2023年、シニアの暮らし方の潮目が変わった。シニアレジデンスを選ぶ理由
ライフスタイルのトレンドが時代によって変化するように、シニアの暮らし方も、〝マイホームに住み続ける〞から〝住み替える〞スタイルへ変わろうとしている。理由のひとつに2世代、3世代の同居率の大幅な減少がある。1980年には26.9%だったシニアの単独世帯や夫婦のみ世帯の割合が、2019年には61.1%まで急伸。自身の健康や介護、シニアの犯罪被害の増加、自宅の手入れなどに不安を覚え、シニア向けの住まいに住み替えを決断する人が増えた。
「介護が必要になってから、子どもが住み替え場所を探すこれまでのパターンから、将来に備え、元気なうちにご自身で新しい住まいを探すケースが目立ってきました。暮らし方の潮目が変わりました」と、一般社団法人高齢者住宅協会の企画部長である永野浩子さんは話す。
自立した生活を送るシニア向け住まいの多様化も住み替えを後押しする。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に加え、ここ数年でシニア向けの分譲マンションも次々につくられ、選択肢が広がっている。
定年を機に住み替えをしようと50代から動き始める人も珍しくはない。早めに動くことで、多くの情報を集められ、自分に向いたシニア向け住まいをじっくり検討できるうえ、予算などの準備にも時間を充てられる。
■あくまで自分の基準でブレない住居探しを
「急な住み替えとなると、自分がこれからどのように暮らしていきたいかを基準にして選ぶ余裕がありません。たとえば友人との付き合い方ひとつをとっても、すべてを一度リセットして馴染みのない新しい場所に移るというのは大変なことです。元気なうちにさまざまな施設を回ることができれば、立地や設備などの情報を咀そ 嚼しゃくしながら、住まいは変わっても、自分が今までやってきたことを続けられる住宅を探すことができます」(永野さん)
今までシニアの〝住み続け〞と〝住み替え〞の相談に携わった永野さん。失敗しない住まい選びのポイントは「将来自分がどのように暮らしたいのか、ブレずに考えていただくことです」とアドバイス。買うか借りるのか、どんな場所に住みたいのか、必要なサービスは何か……。思い描いた未来図に沿って住まいを探せば「こんなはずではなかった」と後悔することもない。元気に暮らすためのヒントも見つかりそうだ。
自立型高齢者向け住まいの種類
■介護付き有料老人ホーム
介護などのサービスが付いたシニア向けの住まい。介護が必要な場合は、居室で生活を続けながら、施設の提供する特定施設入居者生活介護を利用できる。介護は委託先の介護サービス事業所が行なう。契約は利用権方式。
■サービス付き高齢者向け住宅
廊下幅、段差の解消、手すりの設置といったバリアフリーサービス付きのシニア向け住宅。安否確認、生活相談のサービスが受けられる。食事や介護、生活支援の提供は住宅によって異なる。契約は賃貸借方式。
■住宅型有料老人ホーム
買い物代行や病院の送迎など生活支援サービスが付いたシニア向けの住まい。 介護は入居者が地域の訪問介護などの介護サービスを選ぶことができ、サービスを利用しながら、居室での生活を継続できる。契約は利用権方式。
■シニア向け分譲マンション
民間の事業者が販売するシニア向けの分譲マンション。自立する居住者が多いが、居室はバリアフリーが導入され、所有権方式のため、売却や相続も可能。介護サービスを行なう事業者も増えている。
取材・文/安藤政弘 イラスト/yamyam
※この記事は『ハイクラス・シニアレジデンス案内 首都圏・関西版』より転載しました。
『ハイクラス・シニアレジデンス案内 首都圏・関西版』
小学館(サライ特別編集)
定価2200円。
シニア向け住居市場が活況だ。特に元気なうちに入居する自立型は、健康・食・趣味を彩るサービスや共用部に目を見張る。不動の人気物件から最先端まで、別荘や住み替えの選択肢として注目のシニアレジデンスを案内。
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https://books.rakuten.co.jp/rb/17604797/