我が家に合うのはどれ?設置方法と施錠、解除方法の違いをチェック
スマートロックとひと口にいっても多種多様な製品が発売されている。
試しにAmazonで検索してみたところ、400件を超える商品がヒットした。これだけたくさんある中から、何を基準にどう選べばいいのか。同じスマートロックでもメーカーや製品によって、実はそれぞれに使われている技術も、利用できる機能やサービスも少しずつ違う。
そこで今回はスマートロック選びの第一歩として、様々な切り口からその種類とできることを整理してみたい。
■スマートロックの設置方法
まずはスマートロックの設置方法に着目して、どんな種類があるのかチェックしてみよう。
スマートロックを既存のドアに設置する方法には、鍵ケースをまるごと交換する方法と、今ある鍵ケースに後付けする方法の大きく2とおりある。
(1)鍵ケース交換型
鍵ケースをまるごと交換する方法。場合によっては穴開けなどの工事が必要になるケースもあり、賃貸契約の場合は、大家さんの許可が必要。専門の工事会社に委託する場合は費用が発生する。
(2)後付け型(両面テープ)
サムターンとは、ドアの室内側から鍵の開け閉めを行うつまみのこと。
既存の鍵をそのまま活かし、サムターンに被せるように取り付け、モーターでサムターンを回すのが後付け型のスマートロックです。スマートロック本体と扉を両面テープで貼り付ける製品が多くみられるが、夏場の暑さで接着が緩んだり、結露、経年劣化で粘着力が落ちたりして、落下の危険性もある。一方で、独自技術で既存の鍵ケースを活かしつつしっかり固定でき、しかも今まで使用していた鍵も併用できるスマートロックもあり、最近ではこのようなタイプが主流になりつつある。大家さんにとっても原状回復が簡単にできるため強い味方になりそうだ。但し、サムターンの形状などによっては、取り付け出来ないケースもあるので事前に確認が必要。
■スマートロックの解錠方法
スマートロックでどのような解錠方法が利用できるかも、メーカーや製品によって様々だ。
従来の鍵の代わりにスマートフォンやスマートウォッチを使用するもののほか、ICカードやQRコードを使って解錠できるもの、指紋など生体認証が利用できるセンサーが搭載されているもの、キーパッドを備えた鍵に暗証番号を入力するものなど、いろいろな方法がある。
また「スマートフォンで解錠」と言ってもその方法には、近距離無線通信のBluetoothを使った方法や、Wi-Fiにつないでインターネット経由で解錠する方法、スマートフォン内のICチップをかざす方法、画面にQRコードを表示して読み取らせる方法、GPSの位置情報を利用して登録したスマホが近づいたら解錠する方法など、実に多くの選択肢がある。
(1)スマートフォン(Bluetooth、Wi-Fi)
ワイヤレスヘッドホンなどでおなじみの近距離通信、Bluetoothを使ってスマートロックとスマートフォンが通信し、アプリなどで操作して解錠する方法のほか、スマートロックがWi-Fiにつながっている場合は、インターネット経由で解錠することもできる。いずれの場合も通信にタイムラグが生じるため、スマートロックの状況がアプリに反映されるまでや、スマホで行った操作がスマートロックに反映されるまでに、若干の時間がかかる。また周囲の環境によって通信が不安定になる点にも留意が必要。
(2)ICカード
ホテルのルームキーなどと同様に、ドアにセットされた読み取り用のリーダーに事前登録されたICカードをかざすことで解錠できる。ICチップを搭載するスマートフォンやスマートウォッチをかざして、同様に解錠することも可能。企業の入館証にも用いられているように、読み取りから解錠までスピーディーなのが特徴だ。
(3)QRコード
専用の読み取り機に、紙に印刷されたQRコードまたは、スマートフォンの画面などに表示したQRコードをかざすことで、解錠する方法。企業がゲスト用の入館のしくみとして、採用しているケースも多い。
(4)暗証番号
キーパッド付きの鍵に、あらかじめ設定された番号を入力して解錠する方法。電子錠やダイヤル式の鍵に似たしくみだが、スマートロックの場合はインターネットを活用し、暗証番号の変更が遠隔から容易に可能。
(5)GPS連動
スマートフォンやスマートウォッチなど、あらかじめ登録したデバイスが、一定の距離内に近づくと自動で解錠する方法。GPSの位置情報とクラウドサービス、Wi-Fiにつながったスマートロック、さらにBluetoothを掛け合わせるなどして、ハンズフリー解錠を実現しているスマートロックもある。GPSはスマートフォン建物構造等により距離の誤差が発生し、位置の計測が正確にできない場合があるので、注意が必要。
(6)生体認証
