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これで月額3300円は高い?安い?「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」がどこまで仕事に使えるか試してみた

2023.12.27

■連載/石野純也のガチレビュー

 気軽に使えて精度も高い翻訳機として人気を博しているポケトークに、新たなラインアップが加わった。と言っても、今回紹介するのはハードウエアではなくソフトウエア。「ポケトーク for BUSINESS」の1つである、「同時通訳」だ。これは、その名の通り、同時通訳を実現するためのサービス。元々はPC向けアプリとして開発されていたが、2023年11月にブラウザ版が登場した。これによって、スマホやタブレットなどで、同サービスを利用できるようになり、活躍するシーンが広がった。

 ただ、同サービスは“for BUSINESS”とうたっているように、ビジネスシーンを想定したもの。個人契約は可能だが、法人を主なターゲットにしている。そのため、価格は月額3300円と、コンシューマー向けのサービスと比べると少々値が張る。一方で、スマホやタブレットだけで同時通訳ができれば、その価値は高い。このサービスの翻訳精度や使い勝手はどの程度のものか。スマホで英語のオンライン発表会を翻訳する形で、実際に利用してみた。

2023年11月にブラウザ版が登場した「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」

アプリ不要で簡単アクセス、機能もシンプルで使いやすい

 ブラウザ対応していることもあり、スマホで簡単に利用できるのが「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」の魅力だ。アプリのインストールが不要なため、更新も必要ない。特に法人ユーザーの場合、アプリの自由なインストールが禁止されていることも多い。このような場合でも、ブラウザ版なら手間がかからないのが魅力だ。使い方もシンプルで、トップページにアクセスし、言語を指定したら翻訳開始のボタンをタップするだけだ。

サイトにアクセスして、通訳開始のボタンをタップするだけですぐに使い始めることができる

 標準の状態だと、相手がしゃべった言語が画面下に小さく表示され、翻訳結果の文字が大写しになる。これを見ながら、相手の話を聞くことで内容を理解できる。

標準状態だと画面上に大きなフォントで翻訳結果が映し出される。相手の話している言語も、リアルタイムで画面下に表示される仕様だ

 ただ、文字を目で追っていくと、目の前にいる相手の顔を見ることができない。映像中継でこのサービスを使っている場合も、自分のスマホの画面から目が離せなくなってしまう。このような時のために、メニューから音声を出力することが可能だ。

 この場合、イヤホンを装着する必要がある。手順としては、相手のしゃべった言葉を相手の言語で文字認識し、その後に翻訳がかけられ、そのテキストが読み上げられる。そのため、相手が話したあとに、日本語が続く。日本語での読み上げは、相手の発話からワンテンポ遅れてしまう格好だが、こうした部分も人間が行う同時通訳に近い。

同時通訳のように音声を聞きたい時には、メニューから「通訳音声を再生」を選択する

 一方で、人が行う同時通訳と異なり、通訳した内容はそのままテキストデータとして記録されている。いったん相手の言語をテキスト化してから翻訳しているため、翻訳前、翻訳後両方のテキストが残る。「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」では、それを翻訳終了後にダウンロードすることが可能だ。リアルタイムでよく分からなかった箇所を見直したり、翻訳が不自然だった部分を自分で訳し直してみたりできるのが便利。正確性を高められる。

通訳結果をスプレッドシートでダウンロードすることも可能だ

 出力した翻訳結果は、時間ごとにスプレッドシートとしてまとめられているため、プレーンなテキストで打ち出されるよりも検索や活用がしやすい。音声出力や翻訳結果のダウンロードは、いずれもメニューからすぐに呼び出せる。機能的にはシンプルだが、必要不可欠なものがまとまっている印象。同時通訳という目的をストレートにかなえてくれるサービスと言えるだろう。

発表会中継のアーカイブを試した、音声品質が高ければ精度も合格点

 実際にアップルが2023年11月に開催したMacBook Proの発表会や、その撮影手法を公開した動画を再生しながら、「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」を使ってみた。先に述べたように、プレゼンターが話した言葉が英語として表示され、結果が日本語で大きく表示される。ただ、スマホの画面で一覧性を高めようとするとデフォルト設定では少々文字が大きすぎたため、これは最小に変更した。視力によっても読めるサイズに違いがあるため、使いながら調整するといいだろう。

 翻訳は完璧というわけではないが、話している内容のおおよそは、音声出力された日本語を聞き取っていくだけで理解できた。その意味で、音声認識の精度や翻訳の精度は高い。ポケトーク社は、音声認識にOpenAIのWhisperを採用したり、翻訳エンジンを複数組み合わせたりと、すでに存在する技術の中からベストなものを選び、それをカスタマイズしながら自社サービスに組み込んでいる。こうした特徴もあるためか、「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」はかなり実用的だ。

アップルが2023年10月に開催したMacBook Proのオンラインイベントを、同時通訳してみた。「boundary(境界)」を「back(背中)」と認識してそのまま訳してしまうなど、ところどころおかしな部分はあったが、概要はつかめる

