連載/山田美保子の「ギョーカイ裏トレンド図鑑」
最近よく聞くのが「結局、紙の手帳が使いやすい」「また紙の手帳に戻した」という話。
スケジュール管理はスマホでできるのだけれど、週間スケジュールとか月間スケジュールをサッと切り替えたり、行き来したりするには、デジタル手帳よりも紙の手帳のほうが作業が少ない……と理由に挙げる人が多い。
実は私はずっと紙の手帳派。テレビ業界や芸能界でも紙派の人が大半で、12月半ばを過ぎるとテレビ局に挨拶にくる外部業者が持ってくるカレンダーは不人気で、「ご自由にお持ちください」と記された段ボール箱に次々入れられてしまうのだが、手帳は、そういう悲しい末路にはならない。
業界で愛される『クオバディス』の手帳
なかでも長年話題を呼んでいるのが吉本興業のオリジナル手帳。近年、同社が採用しているのが『Quo Vadis』(クオバディス)である。地元フランスで〝「発明」と呼ばれたダイアリー〟として名高い手帳は、実は業界人の中で、もっとも〝お揃い率〟が高い。
その日、週のメインとなる事柄を書き留めることができるだけでなく、1週間を通じての覚書を記せて、前月、次月のカレンダーが機能的にレイアウトされている。
フランスのクオバディス社は、創始者のDr.ベルトラミが1週間見開きバーチカルダイアリーを考案して会社を設立して以来、2024年に70周年を迎える。
フランスの手帳だから、日本の祝日に貼る用のシールが付属される
■多くの人が〝指命買い〟する人気ぶり
先日、銀座の『伊東屋』にレフィルを買いに行ったところ、中央通りから本館内を抜けて、はす向かいの別館2階の『クオバディス』コーナーに、もっとも客が群がっていた。
70周年を記念したカラフルな2枚組のクリアファイルをプレゼントしてもらえるだけが理由ではないだろう。長年愛用しているため、ほぼ全員が「エグゼクティブ」「ビジネス」「プレジデント」などと〝指名買い〟。
なかには「久しぶりにカバーを新調したい」という人もいて、親切なスタッフさんが「アイコニックコレクション」を含め、さまざまなタイプを説明し、勧めていた。
■持ち歩くなら10×15cmの「ビジネス」タイプがピッタリ
私はここ数年、16×16cmの「エグゼクティブ」を使っていたのだけれど、小さめバッグの日は入らないので、家に置きっぱなしにして出先でひじょうに不便だった。
というわけで、今年は久しぶりに10×15cmの「ビジネス」に戻した。カバーは、ずいぶん前に青山の『SPIRAL』で買った、白地にゴールドのハートが散りばめられているモノを被せた。
手帳をダウンサイジングすると〝バッグ内紛失〟を起こすものだけれど、白いカバーなら、それも防げる。
ちなみに『クオバディス』のカバーマテリアルは、とにかくバリエーションが豊富。耐久性が高く、薄くてかさばらない手軽なものから、ビジネススーツにも合わせやすいスプリットレザー、さらにはゴージャスなクロコの型押しまで目移りしてしまうほど揃っている。
安くはないが1年付き合える〝いい買い物〟
カバーもレフィルも価格は決して安いとは言えないのだけれど、フランスのエスプリがただよう『クオバディス』の手帳と1年、付き合えるならば〝いい買い物〟だと私は思う。
来年の手帳をまだ買っていない方、紙の手帳に戻そうとしている方にオススメだ。
文/山田美保子
1957年、東京生まれ。初等部から大学まで青山学院に学ぶ。ラジオ局のリポーターを経て放送作家として『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)他を担当。コラムニストとして月間40本の連載。テレビのコメンテーターや企業のマーケティングアドバイザーなども務めている。