給付時にも負担増?介護保険の自己負担2割拡大
介護保険は65歳以上の人が介護サービスを利用する際、1~3割負担で利用できるものだ(40歳~65歳未満は特定疾患に限る。)。
負担率が、1~3割のどの負担割合になるかは所得に応じて決まる。
現行は以下の通りだ。
(参考)参考資料2 給付と負担について(参考資料) (mhlw.go.jp)
負担割合が1割か2割かでは負担が2倍になることから、大きく異なる。
現在、本人の合計所得金額が「160万円以上220万円未満」でかつ「単身で年金収入+その他合計所得金額が280万円以上(夫婦世帯は346万円以上)」を2割としている。この2割は利用者に対して4.6%ほどで、高所得者の3割負担の利用者と合わせても全体の8.2%であり、ごく少数だ。
早くて2025年度8月以降適用の自己負担割合を、「合計所得金額70万円以上」かつ「単身の年金収入+その他の合計所得金額が190万円以上(夫婦で256万円以上)」~「合計所得金額150万円以上」かつ「単身の年金収入+その他の合計所得金額が270万円以上(夫婦で336万円以上)」の間のなかで、2割負担となる下限を現行より下げることを検討している。
一般的な夫婦モデル世帯の年金収入は189.9万円であり、いきなり、一般的な年金収入の夫婦がほとんど2割負担となるような、下限が「単身の年金収入+その他の合計所得金額が190万円以上(夫婦で256万円以上)」になる可能性はないだろうが、このような2割負担の下限を広げる動きは続き、今の現役世代が介護給付を受ける場合、一般的な年金収入がある世帯は2割負担が常となるかもしれない。
(参考)
日経新聞 2023年11月3日「高齢者の介護保険料、引き上げ検討 所得410万円以上案」
参考資料2 給付と負担について(参考資料) (mhlw.go.jp)
厚生労働省 我が国の人口について (mhlw.go.jp)
保険料率の変遷 | 協会けんぽ | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)
日経新聞 2023年12月7日 「介護2割負担拡大、年内決定へ 年収190万円以上で試算」
厚生労働省 第109回社会保障審議会介護保険部下の資料について
01 資料1 給付と負担について (mhlw.go.jp)
文/大堀貴子