アドレスホッパー・フェリックス・SUNDAY FUNDAY・NODの四社からなるSAAMOプロジェクトチームは、本格的な薪サウナと温冷水シャワー、電源を備えた、オフグリッド移動空間「SAAMO(サーモ)」をローンチした。
中古の大型観光バスをリノベーションして作られた移動式サウナ
SAAMOは、”Sauna as a movable oasis”の略称で、都市部でも、自然の中でも、インフラや自然環境に依存することなく、サウナ・冷水浴・休憩のセットを体験することができるオフグリッド移動空間だ。
中古の大型観光バス(日野セレガ)をリノベーションし、下部トランクには給排水タンクや給湯設備、ポータブル電源を搭載、さらに乗車部奥にはフィンランドNARVI社製の薪ストーブを備えた5名収容のサウナ室、乗車部手前には約四畳半の畳の和室空間を備えている。
既存インフラへの系統接続も可能なので、利用環境や利用人数に応じてオフグリッド/オングリッドを切り替えることが可能だ。
サウナ・冷水浴・休憩までが車内で完結できることで、天候に左右されることなく、都市や自然など場所を選ばず、あらゆる場所で”ととのう”環境を立ち上げることができる。
乗車部手前に広がる約四畳半の和室空間は、装飾や什器のないフラットな空間となっており、サウナと掛け合わせた自分好みの体験にカスタマイズして利用することが可能。
例えば、仕事をする、休憩する、瞑想する、茶を嗜む、アートを鑑賞する、などサウナに入ることで研ぎ澄まされた感性を活かしたコラボレーションを実現できる。
SAAMOチームは、地域資源を活かしたサウナ体験作りにも積極的に取り組み、移動した先々でその地域の湧水を使う、地域の植物を蒸留してアロマを作る、地域の特産品をサ飯として提供する、現地の焼き物でサウナストーンを作るなど、移動できる強みを活かした地域特有の空間体験を作っていく予定だという。
その取り組みの一環として、初期段階より島根県大田市温泉津町の「石州瓦」の技術を活かしたサウナストーンを搭載している。
来待石(きまちいし)だけの釉薬と焼成温度1350度で、職人の手によって丁寧に焼き上げられた石州瓦は、耐火・耐水・耐久性に優れた世界一丈夫とも言われる陶器瓦だ。
SAAMOは、KDDI総合研究所が推進するライフスタイルの共創イニシアチブ「FUTURE GATEWAY」*の第一弾プロジェクトとして採択され、自動運転・生体センシング・水循環など様々な技術を駆使した未来のモビリティ構想として発足された「Hoppin’ Saunaプロジェクト」を母体として、発展した事業形態だ。また、SAAMOは、経産省が主導する第五回事業再構築補助金を活用して、実装が進められた。
* FUTURE GATEWAYは、社会の中長期的課題の解消と、生活者一人ひとりに最適化されたライフスタイルの実現を目指し、将来的に一般化すると予想されるライフスタイルを先取りし、能動的に世界の制約や境界を越えていく「越境走者=t’runner(ランナー)」を中心とした多様なパートナーと共に、応用研究を推進する共創イニシアチブ。
関連情報
https://saamo.jp/
構成/Ara