「税」は2014年以来2度目の第1位に
公益財団法人 日本漢字能力検定協会は、漢字の奥深さと意義を感じてもらうための活動の一環として、毎年年末に今年一年の世相を表す漢字一字とその理由を全国から募集。最も応募数の多かった漢字を、京都・清水寺の森清範貫主の揮毫により発表し、 奉納の儀式を行っている。
本年も11 月 1 日(水)から 12 月 6 日(水)までの期間、2023 年の世相を表す漢字一字とその理由を 全国から募集した結果、14万7878 票の応募があり、その中から「税」が 5976 票(4.04%)を集めて、2014年以来2度目の第1位となった。
ちなみに2014年は、当時の安倍晋三首相が2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを2017年4月まで延期することを表明した年になる。
税(ゼイ・セイ/みつぎ)
意味/みつぎ。ねんぐ。ぜいきん(税金)。「納税」
(出典:日本漢字能力検定協会発行 『漢検 漢字辞典 第二版』・Webサイト「漢字ペディア」)
■応募者が「税」を選んだ主な理由
・一年を通して増「税」議論が活発に行われた
防衛力強化に必要な財源を 賄 うため、法人「税」、所得「税」、たばこ「税」の 3 つの「税」目での増「税」に 関する議論が行われた。賛否両論がある中、増「税」されるのではないかと多くの国民が不安に感じた。
・所得「税」、住民「税」の『4万円の定額減「税」』が話題に
過去2年間の「税」収増の還元として、岸田首相から、所得「税」と住民「税」の定額減「税」が実施されることが示された。あわせて行われる低所得者世帯への支援や所得制限の有無など、国民が関心を寄せ る検討・議論が多くなされた。
・ インボイス制度やふるさと納「税」など、多岐に渡る「税」にまつわる話題が取り沙汰された
インボイス制度や、ふるさと納「税」のルール厳格化、酒「税」改正、新NISAなど、今年は様々な「税」にまつわる改正や検討がなされ、一年を通じて「税」に関する様々な話題が続いた。
2023年「今年の漢字」TOP20
2023年の第1位は「税」となったが、過去に「税」が「今年の漢字」のトップ20にランクインしたのは、1997年(18 位)、2013 年(16 位)、2014 年(1 位)、2019 年(10 位)の4回。いずれも消費税が話題の中心だったが、今年は、様々な種類の税について触れられていた。
2位以降では、「戦」「争」が昨年に引き続きランクイン。一方で、夏の平均気温が統計開始以来最高であったことによる「暑」「熱」や、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)や阪 神タイガースの優勝、大谷翔平選手の活躍など、野球関連の「虎」「球」「翔」「侍」が並んでいる。
また、物価高を背景とする「高」「増」などの生活の厳しさを表す漢字や、新型コロナウイルス感 染症5類移行で、日常が戻ってきたことを喜ぶ「楽」「明」もトップ 20 に入った。
1位 「税」(ゼイ・セイ/みつぎ)
2位 「暑」(ショ/あつい)
3位 「戦」(セン/いくさ・たたかう・おののく・そよぐ)
4位 「虎」(コ/とら)
5位 「勝」(ショウ/かつ・まさる・すぐれる・たえる)
6位 「球」(キュウ/たま)
7位 「高」(コウ/たかい・たか・たかまる・たかめる)
8位 「変」(ヘン/かわる・かえる)
9位 「増」(ゾウ・ソウ/ます・ふえる・ふやす)
10位 「楽」(ガク・ラク・ゴウ・ギョウ/たのしい・たのしむ・ かなでる・このむ)
11位 「翔」(ショウ/かける・とぶ)
12位 「争」 (ソウ/あらそう・いさめる)
13位 「熱」(ネツ/あつい・ほてる・いきる・ほとぼり)
14位 「明」(メイ・ミョウ・ミン/あかり・あかるい・あかるむ・ あからむ・あきらか・あける・あく・あくる・あかす)
15位 「新」(シン/あたらしい・あらた・にい・さら)
16位 「金」(キン・コン/かね・かな・こがね)
17位 「和」(ワ・オ・カ/やわらぐ・やわらげる・なごむ・なごやか・ なぐ・あえる)
18位 「優」 (ユウ・ウ/やさしい・すぐれる・ゆたか・まさる・わざおぎ・やわらぐ)
19位 「侍」(ジ・シ/さむらい・はべる・さぶらう)
20位 「幸」(コウ/さいわい・さち・しあわせ・みゆき)
関連情報
https://www.kanken.or.jp/kanji2023/
構成/清水眞希