【最終選考会レポート】市場を席巻した商品を総ざらい!4人が考えるヒットの背景
読者投票をもとにした編集部員による1次選考で、各部門3点ずつ部門賞を選出。最終選考会では、選考委員4人が各部門の金賞、そして大賞を決定した。選考委員による評価の一部始終を公開!
DIMEトレンド大賞受賞商品も詳しく解説!今年のトレンドの総復習と来年の予習もできる超お買い得な一冊!
chocoZAPの本当の狙いは〝街の寄り合い所〟づくり!?
2023年11月上旬、最終選考会を小学館にて開催。「ライフスタイル部門」「IT・ビジネス部門」「家電部門」「食品部門」「日用品部門」「エンタメ・カルチャー部門」の金賞を選出した。
*
石﨑 「ライフスタイル部門」から選考したいと思います。部門賞は『chocoZAP』『VARON』『エスコンフィールド』。この中から金賞を決めていきます。
ヒャダイン 僕は『chocoZAP』ですね。24時間・365日通い放題で月額3278円と、ジムの利用料としては安価で、しかも、普段着のまま通えることも新鮮でした。
山崎 着替えがいらないのは魅力ですね。会社帰りにパンプスで入れるジムはありませんでしたから。店舗も一気に増えましたね。
入山 2023年の初め、ライザップの瀬戸社長に、「夏には『エニタイムフィットネス』(※1)を抜きます」と聞いた時は、到底信じられませんでしたが、会員数で本当に抜いてしまうとは(笑)。無人化で人手がいらないので、1日に3~4軒開店した時期もあったそうです。
石﨑 すべてアプリで完結することで、「無人=不安」から「無人=気軽」に置き換えたことも集客につながりました。
入山 〝街の寄り合い所〟にしたいというのが『chocoZAP』の戦略。激安で運動を習慣化するという狙いは、ライザップと真逆の発想です。ライザップの成功体験を引きずることなく経営の新たな柱を築きました。
石﨑 寄り合い所にしたいから、セルフエステやコワーキングスペースも追加したわけですね。
ヒャダイン 正直、エステや脱毛を始めた時、それはいらないのではと思いましたが(笑)。サントリーウエルネスの『VARON』は、なじみのあるサントリーの商品で、シルバーと黒のおしゃれなデザインが、「男がスキンケアなんて」と考える40代以上の男性に響いたと思います。
(※1)米国発祥の24時間年中無休のフィットネスジム・フランチャイズ。日本国内では全都道府県に出店し、1100店舗以上を展開。
ヒットを生む企業は成功体験を引きずらない
入山 ただ、トレンド大賞の選考として、これをサントリーではなく、例えば資生堂が作ったとして、目新しさがあるかが評価軸になるかと。
ヒャダイン おっしゃるとおりですね。対する『エスコンフィールド』は、うまくいった街づくりの見本。ほかも見習うべきだとは思いました。
山崎 観光、ショッピング、食事をひとまとめにして、野球ファン以外も球場に足を運べる楽しみを用意したのはとてもすてきですね。
入山 球場を中心に街をつくる発想はすばらしく、未来型です。
石﨑 いずれも、その分野の〝ガチ勢以外〟を取り込むことで、ヒットに結びつけたと言えそうですね。
ChatGPTは圧倒的なテクノロジーで時代を変えた
入山 「IT・ビジネス部門」は、順当に考えて、『ChatGPT』を推さない理由はないですよね。
山崎 レポートの書き方や会社の会議資料の作り方が変わるなど、『ChatGPT』の社会全体への影響力も大きかったですね。
ヒャダイン ディープラーニングが猛スピードで進化していますが、どんどん精度が上がると、世の中はいったいどうなるのか。僕は真面目に恐れています。今後は世界的に凝視しないと、ターミネーターの世界が待ったなしでやってきますね。
石﨑 スマホでは『Google Pixel 7a』もヒットしました。私もユーザーで性能面は非常に満足していますが、市場調査を見る限り、Androidユーザーがほかの端末から買い替えているだけで、『iPhone』のシェアを奪っているわけではないんです。もうひとがんばり欲しかった。
入山 『Google Pixel 7a』のよさはコスパがよくて高性能な点。『Pokémon Sleep』は、スリープテック系の商品ですね。このタイプの商品は長続きしないイメージがあるので、継続利用できるかがポイントになりそうです。
石﨑 これまでのスリープテック系ガジェットと異なり、〝睡眠のエンタメ化〟という視点がおもしろく、ポケモンキャラが出てくる楽しさもあり、私は続いています。睡眠がテーマのゲームだからこそ、ユーザーがあえて〝やりこめない〟バランスを作ったと取材で聞きました。
ヒャダイン ポケモン好きを魅了する機能が採用されていますが、録音された自分の寝言を聞いた時にショックでやめてしまいました(笑)。