【No.2】MZ世代を中心に大ヒット!ゼロシュガー韓国焼酎「チョウムチョロン セロ」
2022年9月にロッテ七星飲料から発売された韓国焼酎「チョウムチョロン セロ/처음처럼 새로」は、既存の製品とは異なり果糖を使わないゼロシュガー焼酎。
ゼロシュガーだが苦みやきつさがなく、すっきりとした柔らかい味が特徴。麦と米が主原料の希釈式焼酎(日本の甲類焼酎)であるが、焼酎本来の味を出すために蒸留式焼酎(乙類焼酎)を添加している。
韓国陶磁器の美しさを表現した瓶のデザインが高級感を出しており、視覚的にも違いを表現している。発売から1か月で約680万本、2023年4月には累計販売数が1億本を突破。
韓国焼酎市場を代表する商品になりつつある。360mlの瓶1,800ウォン、640mlのPET3,300ウォン、アルコール度数16度。一般的に韓国焼酎は無糖だと思われているが、アルコール臭を消すためなどに微量の果糖や甘味料が入っていた。
ゼロシュガー焼酎は、微量の糖分を0にしただけであるが、焼酎市場で異例の大ヒットとなった。
■背景
韓国ではこれまで「ゼロ飲料」は人気のない商品だった。「コカ・コーラゼロ」のような商品はあったが、取り扱い店は限られ、食堂やファストフード店のメニューにもごく僅かしかなかった。
しかし、コロナ禍の影響で人々の健康志向が高まったことを背景に、運動不足の解消や健康維持のためのカロリーや糖質を抑えた食品・飲料への関心が増した。
この動きを受けて、飲料メーカーは続々とゼロシュガーやゼロカロリー飲料を市場に投入。「ヘルシープレジャー」がトレンドになっているMZ世代を中心に、大人気になっている。
チョウムチョロン セロは既存の焼酎とのカロリー的な差は微々たるものだが、CMやSNSを駆使したゼロシュガーを前面に出したマーケティング戦略により、「健康に良くない果糖の入っていない健康焼酎」というイメージが市場に定着し、大きな成功を収めた。
【No.3】大人のスナック菓子という新カテゴリーを生み出した農心「モクテカン」
農心が2023年6月に発売した「モクテカン/먹태깡」(60g / 1,700ウォン)が、入手困難な幻のアイテムとなるほどの大ヒットを記録している。
モクテカンは、ビールのおつまみとして親しまれている干したスケトウダラ「モクテ」の風味を再現したスナックで、韓国で最も売れているスナックといわれている「セウカン」のシリーズ製品として市場に登場した。
モクテ特有の風味や甘みはもちろん、食べる際に添えるマヨネーズと青唐辛子の味わいまで忠実に再現している。そのピリッとした味わいとカリカリの食感は、やめられない中毒性をもたらしている。
発売以来12週間で600万袋を超える売り上げを記録し、「ビールに合うおつまみ」として評価されている。これまで韓国にはなかった「大人のスナック」の新カテゴリーを築いた。
発売から5か月が経過した2023年11月現在も、その人気は衰えることなく、ライバル企業からの類似製品の登場も相次いでいる。2024年も大人のスナックは、さらに市場の拡大が見込まれる。
■背景
2022年に公表された韓国の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間で出産する子どもの数)は0.78と、OECD加盟国の中でも最下位だった。
この様な少子化が進んでいく中で、食品業界は深刻な危機意識を抱き、これまで子どもをターゲットにしていた製品のマーケティング戦略を、大人向けにシフトさせる動きをみせている。
農心は国民に長年愛されてきたセウカンをベースに、「新しい大人用のスナック」として、「懐かしさと新しさを兼ね備えたスナック」を開発した。
この斬新なコンセプトのスナックは、特に中高年層の購買意欲をかき立て、大ヒット商品となった。品薄状態が続くことでプレミアム化し、さらにブームを加速させた。オンラインでの転売も横行していて、その価格は市販価格の3~5倍にも上る価格で売られている。