シニアレジデンスの疑問と不安を解消(3)【医療】
体に異変を感じてもスタッフが最善の方法で対処
歳を重ねると、室内で転倒してそのまま立てなくなることや、持病や病気の前兆がなくても突然意識を失うことも起こり得る。インターネットを使い、遠く離れた子どもたちが親を見守りできる時代になったが、いざというときの対処は難しい。
ひとり暮らしや老夫婦が抱えるこうした日常の不安を解消するのもシニアレジデンスの役割。住まいのタイプで対応に違いはあるものの、居室内の緊急用ブザーを押せばスタッフが駆け付け、適切な処理を施してくれる。回復後、当面の間はホームドクターが訪問診療を行ない、体調をチェック。リハビリが必要となれば理学療法士などの専門スタッフが居室や機能訓練室で、生活に必要な機能回復をサポートするため、本人も家族も安心できる。
Q:医療体制はどのようになっていますか?
A_365日、24時間で対応する施設もあります。
どの施設も医師の配置義務はありませんが、介護付き施設には医療的なケアができる看護職員が配置され、施設によっては365日、24時間体制で対応します。看護職員で対応の難しい専門性の必要なケースや緊急時は、提携する医療機関を利用することができます。退院後も提携先の医師が往診するので安心です。
Q:医療費は自己負担ですか?
A_基本的には自己負担です。
入居者の医療は提携する医療機関が担当し、医師の往診にかかる費用や薬の代金はすべて自己負担となります。ケース・バイ・ケースですが、緊急の搬送にも費用が発生することがあります。病気によっては高額療養費制度の対象となることもあります。
Q:リハビリは居室でできますか?
A_居室でも可能です。
シニアレジデンスの共用スペースに機能訓練室を設置することが増えてきました。個人、もしくはグループでリハビリの訓練を行なうことができます。居室でないと受けられない場合は、専門の理学療法士などが居室に行き、訓練を受けることが可能です。
シニアレジデンスの疑問と不安を解消(4)【介護】
自立段階でシニアレジデンスに入居すれば介護期も安心
シニアレジデンスへの住み替えを〝早め〟に動く人が少しずつ目立ってきた。この〝早め〞には年齢的に若いことと、〝介護になる前〟というふたつの意味がある。
「将来に備えて、より長く健康に暮らせる住まいを選ぶケースが増えてきましたね。いざ介護が必要になったときのことも相談できる体制があると安心です」(高齢者住宅協会・永野浩子さん)
介護付きとなると金銭面の負担も大きくなるが、認知症が進行したり、看取り期となったときには、どういうサポート体制があるのか、入居前に確認しておきたい。
施設スタッフによる介護予防や、沈みがちな精神面をしっかりフォローしてくれることも、介護が必要になる前にシニアレジデンスに入居する理由となっている。
Q:介護期になっても部屋に住み続けられますか?
A_介護付きの施設では、居室にバリアフリーや車椅子で生活のできるスペースを確保しています。
浴室やトイレも介護可能な設計になっているので、通常はそのまま居室に住むことができます。ただし介護のレベルが高くなった場合は、同じ建物の別階や別棟に移動することもあります。
Q:介護料金はかかりますか?
A_介護付き有料老人ホームの場合、月額費用に含まれます。住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅は介護保険の料金を別途外部の介護サービス事業所に支払います。介護保険利用サービスの負担割合は、所得状況などにより1割、2割、3割と異なります。
Q:認知症の介護も可能ですか?
A_対応する施設もあります。
介護付き有料老人ホームの場合は、すでに介護にあたるスタッフが配置されていますから、認知症になっても同じ居室で生活をしながら介護を受けられます。認知症が悪化し、施設内で対応できない場合は、別棟への移動や、専門の医療機関に移ることもあります。費用面もプラスになるので、早めに相談をしておきましょう。
取材・文/安藤政弘
※この記事は『ハイクラス・シニアレジデンス案内 首都圏・関西版』より転載しました。
『ハイクラス・シニアレジデンス案内 首都圏・関西版』
小学館(サライ特別編集)
定価2200円。
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