が顔の正面に付いていることです。この特性により、人間は立体視を獲得しています。

これは右目と左目によって視差があり、わずかなズレを脳が処理することで空間や立体を認知しているということです。

具体的には、近くの空間と遠くの空間について、私たちは異なる認知方法で空間を眺めています。

これが人間の目と他の動物との違いです。

そして、近代絵画まで採用されてきた遠近法と人間の目の大きな違いでもあるのです。

たとえば風景画の場合、遠近法を使ったとしても、奥行きには消失点がありますが、これは両目による立体視とは見方が異なります。

つまり、主に近代絵画を支えた遠近法という技法は、私たちが見えている世界の断片に過ぎない、ということになるのです。

人間は2つの目で空間を把握しますが、2つの目によって別々に見えている世界を一つの空間として合成しています。

だからこそ絵画は遠近法の世界にとどまらず、印象派の世界へと進んで行ったのです。

セザンヌのりんごとオレンジ

印象派の画家セザンヌの「りんごとオレンジのある静物」という作品があります。

そこに描かれているのは、りんご、オレンジ、食器、布、というシンプルな構成です。

ところが作品の視点は人間が近くの光景のなかで見える遠近法で構成されているため、必然的に多視点でモノとモノの関係性を描いた作品となっているのです。

またセザンヌ作品には、ダブルイメージという特徴があります。

たとえば絵の右上にある盛り上がった布の描き方は、まるで山を想起させる力強さを持っており、こうした表現は印象派以前の絵画にはない、天才セザンヌの視点を感じさせる傑作です。

なにより、セザンヌは固定概念に縛られない両眼視で見た世界を描く眼と技術を持っており、

セザンヌ以前、以後に分けられるほどの新たな視座に満ちた作品といえるでしょう。

セザンヌの眼には、どんな世界が映っていたのかと、どこまでも想像が広がっていきます。

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