■連載/阿部純子のトレンド探検隊
冷蔵庫の上の掃除を1年以上していない人は4割以上、10年以上も1割
デザイン脚立「ルカーノ」を展開する長谷川工業が、20 代~60代の月に一度は自身で掃除するという604名を対象に「2023 大掃除に関する意識調査」を実施した。
調査では「冷蔵庫の上」など1年以上掃除をしておらずホコリが溜まった状態と回答した人が45%を超え(下記グラフで青が1年以上、赤が10年以上)、冷蔵庫の上、エアコンの上など10年以上手をつけていない人も11%と、高所の掃除が手つかずのまま放置されている現状が明らかになった。
高所の掃除をしていない理由として、掃除の優先順位が低い、身長が低くやりづらい、気分が上がらないことなどが挙げられている。
この結果を踏まえ、掃除スペシャリストのAyakaさんを講師に迎えた「#アガる高掃除勉強会」が開催。Ayakaさんが「高掃除(高所の掃除)」が注目される背景を解説し、「高掃除」のテクニックを紹介した。
〇高所の掃除が敬遠される理由とは
「日常的な掃除で、目の前にある汚れはすぐ落とそうという心理になりますが、高いところの汚れは目線より上なので、意識して見ない限り汚れ具合がわかりません。目につくところではないため、高所の掃除をしてない方が多いのではないでしょうか。
また、昨今の住宅トレンドとして、空間を広く見せるために天井が高くなっています。マンションも以前の標準だと2400mmでしたが、今は10cm高くなって2500mmとなっています。戸建てでも吹き抜けの部屋が多くなっているので、掃除がしにくい場所が出てきてしまいます。
高所の掃除を敬遠する理由で『気分がのらない』が3位になっています。今回提唱する『#アガる高掃除』は、“気分が上がる”“高い所に上がる”をかけ合わせ、気分を上げて高所を掃除しようというものです。
汚れは時間に比例するので、長年かけて汚れたものは掃除する時間も長くなってしまいます。コツコツと少しずつでも汚れを溜めないように、日頃から掃除できる環境を作った方がいいですね」(以下「」内、Ayakaさん)
〇高掃除を手助けする3種の神器
Ayakaさんがおすすめする、高い場所の掃除や日頃からの掃除を手助けする “3種の神器”が、「気分のアガる脚立」「ウールダスター」「高機能モップ」。
「気分のアガる脚立」としてAyakaさんのおすすめが、長谷川工業の「ルカーノ」https://www.hasegawa-kogyo.co.jp/lucano/ 。ワンタッチバーで折りたたみしやすく、自立機能があるので片付ける必要もなく、“脚立感”がない高いデザイン性で部屋に置きっぱなしにしてもインテリアになじむ。
「脚立として使っていない時はパソコンを置いて仕事をしたり、観葉植物をのせてして棚として使っている知人もいます。脚立はうまく畳まないと指を挟んでしまうこともありますが、ルカーノはワンタッチで閉じるので子どもでも安心して使えます。自立するのもメリットで、薄いのですき間に立てて収納ができます」
「ラムウールダスター」は羊毛を使ったダスターで、Ayakaさんが愛用しているのが、ドイツのメーカー「Redecker(レデッカー)」のもの。
「大掃除に限らず、乾いたホコリのある場所をさっと拭くダスターは日頃の掃除でも必要にはなるもの。日常的に使いたいものをしまっておくと、なかなかやる気にならないので、インテリア映えするレデッカーのダスターを壁にかけておき、家族がすぐに手に取れるような環境を作ってあげるのもいいかもしれません」
「MQ・Duotex 高機能モップ」は、水だけで菌も汚れも取るスウェーデン発のマイクロファイバーモップ。
「高いところを掃除する際、洗剤を使うのはとても大変で、スプレーしても届かない場合もあります。MQ・Duotex(エムキューデュオテックス)は水だけで汚れを落としてくれる高機能のモップで、バクテリア99%、花粉97%除去し、油汚れも落としてくれるスグレものです。
青いマイクロファイバーのクロス部分は汚れたら洗濯機で洗うことができ、500回ほどの洗濯に耐えられます。耐熱仕様なのでお湯で消毒もできます。
ラムウールダスターもそうですが、MQ・Duotexモップもとても軽いので、腕を上げたり、伸ばしたりして行うことが多い高所の掃除でも疲れずにできます。
大掃除では、天井や壁の細かいホコリも取った方が家の中がきれいになるので、軽くて使いやすいモップと脚立と一緒に使ってもらうとかなり便利だと思います。
このモップは長く伸ばすことができるので、天井が高い吹き抜けの家でも、脚立を組み合わせればお掃除できます」
〇高い場所を掃除するときのポイント
