母親と子どもの誕生月が同じことが多いのはなぜ?
フランスとスペインの1000万件以上の分娩データを解析した結果、親と子などの肉親の誕生月は特定の月に集中し、また、親と子の間だけでなくきょうだい間でも誕生月が同じケースは、想定されるよりも多いことが明らかになった。
アルカラ大学(スペイン)の疫学者であるAdela Recio Alcaide氏らによるこの研究の詳細は、「Population Studies」に2023年12月13日掲載された。
Alcaide氏らは、スペインの1980〜1983年(210万1,497件)と2016〜2019年(151万817件)の全出生データと、フランスの2000〜2003年(322万1,741件)と2010〜2013年(319万9,344件)の全出生データを収集して分析した。出生データには、親や最も年齢が近いきょうだいのデータも含まれていた。
どこの国にも、1年のうちの特定の時期に出生数が増える傾向がある。これは「出生の季節性」と呼ばれる。
しかし、Alcaide氏らが母親の誕生月に基づいてデータをグループ化したところ、予想されたパターンとは異なるパターンが示された。
例えば、1月生まれの母親の子どもは1月生まれが多く、2月生まれの母親の子どもは2月生まれが多いという具合に、母親と子どもの誕生月が同じである傾向が認められたのだ。
スペインとフランスの両国において、母親と子どもの誕生月が同じケースは、母親の誕生月ごとの総出生数に基づいて予想される出生数よりも4.6%多かった。
また、父親と子どもの誕生月が同じケースは2.0%、きょうだい間で誕生月が同じケースは12.1%、父親と母親の誕生月が同じケースは4.4%、それぞれ予想よりも多いことも示された。
Alcaide氏は、「なぜ、家族は同じ季節に生まれる確率が高いのだろうか。その答えとして、社会的な理由と生物学的な理由の両方が考えられると思われる」と話す。
例えば、経歴が似ている人たちはカップルになりやすく、また、同じ時期に子どもを持つ傾向があるのだという。実際に、スペインでは、高学歴の女性は、高い学歴を持たない女性に比べて春に出産する確率が高いと研究グループは説明する。
そして、その女性の子どもが女の子である場合、その子も春生まれで、母親と同じように高いレベルの教育を受け、将来的には春に出産する可能性が高いのだという。
研究グループはさらに、母親と娘は、生殖能力に影響を与え得る環境要因への曝露も共有していると指摘する。例えば、食料の供給量、日光曝露、気温や湿度などがそうした要因に該当する。
こうしたことを踏まえ、論文の共著者である米ニューヨーク市立大学の社会疫学者Luisa Borrell氏は、「生物学的要因への曝露レベルは社会集団によりさまざまであることを考慮すると、出産の季節性に影響することが知られている生物学的要因は、社会人口統計学的特性にも左右されていると言えるだろう」と話している。(HealthDay News 2023年12月14日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00324728.2023.2272983
構成/DIME編集部