シニアレジデンスを見て、「シニア向け住宅」のイメージが変わった人も多いのではないだろうか。では住み替えを具体的に考えていく際に必要な「入居までのステップ」を段階ごとに解説し、気になる疑問もQ&A形式で解消していく。「住まい探しのチェックリスト」は、物件の見学時にぜひご活用いただきたい。
【入居までのステップ1:入居相談】
自分ゴトを整理することで、より役に立つ情報を受け取る
住み替えを考えたら準備しておきたい4つのコト
■正しい知識をもち住まい探しを始める
住居の住み替えを思い立ったら、まずは自治体や専門機関が行なっている相談窓口を利用したい。準備として、入居を希望する本人もしくは夫婦の現在の健康状態や資産・収入、住み替え予算、希望時期などをあらかじめまとめておくと、より具体的なアドバイスを受けやすい。大きく4つに分けられる自立型シニアレジデンスが提供するサービスの違いなどもわかりやすく説明してくれるため、正しい知識をもって自分に合った住まい探しをスタートできる。
住み替えにあたり、自宅を売るのか、賃貸に出すかによって予算は変動するため、売却査定や賃料の見積もりはなるべく早い段階で不動産会社に依頼をしたい。契約時に必要な連帯保証人や身元引受人も早期に決めておくことが欠かせない。
連帯保証人
契約時に必要となる保証人や連帯保証人は通常、親族が引き受けることが多い。子どもがいない、頼める親族がいない、頼みたくないという場合は、シニアレジデンスの運営会社を経由し、保証会社に依頼することもできる。
不用品の処分
住み替えにあたっては自宅を売却するケースも出てくる。家にある大量の荷物すべてを住み替えるところに持ち込めないため、使わなくなった衣類や小物は早めに廃棄し、家具や家電といった家財道具の処分先の検討もしておきたい。
資産と月収
住まいによって変わるが、毎月、管理費や食費、サービス料などのかかるケースが多く、入居時に一時金が必要なところもある。貯蓄や将来受け取ることのできる年金額をまとめておくと、支払える金額の基準値が見えてくる。
必要なサービス
提供されるサービスはシニアレジデンスの種類で異なり、健康プログラムや家事代行、季節のイベントなど、サービスの内容はさまざまだ。利用すると月額費用に加算されるサービスも多いので、自分にとって必要なサービスの絞り込みも大事。
■オンラインでも住み替え相談ができる
一般社団法人 高齢者住宅協会では、住み替えを考えているシニア向けに、WEBサイトから事前に予約のできる無料のオンライン相談を実施している。住み替えに関する疑問や困りごとのカウンセリングが受けられる。下記URLへアクセスを。
https://www.satsuki-jutaku.jp/journal/guideline/consultation
【入居までのステップ2:資金】
入居の初期費用と毎月かかる費用は細かく確認を
無理をせず資金に余裕を残してレジデンスを選ぶ
■住居費用は幅が広く予算ごとに選択肢はある
入居にふみきるハードルのひとつが住み替えにかかる資金。入居先により内容は変わるが、入居時に一時金としてまとまったお金が必要となったり、月々の家賃、管理費、サービス費などが発生したりする。サービスによってはオプションになるため、より不安にかられる。
「みなさん、お金のことで一番心配されるのは月額費用です。いつまで支払い続けるのかわかりませんから、この点が入居年齢の高齢化の一因ともいわれています。私たちの相談窓口では、寿命に関する最新の統計データをもとに、100年生きることを想定した資金計画を立てるようお話ししています」というのは、高齢者住宅協会の正田克成さん。
自宅住まいをずっと続けた場合でも安全を整えるには、バリアフリーや温熱環境のリフォーム、防犯対策が必要となるが、支出をコントロールできるぶん、金銭面では今のまま住み続けるのが安心という声も多い。しかし、かかる費用は選ぶ住まいによってまちまち。住み替え先の担当者などと一緒に考えると、無理せずに暮らせるところが見つかりやすい。
■入居にかかる費用と月々の費用
[入居時の費用]
初期費用
入居時にかかる費用のこと。住まいによって金額は異なり、高級レジデンスになると億単位になることも。家賃を毎月支払う契約の場合は、基本的に一時金は不要だが、一般のマンションと同じように敷金はかかる。
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[毎月かかる費用]
サービス費
主に掃除や衣類の洗濯、買い物の代行などを行なう生活支援サービス、1日3食の食事サービス、定期健診など健康維持や増進を目的とした健康管理サービスなどがある。月額費用に含まれる場合や別途支払う場合も。
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管理費
共益費ともいわれ、共用スペースを管理するための費用で、施設の水道光熱費や清掃などに充てられる。事業者によっては管理のための人件費が含まれていることも。月による変動はなく、基本的に定額制となっている。
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その他
介護や医療費がオプションの場合は追加の費用がかかる。電話代や水道光熱費が管理費に含まれない場合は自己負担。施設によりイベント・サークル費などもある。支払いの区分を細かく聞いておくことが大事。
■初期費用は分割払いもできる
初期費用でもっともかかるのが入居一時金。物件によって金額は異なるが、平均で500万円以上はかかるといわれる。入居へのハードルを下げるため、月々の支払い額を高く設定することで一時金をゼロに抑える事業者もある。一括払いが基本だが、事業者によっては分割払いができるところもあるので、資金が不安な場合は確認してみたい。