コロナ禍以後、テレワークが定着するなど柔軟な働き方が多くの企業で導入・活用されているが、勤務時間と生活時間との区別がつけづらくなり、勤務時間外にも職場や取引先との連絡への対応を求められるといった課題も明らかになってきた。
そこで日本労働組合総連合会(略称:連合)は、勤務時間外の業務上の連絡に関する意識や実態、“つながらない権利”に関する意識を把握するために、「“つながらない権利”に関する調査2023」を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。
本稿はその中から「勤務時間外の業務上の連絡の有無について」「勤務時間外の業務上の連絡に関する意識について」の概要をお伝えする。
勤務時間外の業務上の連絡の有無について
■業務で日常的に使用しているコミュニケーションツール
まず、全回答者(1,000名)に、業務で日常的に使用しているコミュニケーションツールを聞いたところ、「スマートフォン(通話・メール)」(59.3%)が最も高くなり、「PCメール」(52.5%)、「メッセージアプリ(LINEなど)」(40.6%)、「Web会議システム」(33.5%)、「固定電話」(32.9%)、「チャット(Slack、Chatworkなど)」(26.8%)と続いた。
また、取引先とやり取りをすることがある人では「PCメール」(60.4%)と「Web会議システム」(40.7%)、「チャット(Slack、Chatworkなど)」(32.1%)が全体と比べて5ポイント以上高くなった。
■28.4%が「取引先にプライベートな連絡先を教えている」
取引先にプライベートな連絡先(会社の電話番号・会社のメールアドレス以外の連絡先)を教えているか聞いたところ、「教えている」は28.4%、「教えていない」は71.6%となった。
業種別にみると、「教えている」と回答した人の割合は、[建設業](44.4%)が最も高くなり、[学術研究、専門・技術サービス業](38.5%)、[金融業、保険業](32.7%)が続く。
■雇用者の72.4%が「勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることがある」
雇用者(942名)に、現在、勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることはどのくらいあるか聞いたところ、「ほぼ毎日」(10.4%)や「週に2~3日」(14.3%)、「月に2~3日」(12.1%)、「月に1日以下」(17.9%)などに回答が分かれ、『連絡がくることがある』は72.4%、「連絡がくることはない」は27.6%となった。
終業後や休日・休暇日など勤務時間外に職場の人から業務上の連絡がくることがある人は多いようだ。
雇用形態別にみると、『連絡がくることがある』と回答した人の割合は、正規雇用者では74.8%と、非正規雇用者(65.3%)と比べて9.5ポイント高い。
業種別にみると、『連絡がくることがある』と回答した人の割合は、[建設業](82.7%)が最も高くなり、[医療、福祉](79.6%)、[宿泊業、飲食サービス業](78.0%)が続いている。
ここで、勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることがコロナ禍前にどのくらいあったかを聴取した結果と比較すると、「連絡がくることがあった/ある」と回答した人の割合は、コロナ禍前64.2%→現在72.4%と、8.2ポイント上昇している。
■「勤務時間外に取引先から業務上の連絡がくることがある」44.2%
現在、勤務時間外に取引先から業務上の連絡がくることはどのくらいあるか聞いたところ、『連絡がくることがある』は44.2%、「連絡がくることはない」は55.8%となった。
業種別にみると、『連絡がくることがある』と回答した人の割合は、[建設業](66.7%)と[金融業、保険業](50.9%)では半数を超えている。