「ホコリ掃除をする際は、上から下に掃除するというのが基本です。上にあるホコリは必ず下に落ちてしまうので、先に下を掃除すると二度手間になってしまいます。
もうひとつ大切なのが、掃除をする時に窓は閉めるということ。乾いたホコリが風に舞ってしまい、せっかく拭き掃除したところにもホコリがまた溜まってしまいます。風の流れを止めて掃除をすると完成度が変わってきます」
カーテンの上や、シーリング照明の上などは、粘着性のない乾いたホコリなので、ウールダスターで、拭き残りがないように端から端にかけていく。乾いたホコリに対しては、基本的に水拭きはしないこと。
「みなさんはホコリを取るときは雑巾を絞って水拭きするイメージがあると思いますが、乾いたホコリがあるところに最初から水拭きはNGです。水分が含んでないホコリにわざわざ水拭きで水分を与えては、サラサラの砂に水をかけると泥になるのと同じです。乾いたホコリにはウールダスターの空拭きで十分にきれいになります。
空拭きした後に水拭きをし、さらに空拭きをすると埃が付着しづらくなります。手間がかかってしまいますが、気になるようであれば徹底的にやってもいいかもしれません」
冷蔵庫の上やレンジフードなど、キッチン周辺のホコリには油が混ざって粘着性のある汚れになり、落とすにも時間がかかる箇所。
「汚れは酸性、アルカリ性の2つに分かれます。油汚れに関しては酸性。酸性の汚れには逆であるアルカリ性の洗剤で掃除をしましょう。100円ショップでも簡単に手に入る重曹、電解水を使えばきれいに掃除ができます」
掃除後にきれいな状態を保つ「ラッピング」を施すことをAyakaさんは推奨。ホコリが溜まりやすいレンジフードの上の部分には、ラップを伸ばしてマグネットで貼り付けると、本体を汚さずに済み、1年に1回ラップを取り替えるだけなので、掃除がだいぶ楽になる。
冷蔵庫の上には、市販の換気扇フィルターを貼り、フィルターを年に1回取り換えるだけで、レンジフード同様に掃除の手間が大幅に軽減される。
大掃除では天井や壁もぜひやっておきたい箇所。洗剤を使いにくい場所であるので、おすすめはMQ・Duotex 高機能モップ。
「MQ・Duotexは水だけで部屋中をきれいにすることができるので、まずは天井から行いましょう。天井を拭く際は、カタカナの『コ』の字を書くように端から端までを一列ずつ、拭き残しがないように掃除をします。モップでさっと拭くだけで、部屋のニオイや空気感が変わってくると思います。
拭き掃除の基本はすべて『コ』の字。ダイニングテーブルやキッチンを拭くとき、ぐるぐると円を書いている場合が多いかもしれません。一見すると全体を拭いているように思えますが、拭き残しが発生してしまいます。
『コ』の字で拭くと、同じ道を通らずに一本道をずっと続けていくイメージで、汚れた部分を残さずにきれいにすることができます」
【AJの読み】安全に配慮して効率的な高掃除を
掃除は手順が重要だと話すAyakaさん。「上から下に」が鉄則で、天井や壁、冷蔵庫やエアコン、カーテンレールの各上部の高掃除をしてから、最後に床掃除を行う。
日常の床掃除では、「おおよそ6~7時間で舞っているホコリが全部下に落ちると言われており、床掃除のベストは朝一番の誰も起きていない時間帯です。朝、家族で最初に起きた人窓を開ける前に床掃除をするのが理想ですね」。
大掃除の時期、高い場所の掃除は家族の中では男性に任せがちだが、気を付けてほしいのが脚立での事故。製品評価技術基盤機構(NITE)が発表した高掃除の事項件数は、脚立・はしごに乗っての事故が2022年は10件、過去5年間で93件発生し、うち9割が人的な要因による事故になっている。
「脚立は基本的にバランスが取りにくくなってしまうので、必ず作業面に対して正面に向けて設置していただく形で作業をお願いいたします。
作業中に、もう少し遠くのところまで掃除をしたいと手を伸ばしてしまいがちですが、体を乗り出して作業をするとバランスが崩れてしまい、転倒の危険性がかなり高まります。ステップの真ん中の部分、体の中心をしっかり支えられる場所に乗った状態で作業をしていただくことが大事です。
もし、少し遠いところで作業をしたい場合は、一度脚立を降りて場所を移動させてから作業するようにしましょう」(長谷川工業 杉原氏)
筆者宅でも10年前からルカーノを愛用しており、掃除だけでなく高い場所のものを取ったり、キッチンでイス代わりにしたりと重宝している。ワンタッチで開閉するのでとても楽で、自立式でダイニングテーブルの下に置き、常に使える状態にしている。今年の大掃除でもルカーノが活躍しそうだ。
文/阿部純子