コロナ禍を機にオンラインショッピングをする人が増えてきている。たった数クリックでお買い得品を見つけ手に入れることができるが、セキュリティ面で不安を感じる人も多いのではないだろうか。
2022年、大手サイバーセキュリティ企業であるNordVPNは、オンラインショッピング習慣の安全性およびお得な買い物のために取るリスクについて、約10,000人を対象とした世界規模の調査を行った。
調査によると、氏名、生年月日、メールアドレスやクレジットカード番号といった個人情報保護の点でオンライン小売店を信用している日本人はわずか4分の1(23%)であることが示されたので、デジタルプライバシーの専門家の解説と合わせて詳細をお伝えしよう。
日本のオンライン詐欺遭遇率は他国より低い
回答者の37%は小売業者が顧客のデータを十分に保護できるとは考えておらず、39%はよくわからないと答えている。
オンライン小売店を信用している買い物客はかなり多くの個人情報を提供している。国際的に比較して、日本人は割引を受けるために自らの情報を渡す傾向が最も低い理由がここにあるようだ。
個人情報を共有するという日本の回答者は、メールアドレス(45%)と生年月日(34%)を提供する傾向が最も強いことがうかがえる。(調査では複数回答を可能とした)
国際比較すると、たとえば、イギリスの回答者の69%はメールアドレスを開示してよいと考え、ドイツの回答者の45%は生年月日を公開することに抵抗がない。
生年月日やメールアドレスだけであればそれほど価値のあるデータとは思えないかもしれないが、そこに個人氏名や住所の情報もあれば、詐欺師やID泥棒なら大混乱を引き起こすことが可能だ。
最大の脅威のひとつとして、詐欺師が金融口座にアクセスしたり、新たな口座を開設し、他人名義で詐欺を働いたり、あるいは誰かの税金の還付金を受けたりすることがある。
「多くの個人情報がSNS上で明かされ、生年月日はなりすましを行うための重要なヒントになっています。身の安全を懸念すれば、自宅住所を誰にでも教えるなんてことはしないのですから、生年月日も同じ扱いにすべきなのです。割引目当てで個人情報を簡単に渡せば、お返しとして詐欺に遭うのです」と、NordVPNの最高技術責任者であるマリユス・ブリエディス氏は言う。
調査の結果、日本人の場合すこし節約ができるかもしれないという理由で、生年月日、メールアドレスだけでなく、氏名(29%)、自宅住所(21%)、電話番号(21%)なども明かす傾向があることが判明している。
割引オファーは節約した分以上に高くつくことも
ブリエディス氏は、「あやしげなお得情報や機会に出くわした時は、疑ってかかる必要があります。あまりにいい話は、節約するどころか、むしろ損をすることのほうが多いです」と話す。
ブリエディス氏が警告する割引、無料プレゼント、無料サービス詐欺の可能性がある4つの例を紹介しよう。
・無料ギフト券詐欺:詐欺師は、ある種の偽アンケートに答えた御礼などとして、しばしば「無料ギフト券」をエサに使います。スパムメール受信者が選択を誤る可能性を高めるために、そのような無料ギフト券には、多くの場合、有名な大手ブランド名が使用されます。
・値引関連の詐欺メール:たとえば、「1月のご請求分は支払い完了されました。誠にありがとうございました。こちらが来月分の割引コードです」とクリックをうながす疑わしいリンク付きで送られてくるメールのことです。このようなメッセージの目的は、個人情報の取得であり、なりすまし被害の危険にさらすことにあります。
・「おめでとうございます、●●に当選されました!」というメール/ポップアップ:胸が高鳴る「当選通知」は、たいてい「賞金」を手に入れるために支払わなければならない手数料という罠がついてきます。その他には、偽のプレゼントを引き換えるために、さまざまな個人情報の入力を求められる場合もあります。
・大幅割引を提示する偽サイト:偽のSNS広告経由で消費者が詐欺まがいのサイトに誘導されることがよくあります。存在すらしないウェブサイトへのリンクをクリックしているのです。毎月150万もの偽サイトが作られているという調査結果もあります。
「締切間近のお買い得情報満載なメールであれ、購入をせかすサイトのポップアップであれ、完全に無視すればより安全です。詐欺師やサイバー犯罪者に対抗するには、知識が鍵となります。彼らは魅力的な割引やプレゼント、あるいは無料お試しサービスなどで消費者を引き込もうとしてくるのです」と、マリユス・ブリエディス氏は付け加える。
調査概要:本調査はNordVPNからの委託を受け、外部企業Cintが実施したもの。調査期間は、日本が2023年5月16~23日、ドイツは2022年11月7~10日、その他の国々については2022年10月25~30日です。日本、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、フランス、スペイン、オランダ、ポーランドに居住する18才以上が本調査の対象グループである。年齢、性別、居住地によって枠が設定された。
関連情報
https://nordvpn.com/ja/blog/online-shopping-research/
構成/Ara