東急東横線は東京メトロ副都心線、みなとみらい線との相互直通運転が開始され、さらに2023年3月には日吉駅経由で相鉄・東急新横浜線との相互直通運転もスタートした。
これにより渋谷駅から先の新宿三丁目駅や池袋駅、横浜駅から先の元町中華街駅にも1本で行けるようになったうえ、東海道新幹線の新横浜駅にも渋谷駅から乗り換えずに最速25分で到着可能になった。
では、そんな利便性の高い東横線沿線の住まいの価格はどの程度なのだろうか。
リクルートが運営するニュースサイト『SUUMOジャーナル』は、「SUUMO住みたい街ランキング2023 首都圏版」の「住みたい沿線ランキング」で、2位に選ばれている「東急東横線21駅のカップル・ファミリー向けの中古マンション」(専有面積50平米以上~80平米未満)の価格相場のランキングを発表した。
東急東横線で中古マンションを探すなら横浜市港北区の駅に注目!
※田園調布、多摩川、白楽の各駅は掲載物件数20件を満たないため除外
最も「カップル・ファミリー向けの中古マンション」(専有面積50平米以上~80平米未満)の価格相場が安かったのは、神奈川県横浜市港北区にある「菊名駅」であった。
菊名駅の価格相場は4090万円。最も安くて4000万円オーバーということからも、東急東横線の人気の高さがうかがえる。
菊名駅は全21駅中で6駅だけの特急停車駅の一つで、菊名駅以外の5駅は価格相場が5000万円以上という点を考えるとお得感があるかもしれない。
特急に乗れば横浜駅までは1駅で約6分、渋谷駅までは4駅、約21分で到着することができる。JR横浜線も乗り入れており、新幹線駅でもある新横浜駅までは1駅。
菊名駅はスーパーに直結し、JRの駅舎にはミニスーパーとベーカリーも。駅の東口にも西口にも商店街が広がり、個人商店やスーパー、ドラッグストアがある。
駅から北に延びる綱島街道を進むと、市立図書館や郵便局、港北区役所にも徒歩15分以内で行くことができます。
2位には価格相場4280万円で神奈川県横浜市港北区の「妙蓮寺駅」がランクイン。1位菊名駅から横浜方面へ1駅目に位置しているが、停まるのは各駅停車の列車のみのため横浜駅までは4駅約7分となり、菊名駅~横浜駅間よりも時間が必要だ。
妙蓮寺駅の東口を出ると目の前には駅名の由来となった妙蓮寺があり、広大な境内には落差約4mの滝もある。妙蓮寺の北側には市立小学校、その周囲には住宅街が続き、商店街は主に駅の西側。
大型商業施設はなくてもスーパー、ドラッグストア、精肉店や青果店から多彩な飲食店まで小さなお店が豊富に揃っている。商店街の先、駅の北西方面には大きな池や遊具、夏季営業のプールを備えた「菊名池公園」があるので、休日に家族で出かけるのもいいかもしれない。
3位も神奈川県横浜市港北区から、「日吉駅」が価格相場4839万5000円でランクイン。通勤特急と急行が停車する駅で、通勤特急に乗ると横浜駅まで2駅約12分、渋谷駅までは4駅約23分。
東急目黒線と横浜市営地下鉄グリーンラインも乗り入れているほか、2023年3月開業の東急新横浜線の駅の一つでもある。
そんな日吉駅の東口駅前には慶應義塾大学の日吉キャンパスが広がり、通学にもよく利用されていることから1日平均乗降人員数は東急東横線内で5番目の多さ(2022年度)。
駅には地下1階から地上3階までさまざまな店舗が並ぶ専門店ビルが併設され、西口駅前にも商店が豊富。学生の街だけあって、気軽に利用できる飲食店が充実している点も魅力だ。
■注目の駅は便利な割にリーズナブルなあの駅!
ランキングで注目したいのは8位の「新丸子駅」。新丸子駅は神奈川県川崎市のほぼ中央部、中原区に位置する。駅から15分ほど北に歩き、丸子橋を渡って多摩川を越えれば東京都大田区に入る。
多摩川沿いには自転車歩行者道「かわさき多摩川ふれあいロード」が整備され、気軽にサイクリングや散策が楽しめる環境だ。
駅前は西口、東口ともに商店街が広がる活気ある街並み。西口を出て5分ほど歩くと大学の附属病院もある。病院の西側には2019年4月に川崎市立小杉小学校が開校し、増加傾向にある近隣住民の子どもたちが通っている。
さらに病院の南側では現在も再開発が進行中。2026年2月の竣工を目指してツインタワーが建築されており、住宅棟と商業施設、高齢者福祉施設や子育て支援施設が誕生予定。
また、新丸子駅から南に5~6分も歩くと、11位武蔵小杉駅に到着する。両駅間は東急東横線内で最短、500mほどしか離れていない。
そのため新丸子駅周辺に住んでも、武蔵小杉駅周辺にある大型ショッピングモールに気軽に行くことが可能。武蔵小杉駅からなら、東急東横線の特急や急行も停車する。
さらに、南武線や横須賀線、新宿湘南ラインも利用できるのも便利なポイント。好条件が揃っているが価格相場は格段にリーズナブルなので、新丸子駅周辺で物件探しをするのもいいかもしれない。
さて、新丸子駅から渋谷方面に進むとまたも価格相場は上昇していく。なかでも東京都目黒区の15位「都立大学駅」は、価格相場が同額の7980万円で12位にランクインした自由が丘駅と学芸大学駅の間に位置しながら、8910万円という高さ。
都立大学駅は各駅停車しか停まらないが、急行停車駅である両隣の駅よりも価格相場が930万円もアップする。ただ、各駅停車でも渋谷駅までは5駅約15分と近く、隣の学芸大学駅で急行に乗り換えると約12分で行くことができる。
そんな都立大学駅は現在リニューアル工事が行われている。すでに外壁など一部は改修済みで、2024年春に完了予定。駅の高架下には飲食店や精肉店があるほか、駅前の商店街もにぎわっている。
しかし駅から少し離れると静かな住宅街が広がり、のんびり散策できる緑道も。1日平均乗降人員数は両隣の駅と比べて2万人以上も少ない都立大学駅。都会の便利さを享受しつつ静かに落ち着いて暮らせる点が、この街の魅力と言えそうだ。
今回調査した東急東横線は、2023年8月より有料座席指定サービス「Qシート」がスタートして話題を呼んだ。
これは平日の夕方以降に渋谷駅を発車する一部の元町中華街行き急行列車に導入され、既存車両よりも広い座席や無料Wi-Fiサービスが利用できるもの。クタクタの仕事終わりやたっぷり遊んだ帰り道、ゆったりと座って帰宅できる。
そんな新たな魅力を備えた東急東横線は、今後も「住みたい路線」としての人気がより高まっていくかもしれない。
調査概要
調査対象駅:SUUMOに掲載されている東横線沿線の駅(掲載物件が20件以上ある駅に限る)
調査対象物件:駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ、専有面積50平米以上80平米未満
データ抽出期間:2023/4~2023/9
物件相場の算出方法:上記期間でSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出
※記載の分数は、駅内および、駅間の徒歩移動分数を含む
※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している
関連情報
https://suumo.jp/journal/2023/12/14/199236/
構成/Ara