【No.2】レジャー人気から生まれたトレンドワード「松馳感」&「煙火気」
リラックスして何も考えずに過ごすことを表す「松馳感/ソンチーグアン」。かまどの煙の気配(その村の生活感が漂ってくること)を表す「煙火気/イェンフオチー」。
このもともと使われていた2つの言葉が新たな意味を持ち、2023年のトレンドワードになった。2022年頃から一部の若い層がSNSで使い始め、2023年に定着した。
松馳感は「意図やコンセプトを考えさせない(見るだけでほっとする)」ものという意味で、煙火気は「郷愁(懐かしさ、親しみやすさ)」などの意味で使われるようになった。
どちらもレジャー(旅行・アウトドア)や、レストランの雰囲気などに使われることが多い。陶磁器などの器、陶磁器の街である景徳鎮への旅行、カフェ(コーヒー)より中国茶を楽しむ茶館など、中国的解釈の「わび・さび」ともいえる趣への関心が高まっている。
■背景
仕事の忙しさや雇用不安からストレスを抱える人が増加している。
2022年末にゼロコロナ政策が終了し、自由に旅行ができるようになると、リラックスを求める人が増えてレジャーの需要が増した。
また、コロナ禍以前の京都旅行をきっかけに、抹茶、茶道、日本の器、朽ちゆくものを愛でる文化など、「侘び寂びの概念」に共感する人もいた。
テーマやコンセプトを提示されることを、押し付けがましいと感じる若者も多かったことから、松馳感と煙火気の概念が新鮮に映った。
コロナ禍以降にブームとなったアウトドアにマッチする言葉だったことも、定着した大きな理由となっている。