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日常で使われることが多い言葉でも、思いもよらない意味や使われ方があることは珍しくない。「精進する」も、そんな言葉の一つだ。もともと仏教用語として使われていた言葉だが、現代では別の意味で使われることが多い。
本記事では、「精進する」の正しい読み方と言葉の意味、「邁進する」との違いを解説する。
「精進する」とは
まずは、「精進する」の読み方と意味から見ていこう。使用シーンや例文もぜひ参考にしてほしい。
■読み方は「しょうじんする」
「精進する」の正しい読み方は「しょうじんする」。
用いられている漢字「精」は音読みで「せい」「しょう」、訓読みで「しら(げる)」「くわ(しい)」「もののけ」で、よく使われている熟語は「精米(せいまい)」「精通(せいつう)」などがある。
一方、「進」の音読みは「しん」、訓読みは「すす(む)」「すす(める)」で、「進行(しんこう)」「昇進(しょうしん)」などの表現が使われることが多い。
■意味は「一つのことに精神を集中し懸命に励むこと」
精進するは、「一つのことに精神を集中し懸命に励むこと」「一定期間、行ないを慎み身を清めること」「肉食を断って、菜食にすること」を意味する。
もともと仏教用語として使われていた際の意味、「雑念を取り払って仏道修行に励むこと」を表すこともある。漢字単体での「精」は「米などを白くすること」「まじりけがなく清らかであること」「細かく詳しい様子であること」の意味を持つ。「進」は、「前に進むこと」「上の段階へ昇ること」「向上すること」「取るに足りないこと」を表現する。
■「邁進する」との違い
「邁進する」は「恐れることなく前に突き進むこと」を指す言葉で、「学問に邁進する」「勇往邁進する」など、ポジティブに前に進むことを表す場面で使われる。
一方、「精進する」は精神を集中させ一つのことに励むことや、行いを慎み身を清めることを意味する言葉であるため、心配せずに進むことを表す「邁進する」とは意味が異なる言葉だ。
■「精進する」の使用シーン
精進するは、一つのことに集中して取り組むことや行いを慎んで身を清めることを指す場面で使われる表現だ。
【例文】
「会社の利益向上のため、来年も精進する所存です」
「今年はより仕事に精進して参ります」
「昨年はたいへんお世話になりましたが、今年も精進しますのでどうぞよろしくお願いいたします」
「ご助言いただいた恩を忘れず、日々精進すると決めた」
「精進する」の類語は?
次に、精進すると似たような意味を持つ、ビジネスでも使える言い換え表現を紹介する。語いの幅を広げるのにぜひ役立ててほしい。
■努力(どりょく)
特定の目的のために力を尽くして励むことを指す。
【例文】
「彼の勉強に励む姿を見ると、努力が実るよう祈るばかりだ」
「たゆまず努力する彼女の姿勢に胸を打たれた」
「友人は、一家揃っての努力家だ」
「継続して努力できる人間は一握りだ」
■注力(ちゅうりょく)
物事に力を尽くすこと、力を入れることを意味する表現。
【例文】
「当時、社長は会社の不良債権解消に注力したそうだ」
「現在、競合他者はコンサルに注力している」
「受験生は今こそ勉強に注力すべきだ」
「クレーム処理に注力してほしいと上司から頼まれた」
■研鑽(けんさん)
学問や研究などを深く究めることを表す言葉だ。
【例文】
「彼女は今後も自己研鑽に努めるだろう」
「日夜問わず研鑽を積むのが彼の生き様だ」
「私は自ら研鑽して何事も習得してきた」
「最近の若者は、自己研鑽するのに忙しいようだ」
■勤しむ(いそしむ)
熱心に精を出すこと、勤めて励むことを指す表現。
【例文】
「祖父は昔から勉学に勤しむ人だった」
「彼はサークル活動に勤しんでいた」
「先輩の仕事に勤しむ姿に圧倒された」
「週末はピアノの練習に勤しんでいる」
「精進する」の英語表現
最後に、英語での言い換え表現と例文を紹介する。英語を使う機会が多い場合はチェックしておこう。
■devote oneself
英語で「精進する」を意味する表現で、直訳は「身を捧げる」。
【例文】
“He will someday devote himself based on my advice.”
(彼は私のアドバイスをもとに精進するだろう)
“I will devote myself in this department for the future.”
(私は将来のために今はこの部署で精進する)
■do one’s best
自分のベストを尽くすこと、精進することを指す言葉で、「try one’s best」とも表す。
【例文】
“I will do my best to lose weight.”
(私は痩せるために自分のベストを尽くす)
“She will do her best to break Japan’s all-time record.”
(彼女は日本の過去最高記録を塗り替えるために、自分のベストを尽くすだろう)
■not ley 〜 down
精進することを表す英語表現。直訳である「〜をがっかりさせない」から派生して使われるようになった。
【例文】
“I won’t let my father down.”
(私は父をがっかりさせないよう精進する)
“She won’t let him down.”
(彼女は彼をがっかりさせないよう努めるつもりだ)
■keep work hard
精進することを表す言葉で、直訳は「一生懸命働き続けること」を意味する。「keep」を用いることで、「より一層精進すること」を表している。
【例文】
“He kept work hard to improve sales performance.”
(彼は売上成績向上のために一生懸命働き続けた)
“It seems that my grandfather kept work hard all his life.”
(祖父は一生涯一生懸命働き続けたそうだ)
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文/編集部