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中国・上海編「アジアの今がわかる 2023年トレンドトップ5」
国際通貨基金(IMF)によると、アジア地域の2023年の経済成長率は前年の3.9%から4.6%に上昇する見込みで、世界経済成長の約70%をアジア地域が占めると予想されている。
中国とインドのほか、インドネシアとベトナムは内需の回復もあり成長を後押ししている。
国際情勢はロシアによるウクライナ侵攻が昨年から続くなか、イスラエルとイスラム組織ハマスとの武力衝突が発生するなど、大きな動きがみられた1年だった。
そんな中、アジアの最新情報を分析、配信している「TNCアジアトレンドラボ」(https://tnc-trend.jp/)がアジアの「2023年トレンドトップ5」を発表。現地生活者の視点でランキング化したので紹介しよう。
大手不動産企業の経営難などネガティブな話題も増加
1年遅れで開催された「第19回アジア競技大会中国・杭州」。動員数は約300万人、チケット売り上げは6.1億元に達するなど、大きな盛り上がりをみせた。海外旅行が復活した後も、国内旅行のブームも続いており、国慶節だけでのべ8.26億人が旅行をしている。
ドラマや映画のヒット、EVの販売増(2023年上半期の世界販売台数の約55%が中国)などがあった一方で、大手不動産企業の経営難、失業者増加などネガティブな話題も増え、経済成長率は低下傾向に。日本の水産物輸入停止などの負の話題も長引いている中国・上海のトレンドランキングを紹介。
【No.1】EV大手「BYD」がリードする中国電気自動車市場
中国で電気自動車市場は近年急速に成長し、若い世代にもEV車が支持されている。行政もEV車の普及を促進しており、上海の市場普及率が40%を超え、2025年には50%を上回ると予想されている。
リーダーブランドである「BYD /比亚迪」は、2023年4月の販売台数が209,467台、1月~4月の累計販売台数は757,384台に達し、その人気は圧倒的である。
車内空間が広く内装のデザインが良い点や、車外にいてもバッテリー残量の確認やトランクの開閉、エアコンのスイッチのオン・オフなどの遠隔操作ができる点も支持されている。
BYDはもともと電池やバッテリーのメーカーとして誕生したため、独自のリチウム鉄リン酸電池など、安全性への信頼が高い。その他のブランドでは、安徽省の「奇瑞集团」は1月~4月の累計販売台数は457,048台、広州の「AION /埃安」は同期間の累計販売台数が121,320台と、それぞれ堅調な売上を見せており、BYDを追随している。
■背景
上海市人民政府は、EV車の普及を促進するため、優遇政策(上海市提信心扩需求稳增长促发展行动方案)を発表。
2023年1月1日から12月31日までの期間、EV車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車は、自動車取得税が免税となることが発表された(車両リストに含まれている車種)。
また、ガソリン車からEV車への乗り換えを促すため、1万元の補助金が提供される。この補助金は、もともと2022年末まで実施されていたものだが、2023年6月30日まで延長された。
また、上海市では渋滞緩和などを目的に、ナンバープレートによる制限を行っている。祝日を除く7:00~20:00までの時間帯に高速道路を利用するためには、上海市発行のナンバープレートが必要。
ガソリン車のナンバープレート新規取得は抽選方式になっていて、当選確率は20%以下。そのうえ取得するのには9万~10万元ほどの費用が必要になっている。
その反面EV車のナンバープレートは、一定の条件を満たせば一人につき1枚のみ無料で取得することが可能。これらの制度により、多くの人が乗り換えを検討し、EV車市場は拡大を続けている。