三井住友DSアセットマネジメントはこのほど、同社チーフマーケットストラテジストの市川雅浩氏がその時々の市場動向を解説する「市川レポート」の最新版として、「2024年のドル円相場見通し」と題したマーケットレポートを公開した。レポートの詳細は以下の通り。
来年も注目の日米金融政策だが、FRBの利下げは5月、日銀のマイナス金利解除は4月を予想
2024年のドル円相場を見通す上では、引き続き日米金融政策が重要な材料と考える。
まず、米国の金融政策について、三井住友DSアセットマネジメントは米連邦準備制度理事会(FRB)が2024年4月30日、5月1日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)において25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを開始するとみている。
その後は7月30日、31日開催のFOMCと、11月6日、7日開催のFOMCで25bpずつの利下げが行われると予想する。
次に、日本の金融政策について、三井住友DSアセットマネジメントは日銀が3月中旬に迎える春季生活闘争(春闘)の集中回答日における賃上げ傾向の継続を確認した後、4月25日、26日の金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃と、マイナス金利の解除を決定するとみている。
また、マイナス金利解除後は当面、ゼロ金利政策が続く可能性が高いと考えている。
10年国債利回りは米国で低下傾向も日本で一進一退、ドル安・円高の進行は緩やかなものに
三井住友DSアセットマネジメントは、前述の日米金融政策の見通しを踏まえ、2024年の米10年国債利回りは緩やかに低下し、3月末の着地は3.8%、6月末は3.7%、9月末は3.6%、12月末は3.5%を予想している。
これに対し、日本の10年国債利回りはマイナス金利解除への警戒と米国などの長期金利低下の影響により、一進一退が続き、3月末と6月末の着地は0.70%、9月末と12月末は0.65%を見込んでいる。
このように、米国の長期金利が緩やかに低下する一方、日本の長期金利は一進一退が続くとの見通しのもとでは、日米の長期金利差はそれほど大きく縮小しない公算が大きいということになる(図表1)。
この点を勘案すると、2024年のドル円は、緩やかなペースでのドル安・円高の進行が予想され、三井住友DSアセットマネジメントは3月末の着地を141円、6月末は140円、9月末は139円、12月末は138円を予想している(図表1)。