夫が高血圧だと妻も高血圧になりやすい?
夫婦のどちらかが高血圧だとその配偶者も高血圧である可能性の高いことが、新たな国際的な研究により明らかにされた。
論文の上席著者である、米ミシガン大学のChihua Li氏は、「中高年に高血圧が多いことはよく知られているが、米国、英国、中国、インドの中高年の夫婦の多くで夫婦がそろって高血圧であることが分かり、われわれは驚いた。例えば、米国では50歳以上の夫婦の35%以上が夫婦そろって高血圧であった」と話している。
この研究の詳細は、「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に2023年12月6日掲載された。
この研究では、米国(2016〜2017年)、英国(2016〜2017年)、中国(2015〜2016年)、インド(2017〜2019年)でそれぞれ実施された研究から、異性カップルのデータを用いて(米国3,989組、英国1,086組、中国6,514組、インド2万2,389組)、夫と妻がともに高血圧である夫婦がどの程度いるのかが調査された。
夫婦の平均年齢は、妻の場合では51.1歳(インド)から72.5歳(英国)、夫の場合では57.2歳(インド)から74.2歳(英国)の幅があった。高血圧は、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上、または高血圧の診断歴を有する、のいずれかが該当する場合と定義された。
その結果、夫婦がともに高血圧である割合は、米国で37.9%(95%信頼区間35.8〜40.0%)、英国で47.1%(同43.2〜50.9%)、中国で20.8%(同19.6〜21.9)、インドで19.8%(同19.0〜20.5)であることが明らかになった。
また、いずれの国でも、高血圧ではない夫を持つ妻に比べて、高血圧の夫を持つ妻では本人も高血圧である確率が高く、有病率比は米国で1.09(95%信頼区間1.01〜1.17)、英国で1.09(同0.98〜1.21)、中国で1.26(同1.17〜1.35)、インドで1.19(同1.15〜1.24)であった。同様の結果は、高血圧の妻を持つ夫についても認められた。
論文の筆頭著者である、米エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院グローバルヘルス分野のJithin Sam Varghese氏は、「夫婦は同じ趣味、生活環境、生活習慣、健康アウトカムを持つことが多いが、われわれは、高血圧についてもそれが該当するのかどうかを知りたかった」と説明。
また同氏は、「われわれの研究は、高所得国と中所得国において、夫と妻の両方が高血圧である夫婦の割合について調べた最初の研究だ」と述べている。
今回の研究には関与していない、米ウェストバージニア大学公衆衛生大学院疫学・生物統計学分野のBethany Barone Gibbs氏は、「幸いなことに、高血圧を予防するためにできることは、個人レベルでも夫婦レベルでもたくさんある」と言う。
同氏は、「活動的になる、ストレスを減らす、食生活を健康的にするなどの生活習慣の改善は、血圧を下げるのに有効であり、その改善を維持することはさらに重要だ。しかし、配偶者やパートナーが一緒に取り組まない限り、その達成は難しいだろう」と話している。(HealthDay News 2023年12月6日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.123.030765
Press Release
https://www.heart.org/en/news/2023/12/06/high-blood-pressure-may-be-experienced-as-a-couple
構成/DIME編集部