一家に一台を目指し、技術は最終段階へ
実用化まであと一歩のところまできているアニサキス殺虫装置。コンパクトサイズから大容量タイプまで開発可能とのことだが、課題はまだある。
「一つは装置を安価にすることです。そのためには最小のエネルギーで駆除できる条件を明らかにすることが必要。安全性を加味しながらそれをまず突き止めることですね」
「また、装置を漁港に置いた場合、上がった魚をそのまま処理するわけですが、そうすると実際に食べる部分以外にもエネルギーを使ってしまうことになりムダも生じる。これをどう解決するかも大きな課題です」
「将来的にはお寿司屋さんやスーパーでも処理できるなど色々な考え方があると思いますが、その全てに対応できる装置が作れると思っています。最終的には一家に一台ぐらいになればいいと考えています」
安心して美味しい刺身が食べられる未来のために日夜研究・開発に取り組んでいる浪平准教授。最後に、@DIME読者へのメッセージをいただいた。
「仕事でも好きなことでも、新しいことにチャレンジする時はできない・やらない理由を考えるより、やる理由だけを考えた方がいいと僕は思っています。常にポジティブに『どうやったらできるか』を考えた方が楽なんじゃないかと思うんですよね。
もちろん、チャレンジして失敗することもあるでしょう。失敗をあげつらう人もいるかもしれません。そんな時は『自分が踏み出した一歩の価値が伝わっていないんだな』と思えばいいんです。失敗さえも新しい知見を得たと思って、次に挑戦することが僕は大切だと思っています」
取材協力
熊本大学産業ナノマテリアル研究所
文/太田ポーシャ