12月20日、アメリカで大きな「事件」が起こった。
2017年に創業し、1年足らずでユニコーン企業に成長した電動キックボードシェアサービス『Bird』が、アメリカ連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請したのだ。破産申請である。Birdのサービス提供は今後も続けられるとはいえ、やはりこれは衝撃的なニュースに違いない。
このBirdは日本でもライセンス契約を結んだサービスが存在するが、その大元が実に呆気ない最期を迎えたということでテクノロジーメディアがこぞって顛末を取り上げている。が、実はモビリティーのシェアサービスの破綻は珍しいことでもなく、過去にも同様の事例が起こっている。
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苦戦するシェアサービス
ここでまず断っておきたいのは、日本でBirdの電動キックボードサービスを展開しているBRJ社と今回チャプター11の適用を申請したBird Global社との資本関係はない。
あくまでもBRJはBirdとのライセンス契約の下で日本でのオペレーションを行っているに過ぎず、故に日本国内のBirdの電動キックボードは今日も無事に公道を走っている。
Bird Globalに連なるBirdは、アメリカでもヨーロッパでも苦戦を強いられていた。フランス・パリでは2023年に入り電動キックボードのシェアサービスが禁止されたが、アメリカ・サンフランシスコでも車両の駐車違反に高額の罰金が設定されているため、シェアサービス各社は苦戦を強いられていた。Birdは2023年2月にサンフランシスコから撤退している。
「CO2削減の有効策」として絶賛されていた電動キックボードシェアサービスは、都市の景観を損ねるという弊害ももたらしていた。
各社は収益を上げるため、矢継ぎ早に車両数を増やす。しかもそれが「どこでも乗り捨て可能」ということにすると、街はあっという間に放置車両だらけになってしまう。上述のフランスでの電動キックボードシェアサービス禁止は、結局はその問題から始まっているのだ。