PXPは、金属箔基板を用いた「曲がる太陽電池」のセルをつなげる方法として、はんだフリーかつ銀フリーで簡単にセルを貼り合わせる新技術を開発したと発表した。
極薄の金属箔基板(正極)上に太陽電池を形成し、最表面に櫛状電極(負極)を形成した太陽電池セルの、裏(正極)と表(負極)を直接貼り合わせてつなげることで、大きさも形も自由なソーラーパネルが作製可能になるという。
大きさも形も自由なソーラーパネルが実現!
太陽電池セルをつなげる方法は、タブ線とはんだを用いてつなげる方法が一般的だが、コスト削減や銀の使用量の削減のために、セルを直接貼り合わせてつなげる方法の開発が、近年活況となってきている。
セルを貼り合わせる方法では、導電性接着剤を用いるのが一般的であるが、金属箔基板を用いた「曲がる太陽電池」で導電性接着剤を用いた場合、はんだで貼り合わせた場合に比べ、電気抵抗が高くなってしまい、性能が低下してしまう問題があった。
そこで、PXPは、はんだフリーかつ銀フリーで簡単にセルを貼り合わせる新技術を開発、はんだ同等の電気抵抗で貼り合わせが可能になった。
また、車載ソーラーなどのように機械的振動や温度変化(熱的振動)の激しい環境では、セルの接合部分に高い信頼性が求められるが、はんだを用いた従来型の太陽電池では、機械的振動や熱的振動で接合部分にクラックが入ったり、接合部分が剥がれてしまうといった問題があった。しかし、新技術では、はんだを用いないため耐振性が向上する。
さらに、従来型の太陽電池セルの受光面側には、タブ線を接合するためのバスバーと呼ばれる糊代部分が必要となり、その部分は影となるため発電面積ロスとなるが、バスバーを隠すようにセルを貼り合わせることで、バスバー部分の発電面積ロスをなくすことができる。しかも、貼り合わせの場合、セルをすき間なく並べることができるため、さらに発電面積ロスを低減すること可能だ。
なお、同技術について最高技術責任者の杉本広紀氏は以下のように述べている。
「太陽電池の性能を低下させることなくセルを貼り合わせる技術ができたことで、ソーラーパネルを大面積化しても高い性能を維持できるようになりました。また、新技術は全固体電池一体型ソーラーパネルの接合にも活かされます。基板がフレキシブルなだけでなく、つなぎ方もフレキシブルになることで、従来型の太陽電池の枠を超えた幅広いアプリケーションで、ソーラーエネルギーが手軽に利用できるようになると期待されます」
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構成/立原尚子