スマートロックに内蔵されたセンサーやカメラを用いて、指紋や顔など個々に異なる生体的特徴で認証する方法。スマートフォンのロック解除などと同様に、事前の登録が必要だ。指紋認証はスマートフォンなどでも広く使われているが、手袋の装着や指先の乾燥、怪我により認証が出来ないといったケースもある。
■スマートロックの施錠方法
スマートロックを導入するメリットのひとつが、鍵の締め忘れを防ぐオートロック機能だ。ほぼすべてのスマートロックで利用できるが、その方法にはタイマー式とセンサー式があり、スマートロックによって片方だけをサポートするもの、両方をサポートするものがある。
タイマー式は解錠から一定時間経過すると自動的に施錠されるというもの。時間の長さは設定で調整が可能だ。センサー式はその名の通り、センサーがドアの開閉を認識して、ドアが閉まったら自動で施錠するしくみ。このほかスマートフォンやスマートウォッチから操作して、手動で施錠することもできる。
(1)タイマー式オートロック
解錠から一定時間経過で自動的に施錠する。施錠までの時間は設定で変更が可能だが、一定時間が経過すればドアが開いた状態(半開き)でもサムターンが回ってしまう。
(2)センサー式オートロック
センサーがドアの開閉状況を認識して、閉まったら施錠する。
(3)スマートフォン(Bluetooth、Wi-Fi)
スマートフォンのアプリなどで操作して、Bluetoothまたは、Wi-Fiからインターネットを経由して、施錠する。インターネット経由の場合は、遠隔からの施錠操作も可能。解錠と同様に多少のタイムラグが生じる。
■スマートロックの電源
スマートロックは鍵を差し込んで回すのでなく、モーターを用いて鍵をかけるしくみのため、使用するには必ず電源が必要になる。多くは電池式だが、中には電源に対応するものもあり、ドア付近にコンセントがある場合は、電池切れの心配なく開閉ができる。
(1)電池式
充電式を含む一般的な単三電池、単四電池などのほか、カメラ、計測機器等に用いられるCR123Aの電池を採用するものも多い。電池残量は内蔵のLEDランプや、スマートフォンアプリなどで確認できる。CR123Aの電池は高額なうえ、コンビニ等ですぐに手に入ることができないため留意が必要だ。
(2)電源式
コンセントからACアダプター&ケーブルで電源を供給可能。電池式とのハイブリッドやUSBケーブルで給電できるものもある。
■さらに便利に!Wi-Fi接続でできること
スマートロックの中には、別途Bluetooth接続できるWi-Fiアダプターやゲートウェイ、モジュールと呼ばれる機器を設置することで、Wi-Fiに接続できるものもある。
Wi-Fiを経由してインターネットに接続できれば、クラウドサービスなどと連動してできることが広がる。たとえば「スマートロックの解錠方法」で紹介した、GPS連動の解錠方法もそのひとつ。ほかにも遠隔からの鍵の開閉状態のチェックや、誰がいつ解錠、施錠したかといった管理、遠隔での解錠、施錠操作、臨時キーの発行などができる。
(1)遠隔管理
登録されているデバイス、ICカード、QRコード、生体認証などから、誰がいつ解錠、施錠したかの情報を管理できる。履歴の確認だけでなく、スマートフォンなどで都度通知を受け取ることも可能なので、離れていても家族の帰宅や外出を見守れる。
(2)遠隔操作
鍵の状態を確認できるだけでなく、遠隔から解錠、施錠といった操作をすることもできる。一時的に解錠して荷物を運び入れてもらう、帰宅前に到着した友人に先に家に入ってもらうといったことが容易になる。
(3)GPS連動
登録したスマートフォンなどの位置情報を認識して、スマートロックの一定距離内に近づいたら、自動で鍵が開くといったハンズフリーの解錠ができる。GPSとBluetoothを組み合わせているケースや、同様のハンズフリー解錠をBluetoothの通信のみで実現しているものもある。
(4)鍵の発行や削除、暗証番号の変更
権限があればインターネットを活用して遠隔で新しい鍵や、期間限定の臨時鍵を発行することも可能。逆に削除することもできるため、この機能を応用すれば大家さんは住人が変わった際に鍵交換をしなくて済む。民泊などでスマートロックがよく活用されているのは、こうした利点があるためだ。
種類とできることを知れば、選び方が見えてくる
ここまで、スマートロックによって異なる設置方法や、解錠、施錠の方法、さらに電源やWi-Fiに接続してできることを紹介してきた。スマートロックでできることを概ね網羅したつもりなので、個々のケースごとに必要な要素や条件と照らし合わせてみてほしい。
「我が家に必要なのはこれこれ、こういうことができるスマートロック」と具体的にイメージするための手助けになれば幸いだ。
取材・文/太田百合子
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