今や所有率100%を超える【羽毛布団】の知識
ある調査によると、日本人1人あたりの羽毛布団所有率は100%越え。一世帯で複数枚所有している場合も珍しくない。だがきちんとした知識を持たず、価格だけでなんとなく購入している人も少なくない。良質な眠りを維持するために、基礎知識をきちんと知っておきたい。
Q3
羽毛ふとんの詰められている羽毛には水鳥の羽毛が使われるが、最も保温性が高いのはどれ?
(1) ダック
(2) グース
(3) マザーグース
<正解>(3)マザーグース
ダックはアヒル、グースはガチョウで、さらに体が大きいのがマザーグース(繁殖用として育てられたガチョウの親鳥)。体が大きくなるほどダウンボール(胸に密生したボール状のふわふわの綿毛)が大きくなり、空気を含む量=かさ高があたたかさに影響するため、少ない羽毛の量でも軽やかであたたかな羽毛ふとんになる。マザーグースは若鳥と比べて体も大きく羽毛も大きいため、保温性に優れている。
「グースとダックとでは保温性が異なりますが、その違いは光学顕微鏡で羽枝をみないとわかりません。そこで西川では光学顕微鏡を使って検査をしてから、精製しています。西川の特別な羽毛ふとん『nishikawa DOWN』では選び抜かれ羽毛を0.001mm未満の泡『ウルトラファインバブル』で丁寧に洗浄しています。」(西川株式会社 宮本氏)
▲グースダウンを使用し、羽毛の片寄りづらい西川独自のユニステークキルト加工で仕上げているためふわりと軽くあたたかい『nishikawa DOWN』の「羽毛掛けふとんKA03505001」(税込み55,000円)
Q4
羽毛ふとんのラベルにはダウンとフェザーの比率が表示されているが、冬の掛けふとんに適しているのは
(1) ダウンの比率が高い羽毛ふとん
(2) ダウンの比率が少ない羽毛ふとん
<正解>(1)ダウンの比率が高い羽毛ふとん
「ダウンとは『芯の無いダウンボール』、フェザーとは『芯のある羽根』を指します。空気をたっぷり含むことができるダウン混合率が高い方が、軽くて暖かい、冬にはおすすめの羽毛ふとんとなります」(西川株式会社 宮本氏)
Q5
羽毛ふとんを使用する時、毛布を掛ける順番で正しいのは?
(1) 体温を逃がさないため、羽毛ふとんの「下」に掛ける
(2) 羽毛ふとんの熱を逃がさないために「上」に掛ける
<正解>どちらも正解
「毛布の肌触り、風合いにこだわって商品を作っていますので、基本的には体に一番近い部分、羽毛ふとんの下にかけていただくことをおすすめしています。ですが、どちらでも温かく眠ることが出来ますので、お好きな方でご使用いただいて大丈夫です。
冬におすすめの毛布は、綿・ウール・カシミヤなどの天然繊維の毛布です。吸湿性が高いため羽毛ふとんの下にして肌に直接触れるようにして使うことで、汗を吸って快適な状態を保つことができます。特にウールには湿気を熱に変える性質があるので、羽毛ふとんの下に掛けるとより温かく眠れます」(西川株式会社 宮本氏)。
羽毛ふとんをより長持ちさせるための、メンテナンスの基礎知識
羽毛ふとんの寿命は約10年といわれているが、メンテナンス次第でさらに長く使い続けることができる。お気に入りの羽毛ふとんを長持ちさせるためのメンテナンスの知識をチェック。
Q6
ふとんをフカフカにするための「天日干し」。羽毛ふとんにも必須?
(1) 湿気を取るために必要
(2) 紫外線で羽毛が傷むので不要。
<正解>(1)
羽毛ふとんは、羽毛の中に含まれる空気によって保温する仕組みだが、使い続けるとしだいに湿気がたまっていく。そこで月に1~2回、天気のよい乾燥した日に、直射日光のあたらないところで、カバーをかけたまま陰干しするのがおすすめ。片面1時間くらい、両面干すのを目安に。ふとん叩きで叩くと側生地や羽毛が傷むので、外側のほこりをはらうために撫でる程度にするのも、長持ちさせるコツ。
「干せない時の日常ケアとして、朝起きた時に羽毛ふとんを四つ折りにし、手で空気を押し出すようにすると中の湿気が逃げて新しい空気が入ってきます。羽毛ふとんの中に空気を入れるように、ふわっと全体を広げるだけでも違いがでますので、ぜひ毎日のベッドメイクに取り入れてください」(西川株式会社 宮本氏)
Q7
羽毛ふとんは、水洗いできる?
(1) 専用のコインランドリーやクリーニング店でなら洗える
(2) 基本的にできない
<正解>…(2)
肌掛けのような薄手の物であれば、ものによっては水洗いできるものもあるが、厚手の羽毛布団は基本的には洗えないと考えたほうがいい。部分的に汚れてしまった場合は、濡れた布ですぐに拭き取ったり、つまみ洗いなどをしたりして、その後に十分に乾燥させるのがおすすめ。
「メーカーにより違うので、羽毛ふとんについているタグを確認することが大切。水洗いをすると、臭いが付いたり羽毛が片寄ってかさ高が減ったりして元の状態に戻らない事例が多いため、西川では基本的には、ドライクリーニングのみOKの表記をしています。コインランドリーで洗うことのできる羽毛ふとんも販売していますので、羽毛ふとんを洗いたい方は洗える商品を選ぶのもおすすめ」(西川株式会社 宮本氏)
Q8
羽毛ふとんの寿命は?
(1) 5年
(2) 10年
(3) 20年
<正解>(2)10年
羽毛は長く使っているうちに、かさが減って保温性も損なわれていく。また長く使い続けると、ふとんがわも傷んでくるため、使用する人や、使用する環境により異なるが、一般的に寿命は10年前後といわれている。
「羽毛ふとんがへたっていて掛けているのに寒かったり、においが気になったり、カバーを外した時に羽毛の飛び出しが目立つようになったら、買い替えやリフォームを検討したほうがよいでしょう」(西川株式会社 宮本氏)
Q9
古くなった羽毛ふとんは、リフォームできる?
(1) においや汚れがつくので、できない
(2) 適切な対応をすれば可能
<正解>(2)適切な対応をすれば可能
寝具専門店やクリーニング店では、中の素材の詰め替えや生地のクリーニングなどの、リフォームを取り扱っているお店もある。
「処分された羽毛ふとんの中の羽毛を洗浄して新しい製品に生まれ変わらせる『グリーンダウンプロジェクト』に参画する店舗も増えています。思い出や愛着のある羽毛ふとんでしたら中の羽毛を洗浄してリサイクルし、側生地を新しく仕立て直すことで、長く使い続けることができます」(西川株式会社 宮本氏)
▲リサイクル前のダウン(右)とリサイクル後のダウン(左)。汚れが落ちてかさ高が増しているのがわかる
取材・文/桑原恵美子
取材協力/西川株式会社
関連サイト
ねむりの相談所
グリーンダウンプロジェクト