読売広告社 都市生活研究所では2008年より市民や街に関わる人達が、その地域や街に対してもつ意識「シビックプライド/ CIVIC PRIDE」に関する研究を行なっている。
今回、ヨーロッパ、アメリカ、アジアにおける主要10都市(※)に居住する20代~60代の市民を対象に、街への愛着や誇りなどの評価を明らかにする「グローバル・シビックプライド調査」を実施。
※ 10都市…ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、バルセロナ、ローマ、ヘルシンキ、上海、東京(23区)、大阪
また、併せて各都市に居住するライフスタイル・リサーチャーへのインタビューを通じて、対象都市それぞれの「シビックプライド」の評価構造・背景に関する分析を行なった。
本稿では、その結果概要をお伝えする。
世界10都市の「シビックプライド」総合ポイント結果
※「シビックプライド」総合ポイントは「愛着」「誇り」「共感」「継続居住意向」「他者推奨意向」5指標のスコアを足し上げ1000点満点化したものです。なお、各指標のスコアについては、各質問内容を[非常にあてはまる~まったくあてはまらない]の7段階で聴取し、[非常にあてはまる]を7点[まったくあてはまらない]を1点とし、平均値を算出しています。
■「街への愛着」「街への共感」「街への誇り」の結果
「愛着」「共感」「誇り」のいずれも「上海」が最も高い評価となった。「愛着」と「共感」では「ローマ」「ロンドン」が、「誇り」では「ローマ」「ニューヨーク」が次いで高い評価となった。
日本の2都市については「大阪」が「愛着」で「ヘルシンキ」「ベルリン」を上回る評価となった。一方「東京」はいずれの項目も最も低い評価となった。
■調査結果と課題の考察
調査では、日本の2都市の「シビックプライド」に対する評価が欧米の都市や上海といった都市に比べて低い評価であることが明らかになった。
「シビックプライド」は都市をより良い場所にするために自分自身が関わっているという当事者意識に基づく自負心であり、市民自身の主体性が大きなポイントとなる。
今回、併せて実施した現地在住のライフスタイル・リサーチャーへのインタビュー調査においては、多様性や個の存在・生き方・暮らし方を尊重しながらも社会や地域とつながるための様々な活動やコミュニティがあること、また自治体などがその市民の主体性や創造性を最大限に生かすサービスや場の提供を積極的に行っていることがみえてきた。
今後、日本においても「シビックプライド」が大きく育ってゆくためには行政・企業・市民が一体となって、より社会や地域とつながる場や機会を作ってゆくことが重要であると考えられる。
調査概要
【グローバル10都市 「シビックプライド」評価把握 定量調査】
調査手法/WEB調査
調査対象/世界対象10都市に住む20代~60代の男女
調査内容/現在住んでいる街に対する意識、街のイメージ、地域コミュニティへの参加など
有効回収数/3000s ※各都市300s
調査時期/2023年1月
【グローバル8都市 現地居住者の街への意識に関するインタビュー調査】
インタビュー対象/対象都市(海外8都市)に複数年居住する日本人ライフスタイル・リサーチャー※8名
インタビュー内容/定量調査から得られた各都市のCivic Pride評価について。その背景や関連づけられる街及び市民の実態に関するヒアリング
インタビュー時期/2023年8月~9月
関連情報
https://www.yomiko.co.jp/
構成/清水眞希