ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、女性の顔の動画を用いた印象評価試験により、表情によって生じるシワが速く消える方が、その人のことを好印象と感じる割合が高い傾向にあることを明らかにした。
シワが自分や他人に与える影響を知るための取り組み
ポーラ化成工業では、シワ研究のパイオニアとしてさまざまな調査・研究を精力的に進めている。最近では、シワがあっても表情が伴えば印象を良くしてくれること(※1)や、表情で一時的にできるシワ(表情ジワ)は加齢に伴い消えにくくなること(※2)を見出している。
今回、表情ジワの消える速さが相手に与える印象に影響するかを知るために、表情ジワの消える速さが異なる動画を用いて印象評価を行なった。
※1「印象調査で表情の効果を新発見:マスクフリー生活を表情豊かに シワがあっても表情が伴うと好印象と感じる人が多くなる」 (2023年6月26日発行) http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20230626.pdf
※2 「表情の動きに伴うシワの変化を定量化する評価法を開発 表情によって一時的に生じるシワが加齢に伴い消えにくくなることを確認」 (2022年9月28日発行) http://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20220928_02.pdf
表情ジワが消える速さが印象に与える影響を検証
動画から表情ジワを抽出する技術(※2)を活用して、表情ジワが消えるまでの時間が異なる2種類の動画について、20~50代の男女計22名に、どちらの動画の方が「好印象である」と感じるかを聞いた。
■表情ジワが速く消えるほうがより好印象と感じる人が多い
質問への回答を解析した結果、表情ジワが速く消える動画の方がより好印象だと感じた人が多いことがわかった(図1、補足資料1)。
また、顔の上半分だけの動画を評価した場合には、その傾向が強まることが判明した(補足資料2)。
同社はこれまでに、シワがあっても表情が伴えば好印象に感じる人が多くなることを報告しているが(※1)、今回の調査から、表情ジワを消えやすくすることで、表情によるポジティブな効果がより引き出される可能性が見出された。
また、表情ジワは皮膚の弾性(皮膚への圧力が取り除かれた時に皮膚が元に戻ろうとする性質)が大きいほど消えやすい傾向がある(補足資料3)。つまり、皮膚の弾性を高めるケアは、表情の効果を発揮させる上で効果的と考えられる。
一時的に現れる表情ジワは、適切なケアをすることで将来の定着ジワを防ぐことも期待される。
同社では今回の発表に際して「今後もシワ改善のパイオニアとして、社会全体が表情豊かに過ごすための応援となる研究を続けていきます」とコメントしている。
【補足資料1】 試験方法
モデル/30代と40代の女性各1名(試験での使用への同意取得済み)
・顔の全体または上半分のみの動画を使用
【評価】
評価者/20~50代のポーラ化成工業(株)男女従業員計22名(男性13名、女性9名)
評価方法:/評価者がディスプレイ上で再生された上記2種類の動画を見た後(※3)、質問に回答した。
質問/どちらの動画の方が「好印象である」と感じますか?
回答/「前の動画の方が当てはまる」「前の動画の方がやや当てはまる」「どちらも同じくらい当てはまる」「後の動画の方がやや当てはまる」「後の動画の方が当てはまる」
実施時期/印象評価試験・データ解析 2023年3~10月
※3 動画の表示順が印象に与える影響を排除するため、2種類の動画をランダムに提示。また、タスクに慣れるため、評価開始直前に別モデルの動画を1回のみ視聴。
【補足資料2】 顔の上半分だけを見たときの印象評価結果
顔の上半分だけの動画で「基準動画」と「表情ジワの消失が遅い動画」の比較を行なった結果を、図3に示した。
顔全体の動画の結果と同様に、表情ジワが速く消える動画の方が、「好印象である」と回答した人が多いことがわかった。
なお、顔全体の動画を表示した場合と比べ、顔の上半分だけの動画の方が、表情ジワが速く消える動画の方が、「好印象である」と回答した人がより多い結果となった。
これは、顔が上半分だけ見えるために、視線が目元に集中することが原因として考えられる。ウイルスや花粉対策でマスクをした場合には、目元の表情ジワが印象に影響しやすいと言えそうだ。
【補足資料3】 表情ジワの消えやすさと皮膚の弾性
これまでの研究から、表情によって生じるシワの消えやすさ(シワ回復係数)は、図4に示すように皮膚の弾性(※4)と比例関係にあることがわかっている。つまり、皮膚の弾性が大きいほど、表情ジワが消えやすい可能性があると示唆されている。
※4 皮膚の弾性: 皮膚に加えていた圧力を取り除いた際に皮膚が元に戻ろうとする性質
また、これまでの研究から、皮膚の弾力性は、図5に示すように皮膚のタンパク質密度と相関することも見出されている。表情によって生じるシワを消えやすくするには、皮膚の弾性に対するケアが適していると考えられる。
関連情報
https://www.pola-rm.co.jp/research/research2-4.html
構成/清水眞希