【No.5】レジャー感覚でお茶を愉しむ新スタイル七輪を囲んでお茶をする「圍炉」
自然の美しい屋外や新しいスタイルの中国茶館で、お茶を愉しむ「圍炉/ウェイロウ」がトレンドになっている。圍炉とは、自分で七輪に火をおこしてお茶を淹れ、その横でみかんを焼いたり、ひまわりの種を食べたりしながらお茶をすること。
古き良き時代の中国文化が感じ取れる圍炉は、古臭くていかにも若者が嫌いそうだが、若者にとってはそれが新鮮でオシャレという感覚があり、2022年秋口頃から週末のレジャーの1つとなっている。
この流行りに合わせ、圍炉を商品として出す茶藝館やカフェが増えている。またカフェだけでなく、成都の火鍋店「吼堂老火锅」では、ウェイティング時間に無料で圍炉の提供を行っている。
圍炉を中華式BBQと捉え、ECでは茶器と炉などをセット販売するショップも出てきた。圍炉の進化系として、山西省の「并州大排档」では、お茶がワイン(ホットワイン)に替えられ、58元で提供している。
■背景
中国ではここ数年、自国文化を見直す「国潮」という潮流があり、特に若者を中心に復古的なものが流行る傾向にある。
2022年夏にヒットしたドラマ「夢華録」で、ヒロインがお茶を淹れる姿が優雅だと話題になり、舞台となった宋代のお茶文化にも注目が集まった。
このドラマが、圍炉人気のきっかけの一つともいわれている。コロナ禍で人との交流が制限されたことやゼロコロナ政策時のストレスによって、若者にはインタラクティブなコミュニケーションや健康で身体に良いことが求められる傾向にある。この若者のインサイトにマッチしたのが、レジャー感覚でお茶を楽しむ圍炉だった。
調査概要
■調査方法:TNCアジアトレンドラボ、現地ボードメンバーを中心としたグループインタビュー、及びライフスタイル・リサーチャーによる定性調査
■調査時期:2023年1月~12月
■調査対象者:各国の主要都市に5年以上居住する男女、かつアッパーミドル以上の生活者、10代後半~20代のトレンドに敏感な層
■調査実施機関:株式会社TNC(https://www.tenace.co.jp/)
構成/ob1