 一方で、固有名詞に関しては、不自然な結果になることもあった。例えば、「Mac」という単語が、ところどころ「マット」になってしまっていたり、「MacBook」が「Backfoot」になってしまっていたりと、音声認識が正しくできていなかったようだ。この場合、翻訳結果も当然ながら間違ったものになる。文字で見ているぶんにはすぐに気づけるかもしれないが、音で聞いていると、一瞬何を言っているのか分からなくなる。この点は、事前に専門用語をしっかりインプットしておける、人間の同時通訳との大きな違いと言えるだろう。

 翻訳がやや直訳調になる部分はあったが、ここは大きな問題がないように思えた。ただし、それを読み上げる際に、不自然になることもある。例えば、「Apple Park」という単語は固有名詞として翻訳されず、そのまま日本語でも「Apple Park」と表記されていたが、読み上げる際に「パルク」のような発音になっていたため、こちらも画面上の文字を見るまで理解ができなかった。簡単な単語なので、英語でそのまま聞く手もあるが、日本語と英語の両方を同時に聞き取るのはなかなか難しい。

固有名詞で引っかかることが多かった。上の画像で言うと、「MacBook」や「MacBook Pro」が「MacLeGear」や「MacLeGro」という意味不明な単語になっている

 ただ、人間の同時通訳でも誤訳や抜け落ちはあり、完璧ではない。その場で話す内容を事前に準備できるわけではないため、特に専門用語の翻訳などには改善の余地があるものの、プレゼンテーションなどの全体を俯瞰してつかむにはいいサービスと言えるだろう。自分がまったく理解していない言語なら、会話を理解するための糸口には十分なりうる(ただし、その正確性を後からチェックできたのは、筆者がある程度理解している、英語だったからだが……)。クリティカルな用途には使いづらいかもしれないが、打ち合わせやプレゼンテーションの視聴などには十分活用できる。

快適に使うにはデバイス選びも重要? やや高いがその価値はあるサービス

 スマホでも気軽に使えるのが売りの「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」だが、本格的に使おうと思うとデバイスを選ぶ。スマホの場合、机の上に置くと少々見づらい上に、視線を落とさなければならない。相手にも翻訳結果が見えてしまうのも難点だ。お勧めしたいのは、フォルダブルスマホ。半開きの状態にしておけば、自分だけが翻訳結果を見ることが可能だ。

フォルダブルスマホであれば、折りたたんで自分にだけ画面が見える形で使うことが可能だ

 キーボードを装着できるタブレットを持っている場合、それを使ってもいいだろう。同様に、ブラウザ版ではPCでも利用できる。スマホに比べ、画面が大きいぶん、表示された翻訳結果が読みやすい。ただ、スマホ以上にタブレットやPCはマイク性能がまちまち。文字認識にも影響が出るため、性能のいいモデルを選んだり、外部マイクを使ったりする必要がある。

 音声出力をする際には、耳を完全にふさがないタイプのイヤホンを選びたい。相手の話す言語をある程度理解できることが前提だが、翻訳前の声も同時に聞いていれば、誤認識や誤訳に気づきやすいからだ。その意味で、耳にはめ込み、外音をシャットアウトするカナル型のイヤホンはあまりこのサービス向きではない。可能であれば、耳をふさがないオープンイヤー型のイヤホンを選んだ方がいいだろう。

耳を完全にふさいでしまうタイプだと、相手の声が聞こえなくなる。片耳だけ着けるなど、工夫したい

 筆者は、ファーウェイのアイウエア型イヤホンである「HUAWEI Eyewear 2」を使用した。このイヤホンは、メガネのテンプル部分に仕込んだスピーカーから、指向性のある音を耳に送り出している。耳は一切ふさがないため、外音も普通に聞こえる。音量をうまく調整すれば、あたかも耳元で通訳者がささやいているように聞こえる。どのデバイスからでも使えるが、やはり組み合わせによって使い勝手は変わってくると言えそうだ。

同時通訳のように音声を聞きたい時には、オープンイヤー型のイヤホンがお勧め。筆者は「HUAWEI Eyewear 2」を使用した

 上記のような専門用語の間違いや、読み上げの不正確さもあり、ポケトークがキャッチコピーに掲げている「言葉の壁をなくす」まではいかないものの、「言葉の壁をある程度低くする」ことには成功しているサービスと言えるだろう。それぞれの言語の話者が「ポケトーク for BUSINESS 同時通訳」を使えば、会話も十分成り立つ。一般ユーザー向けで3300円はやや高い印象も受けたが、ビジネスに役立てられそうならその価値はあるサービスと言えそうだ。

【石野’s ジャッジメント】
UI         ★★★★
言語認識の正確さ  ★★★★
翻訳の正確さ    ★★★★
翻訳の速さ     ★★★★
日本語の正確さ   ★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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