“おひとりさま”のサイエンス:孤独かどうかは気の持ちよう!?
社会生活を送るということは程度の差こそあれ人的交流を伴うわけだが、なるべく一人でいたいほうか、それとも人に囲まれていたいほうなのかは人それぞれである。
どちらの傾向にあるにせよ、あまり極端に振れることなくバランスをとることが肝要でありそうだが、最新の研究ではそのバランスについても、まったく人それぞれであることが報告されていて興味深い。
“リモートワーク”は続けてもいい?
コロナ禍によって良くも悪しくも我々の働き方が変わったことは間違いない。
業種や職種にもよるがいわゆる“リモートワーク”が大規模に推し進められたわけだが、これは結果的に一種の“社会実験”の様相を呈し、これまでには検証しようがなかった“実験結果”が浮き彫りになってきた。
出社せずにスタッフ同士がお互いに顔を合わせる機会が減ることで、チームワークや業務連絡に支障を及ぼすとの想定がその通りになったケースもあれば、意外にもむしろ以前よりも業務が捗る個人や組織が存在し得ることもわかってきたのである。
コロナ禍が終わると徐々にリモートワークから従来の出社勤務に戻していった組織も多いとは思われるが、一部には戻す必要のないケースもあり得るわけである。
それでも“バランス”を考えれば週に何日かは打ち合わせや会議のために出社をするのが相応しいようにも思えるが、特に業務が滞っていないのであればこの先も完全リモートワークでも支障はないことになる。
別の懸念としてはリモートワークで一人で業務を行うことで孤独に追い込まれ、メンタルに悪影響を及ぼすのではないかとの指摘もあるだろう。業務に支障はなかったとしても、たまには出社して他のスタッフと直接会うことも確かに意義はありそうだ。
とすればやはり何事も“バランス”が求められているということなのだろうか。しかし最新の研究では意外にも孤独と社交的な時間の間に最適なバランスは存在しないことが報告されているのだ。
ともあれコロナ禍による強制的な“ステイホーム”を体験した我々だが、この時期に余儀なくされた“孤独”の問題にも注目が集まるようにもなった。
英レディング大学をはじめとする合同研究チームが2023年12月に「Scientific Reports」で発表した研究では、一人で過ごす時間と精神的健康の間の複雑な関係を明らかにしている。