今の現役世代は、介護保険料の支払いが増えていき、さらに介護給付を受けるときにも負担が増えそうだ。
介護保険料の仕組み
介護保険料とは、介護保険にかかる保険料で40歳以上から保険料の支払いが始まる。
会社員や公務員は給与から天引きされ、自営業等の場合は国民健康保険料と一緒に納付する。65歳以上になると、年金から天引きされるようになる。
会社員は、介護保険料を会社と折半するため、2%弱の保険料の半分、1%弱の保険料を支払う。また、会社員が配偶者を扶養している場合、その配偶者は健康保険料、年金保険料と同様、介護保険料も自分で支払う必要はない。そして、扶養しているからといって特別保険料が高くなるわけではない。なお、特定被保険者制度がある会社では40歳未満の会社員が40歳以上65妻未満の配偶者を扶養しているときは、会社員本人がまだ介護保険料を支払う年でなくても、介護保険料を支払う必要がある。
一方、自営業等の場合、会社員のように会社と保険料を折半することができないため、介護保険料は所得(基礎控除43万円を控除後)の2%程度と会社員の2倍程度の保険料となる。
また、世帯に40歳以上65歳未満の配偶者等がいればその分の保険料も支払いが必要となる。
65歳以上は、介護保険料が現役ほどかからなくなる。基準額は月6,000円程度で、所得が低く住民税が非課税である場合にはさらなる減免がある。一方、所得が高ければその分介護保険料は高くなり、月15,000円程度が限度となっている。
介護保険料の引き上げ
政府は2024年度から65歳以上が支払う介護保険料の引き上げを検討している。年間の合計所得金額が410万円以上の人が引上げの対象となりそうだ。
(参考)厚生労働省 介護保険制度について
修正後 (mhlw.go.jp)
上図のように、介護給付は支払保険料と国で賄っている。
65歳以上の介護保険料支払者(第1号被保険者)は介護保険給付の23%、40歳~65歳未満の保険料支払者(第2号被保険者)は27%と合計50%を負担し、残りは自治体と国が負担している。
第1号被保険者の保険料は、2000年全国平均2,911円であったのが、2023年には6,014円と23年で2倍となった。少子化、長寿化により2020年時点で65歳以上の全人口の比率は29%であったのが、2040年には35%、2070年には39%になる。
そうすると、介護保険の給付金額は現在より大きく増えるため、保険料は今の6,000円で維持できるはずもなく、今の40代が70~80歳以上になる頃には2倍以上の保険料になっている可能性がある。
また、40歳以上65歳未満の現役世代が支払う保険料率も大きく上がっていっており、保険料率は毎年見直しが行われている。
中小企業の会社員が加入している協会けんぽでは、2000年従業員負担率が0.3%であったのが、2023年の従業員負担率は0.91%と約3倍負担増加している。今の40代の人が定年になるまで25年ほどあり、2%近くまで上昇する可能性はある。
例えば、現在標準報酬月額が30万円の人は、介護保険料を毎月3,000円弱支払っているが(ボーナス時にも別途支払う必要がある)、65歳になるまでには毎月6,000円以上になっているかもしれない。
さらに、保険料の値上げだけでは介護保険を維持するのが難しくなり、40歳からではなく20歳以上から支払が始まるなど制度維持のために保険料を負担する世代を広げる可能性もある。