日産自動車(以下、日産)は、集合住宅にEVの充電設備がないことがEV購入の障壁であるという調査結果を踏まえて、2023年1月、積水ハウスとともに住環境とEVのより良い関係性を目指した「+e PROJECT(プラスイープロジェクト)」を発足。
併せて住環境とEVのより良い関係性を探るべく、昨年度に引き続き、EVと住環境に関する調査を実施した。本稿では、その概要をお伝えする。
購入の際のボトルネックは購入価格より「自宅に充電設備がないこと」
EV購入を検討している人を対象に「EVの購入の検討している時期はいつ頃ですか?」と聞いたところ、直近3年以内に検討していた人は半数以上(50.6%)という結果となった。
一方でEVを購入する上で迷うポイントは、「自宅で充電できない(56.3%)」が最も多く、次いで「商品が高額(53.5%)」、「周辺の充電環境が整っていない(38.5%)」と続く。
■75.5%が「住んでいる集合住宅にEVの充電ができる駐車場がない」
「現在お住まいの集合住宅にEVの充電ができる駐車場はありますか?」という質問では75.5%がないと回答した。「わからない」という回答も含めるとその割合は82.3%にのぼり、「EV充電環境が自宅にないことは不便だと感じる」(81.8%)という回答が多い結果となった。
■将来の価値を考え「EV充電器が設置されている住まいが良い」と考える人は約8割
「EV充電器が設置されることで今後の集合住宅の価値の向上・維持に影響があると思いますか?」という質問では70.1%が「影響があると思う」と回答。
また「将来の価値を考えEV充電器が設置されている住まいが良いと思いますか?」という質問では、77.3%が「(良いと)思う」と回答した。
このことから、将来的に集合住宅の価値にEV充電設備が関わってくる、と多くの人が考えていることがわかる。
■7割以上が2025年の集合住宅等の新築建築物へのEV充電設備義務化について「知らない」
「東京都の2025年新築集合住宅等の新築建築物にEV充電設備が義務化されることについて知っていますか?」という質問では、多数が「知らない(75.3%)」と回答。
また、集合住宅にEV充電器を設置する方法も、「知っている」と回答した人は17.8%と低い結果になり、EV充電設備について、その設置方法や条例についての情報の認知不足が明らかとなった。
調査結果の考察
前回の調査では、「自宅にEV充電器がないこと」が集合住宅でのEV購入の障壁になっていることがわかった。引き続き実施した今回の調査結果では、集合住宅に住む人のEV充電設備についてのニーズの高まりを示す一方で、未だに自宅にEV充電環境がない人が7割以上にのぼり、その普及だけでなく、EV充電設備に関する情報不足や認知に課題が多いことも判明。
2025年からの東京都の新築建築物へのEV充電設備設置の義務化も迫り、今後もEVの購入意向は高まることが予想される。
これを受けて日産は、「EV充電についての認知向上や、EVに適した住環境の整備を推進していくことが、EVの普及を通したゼロ・エミッション社会の実現を目指すにあたり重要な責務であると考え、本調査結果を鑑みて、積極的にEV充電に関する課題に取り組んでまいります」とコメントしている。
調査概要
調査実施期間/2023年11月10日~2023年11月15日
調査方法 /インターネット
調査機関/楽天インサイト
対象地域/一都三県
調査対象/事前調査:23642名 本調査: EV購入検討者(保有者含)、及び集合住宅に住む30~50代男女400名
関連情報
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000065945.html
構成/清水眞希