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国立環境研究所・五箇公一氏に聞く、凶暴化する自然の猛威に対して人類が存続するために必要なこと

2024.01.02

一極集中の解消がエネルギー問題の解決にもつながる

このコロナ禍とウクライナ紛争(さらには最近の中東紛争)によってグローバルサプライチェーンに過度に依存している現代社会がいかにリスキーであるか、すでに多くの人が認識されているのではないでしょうか。国際貿易が遮断されれば、肉も、原油も手に入りません。特に大都市・東京は大混乱に陥るでしょう。でも分散化して、地域レベルで食料を確保し、エネルギーを得ることが可能な体制を整えておけば、コロナ禍のような国際的な災禍が生じたときでも、人々は安定した社会を維持することができる可能性が高くなると期待されます。

エネルギーに関しては地下資源ゼロのこの国では、今後自然再生エネルギーが頼みの綱です。再生エネルギーシステムについても昨今ではメガソーラー設備や大規模風力発電の建設に伴う自然破壊・景観破壊が問題視されています。しかし、地域レベルでエネルギーをまかなうのであれば大規模な再生エネルギー設備でなくてもよいのです。村一つ分のエネルギーならば、水車小屋程度の小規模発電施設でも、十分賄えるでしょう。大都市のエネルギーをたくさん確保しようとするから、大規模発電が必要なのであって、地方で小さく作って小さく使えば良い。

3.11で大きな被害を受け、住民の故郷を奪ってしまった福島原子力発電所は、東京都に電力を供給するための施設でした。結果、事故が起きたら東京都民が被害に遭うのではなく、福島の人たちの自然と生活が甚大な被害を被った。このような地域・地方の人たちの自然や生活が都会のために犠牲になるという社会システムから見直さなくてはなりません。

地方の魅力の最大化で集客する

だからといって、一極集中の東京がダメだということではありません。新たな文化、ファッション、娯楽の発信地としては多様な才能が集まる街としての機能は、社会の発展のためにも重要です。文化は人が集まらないと生まれないし、人が集まることで良いものができる。秋葉原のオタク文化も、今や日本が世界に誇るコンテンツに育っています。

日本の地方には、まだまだ魅力的なポテンシャルがあると私は思います。コロナ禍を経て、地方の古民家をリフォームして、日本らしい家屋を楽しむもうと、移住する海外の人や若い人も増えてきているといいます。古民家カフェや地方の神社の小さなお祭りは国内外からの観光客にも大人気です。そうした地域の独自の文化を、もっと売りにすれば良いでしょう。

そうやって地方の魅力を最大限に引き出し、日本中が江戸村みたいになって観光事業を展開するというエキセントリックな改革をしてしまえばいい。

若者主体で新しい社会や文化をつくるべき

災害対策の面からも、地方レベルでの自立・活性化が必要です。日本は、地震、津波、台風、火山噴火、などなど天変地異が大変多い国です。万が一(というより近い将来必ず起こるとされる)首都直下型地震がきて東京が壊滅すれば、現在の一極集中システムでは日本全体が沈下することになります。たとえ首都が壊滅しても地方が自立できていれば、日本全体をサポートすることができるのです。

今、少子化が深刻ですが、夫婦二人で働きながら子育てするのは、親にとって負担が大きすぎる。子供を生むこと自体諦めてしまう家族も多くなるでしょう。地方で、地域全体で子育てできるような仕組みを作れば、親も安心して子育てできる。今は保育施設も人手不足が深刻で、自由に入園できない。それで「少子化対策云々」というのは、どだい無理があります。

高齢者が安心して暮らせて、若い世代も安心して子育てができる、そんな社会を作る上でも、これまでの政治・社会にあぐらをかいてきた旧態依然なシステム(と考え方)をぶっ壊して、リセットして、若い人が主体となり、新しい社会や文化を創造していく、そんな流れが広がることを期待したいです。

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