ビジネスマンの身だしなみに変化が生まれている。髭やヘアスタイル、ニオイだけでなく、肌ケアも身だしなみの一種。化粧水や美容液の利用も進んでいるが、「飲む」ことで身だしなみを整えたり、肌ケアを行うトレンドもある。
美肌ドリンクやサプリメントは女性のものというイメージがある一方で、近頃は男性の利用者も増えている様子。今回は、2つの男性をターゲットに含む美容ドリンクやサプリメントを取り上げ、トレンドを探った。
ビジネスマンの身だしなみケアドリンク
「朝出かける前に飲んで、身だしなみを意識しています」
ビジネスマンの朝の身だしなみケアといえば、髭剃りやヘアスタイルセット、マウスウォッシュなどが通例だ。けれど、近頃はドリンクを飲んで身だしなみを整えたいビジネスマンも現実に生まれている。
そのドリンクは、「ポッカサッポロ」の「キレートレモンBECARE(ビケア)」だ。
同ブランドを手がけるポッカサッポロフード&ビバレッジのマーケティング担当 高井朋子氏は「『キレートレモン』の特徴であるレモン1個分の果汁に加え、コラーゲンやヒアルロン酸も配合することで『身だしなみケアドリンク』として発売しました。レモンの酸味と炭酸の刺激でリフレッシュし、身だしなみを整えて頑張る方を応援する商品です」と話す。
「キレートレモン」は、レモン1個分の果汁入り飲料で、1本でビタミンCとクエン酸が1,350mg摂れるレモン飲料の定番商品。そこへ新たにコラーゲン1,000mgとヒアルロン酸10mgを追加し、男性にターゲットをしぼった。そのねらいとは?
「男性向け化粧品市場は伸長トレンドがありますが、男性の美容への関心の多くは清潔感を保つことにあり、身だしなみケアのニーズが高いことに着目。また、当社の調査によるとコロナ後にマスクを外したとき、自分に自信を持ちたい想いから肌への関心が高まっていることが分かりました。そして男女問わず洗顔や化粧品でのスキンケアを日常的に行っている方が多く、今後新しく始めたいこととして『美容ドリンクでのケア』が多い結果も得られました。それらのニーズから開発したのが同ドリンクです」
実際に飲んでみると、レモンの酸味と炭酸の刺激でシャキッとする実感が得られた。同時にコラーゲンやヒアルロン酸を身体に取り込めるとくれば、美容ケアにもなることで男性でも嬉しいのではないかと推測できた。
実際に男性利用者からは「甘すぎず、レモンの酸味でスッキリして飲みやすい」「ビタミンCやコラーゲン等が飲むだけで摂れるのはうれしい」などの声もあるという。
今後の展望として「男性の美容意識は、今後も高まっていくと思いますので、人と会う前や通勤前等に、身だしなみを整えるきっかけとして飲んでいただき、自信をもって過ごせるように応援する商品として育てていきたいと思います。まずは身だしなみを気にしている男性を中心に、多くのお客様に知っていただけるよう、SNSを中心に伝えていきます」と意気込む高井氏。
男性が身だしなみとして「飲む」新しい習慣が根付いていく可能性があるだろう。
男性もターゲットに入れた肌乾燥対策サプリ
スキンケア化粧品などを手がけるブランドの一つ「オルビス(ORBIS)」は、男性美容ニーズをいち早くつかみ、男性向けスキンケアシリーズ「オルビス ミスター」を打ち出すなど、積極的にユニセックスな美容機会を提供している。
そんな同ブランドには男性も視野に入れた「飲む」美容サプリメント「オルビス ディフェンセラ」がある。2019年1月の発売以来、ベストコスメを37冠受賞(複数メディアを含む。※オルビス調べ・2023年12月7日時点)するなど人気は絶えない。
同社のPRを担当する野中智絵理氏は、同商品のねらいについて次のように解説する。
「性別や年齢に関係なく起きる『乾燥』に悩むすべての人たちのために向けた商品です。新しいスキンケアの形として、国から認可を受けたトクホ(特定保健用食品)の“飲むスキンケア”として誕生しました。
昨今、オルビス ミスターシリーズの売り上げが好調な点からも男性の美容関心度が高まっていることをブランドとしても実感しています。今やスキンケアは女性だけのものではなく、性別や年齢問わず日常の習慣に根付いています」
一日一包さっと飲むだけで、全身のスキンケアが可能。「その手軽さから男性のライフスタイルにもフィットしている」(野中氏)と考えられる。
乾燥対策につながる理由は、良質な玄米1トンから1~2gしかとれないという希少な米胚芽由来の「セラミド」の中でも、その純度を極限まで高めた「高純度グルコシルセラミド」を配合している点にある。
「ディフェンセラがうるおいを逃しにくくするのは、顔だけではありません。乾燥しやすい部位、手が届きにくくケアがむずかしい場所を含めた全身に効果があります。特に乾燥の厳しい季節になると、手指やすねなどのかさつきが気になる方にご好評いただいています」(野中氏)
実際、男性利用者から「冬は服を脱いだときに乾燥による全身のかゆみがあったが、減ったような気がする」「靴下をはくときに、すねの粉ふきが落ち着いた」「リップクリームの使用回数が減った」といった声があがっているという。
味はゆず、マスカット、ピーチ風味の3種を取りそろえ、毎日続けやすい配慮も。「誰でも飲みやすいフレーバーでおやつ感覚で取り入れやすい」との声もある。
今後の展望として、野中氏は「化粧品に興味はあっても、まだ購入や使用へのハードルを感じる方がいるのも事実。オルビスミスターでは、男性ユーザーへのインタビューやモニターを重ね、商品開発、改良を進めております」と語った。
「飲む」だけで肌ケアにつながるドリンクやサプリメントは、忙しいビジネスマンにとっては取り入れやすく、美容の敷居を下げてくれる。今後、さらに男性向けの新しいアプローチの美容アイテムが出てくるかもしれない。
文/石原亜香利