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2023年のふるさと納税キーワードは「第1次産業支援」「20代」「価値重視」、来年のトレンドは?

2023.12.13

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

2023年のふるさと納税寄付動向の振り返り

全国95%の自治体が利用する日本最大級のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクが、2023 年のふるさと納税の動向と、今後のトレンド予測を発表した。

2008年からスタートしたふるさと納税は、生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度。手続きをすると、寄付金のうち2000円を超える部分については、所得税の還付、住民税の控除が受けられる。

市場規模は年々拡大しており、今年度(令和5年度)と平成22年度(2010年)を比較すると、約1.2倍に。今年度は最終的に1兆円を超えると見られている。

しかし、住民税支払い対象人数約6000万人に対し、ふるさと納税で税控除を受けている人数が約891万人で、利用率は15~17%程度にとどまっている。約8割がふるさと納税を行ったことがないことから、市場は伸びしろがあるといえる。

〇行動制限緩和に伴い、観光・体験型の人気が加速

アフターコロナ以降、行動制限の緩和から観光体験型の返礼品が非常に加速している。2023年の体験型の品への寄付件数は昨年同期比 1.2 倍に伸長。

宿泊や交通費に使用できる旅行券が含まれている「パッケージ旅」カテゴリー、チョイスPay 等が含まれる「ポイント」カテゴリーが人気となっている。

「観光」「体験型」が広がることで、寄付先に実際に足を運ぶため、ふるさと納税以外の地域への経済効果が期待でき、特産品が少なくても観光産業に強みのある自治体に、寄付募集のチャンスが広がる。

〇10月施行のルール改正に伴う「駆け込み寄付」現象

今年10月には、「地場産品基準の見直し」「ふるさと納税業務に付随する経費関連ルールの厳格化」「セット品における地場産品の価値割合を厳格化」といった、ふるさと納税に関するルール変更があった。

ルール改正を認知している人は8割になり、うち6割が10月の改正前に寄付をしている。特に毎年人気のカテゴリーでは全体的に寄付金額が増加。毎年年末にかけて寄付しているものを前倒して寄付した人が多かったとみられる。

駆け込み寄付はしたが、控除上限額まで余裕がある寄付者も多数いることから、例年通り年末に控除上限額まで寄付する人も多いとみられる。

〇海産物支援・物価高騰を背景とした寄付

今年8月に、中国が日本産水産物の輸入を全面停止したことから、主に中国向けに輸出していたホタテが余剰になり、国内で支援購入の機運が高まった。海産物支援としてのふるさと納税では、ホタテへの寄付が特に集中し、報道が出始めた時期から3週間の昨年同期比は約 3.6 倍になった。

また、漁業の事業者支援に関連して、ふるさと納税で海産物の返礼品をもらっていない人の割合は6割になり、返礼品目的ではなく純粋に寄付として利用している人も多いことがわかった。

物価高騰を背景に節約を意識した寄付も増加。トラストバンクの調査によると、半数以上が物価高を背景にふるさと納税を活用した経験ありと回答し、トイレットペーパーや卵など日常使いをする品の寄付金額が伸長している。

2023年から読み解くふるさと納税のトレンド予測

寄付者全体の返礼品選びの傾向として、お得感だけでなく、品質が高いことや地域貢献性が高いことといった、+αの価値も重要視していることがわかった。ふるさと納税を通じて「地域には高品質な特産品が多い」といった認識が広まりつつあり、SDGs などの意識の高まりも相まって、家具など毎日長く使うものを返礼品に選ぶ人も増えている。

社会情勢等の環境の変化で「暮らしに役立つふるさと納税」と「地域を応援するふるさと納税」という2つを兼ね備えたマインドの寄付者が増加し、「お礼の品がもらえてお得」「住民税の控除が受けられる」といった、経済的なメリットによる寄付行動だけではなく、より地域貢献性の高い品選びや寄付金の使い道への意識が高まることが予測される。

自然災害・世界情勢リスクにより、農業・漁業の第1次産業支援への関心が高まったことも2023年の特徴。8月下旬より国内の水産業を応援する機運が高まったことにより、魚貝類への寄付が一気に増加。また、飼料や燃油、肥料の高騰などの影響を受けた農家を支援するガバメントクラウドファンディングが開設されると、多くの寄付を集めた。

相次ぐ自然災害や世界情勢リスクに伴う日本の食を支える農業・漁業への関心の高まりが寄付行動にも結びついており、来年以降もこのトレンドは続いていくと同社ではみている。

【AJの読み】返礼品選びはその時代の世相が強く反映される

2023年の返礼品でのランキングは、1位から順に、牛肉、米、その他雑貨・日用品、ぶどう、みかん・柑橘類、りんご・梨、うなぎ・穴子・鱧、アワビ・ホタテ・他、ハム・ソーセージ・ハンバーグ、いくら・数の子・キャビア。

最も人気が高かったのは「牛肉」のカテゴリーで、次に「米」。3位に「その他雑貨日用品」がランクイン していることが2023年の大きな特徴で、昨今の物価高騰への対策として、ふるさと納税を活用する傾向が反映されている。

「アワビ・ホタテ・他」は、ここ数年 10位圏外だったところ、中国の日本からの水産物輸入禁止に対応する漁業支援で話題になり、8 位にランクインした。

返礼品選びはその時代の世相が強く反映され、寄付者の「生活者意識」と「地域への関心」が寄付トレンドを形成している。特にSNSを介した情報に敏感な20 代は、寄付行動に社会情勢が強く影響するとともに、「他者を応援する寄付」に対して他の世代に比べて積極的であり、今後、地域支援の流れをけん引する存在となっていくと考えられる。

文/阿部純子

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