アドビは、webサイトの運営に直接携わる会社員300名(従業員数300名以下の企業から150名、従業員数301名以上の企業から150名)を対象にした、「PDFファイルのアクセシビリティに関する調査」の結果を発表した。
この調査は、web上で提供されている情報やサービスへのアクセシビリティが求められているなか、12月3日から実施された「障がい者週間」にあわせ、webサイトなどで公開される企業のPDFファイルのアクセシビリティ対応について実態を明らかにするために行なわれた。
Webサイト運営者の約6割がPDFのアクセシビリティ機能を利用
PDFツールには、アクセシブルなPDFであるかを判定するためのチェック機能や、読み上げ順序の設定や文書構造のタグ付けによって、PDF内の情報を整理およびデータ化してアクセシビリティを強化する様々な機能が備わっている。
PDFを業務で利用していると回答したwebサイトの運営に直接携わる担当者に、PDFの作成・管理ツールに含まれる「アクセシビリティ機能」を業務で使ったことがあるか聞いたところ、「頻繁に利用している」が24.2%、「ときどき利用している」が35.5%と、合わせて約6割(59.7%)が利用しているという回答結果となった。
■PDFへのアクセシビリティガイドライン適用率は約6割、従業員300名以下の企業では半数以下という結果に
PDFを業務で利用していると回答した担当者に、作成・提供しているPDFコンテンツにおいて、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)などの合理的な配慮を担保するためのアクセシビリティのガイドラインが適用されているか聞いたところ、「全てのPDFに適用されている」が28.7%、「一部のPDFにのみ適用されている」が29.7%と、合わせて約6割(58.4%)の企業がアクセシビリティガイドラインを適用している結果となった。
また、従業員数別での適用率を調べたところ、従業員300名以下の企業では半数以下の46.5%、従業員301名以上の企業では70.1%と大きな差があり、大企業に比べて中小企業ではガイドラインの適用率が低い傾向にあることがわかった。
■PDFコンテンツのアクセシビリティ向上のために行っている設定の上位は、「代替テキスト」「しおり」「カラーコントラスト」の順
企業が提供するPDFコンテンツの中で、アクセシビリティに配慮して行なっていることについて聞いたところ、「代替テキストや説明文の付与(36.9%)」、「しおり/ブックマークの付与(34.8%)」、「カラーコントラストの調整(33.8%)」、「文書内に検索可能なテキストを作成(32.4%)」の順に多い結果となり、情報をアクセシブルにするための有効な手段として様々な機能が適用されていることがわかった。
「代替テキストや説明文の付与」は、画像やグラフなどの非テキストコンテンツによって伝達される情報を、スクリーンリーダーを使用して音声読み上げをする際などに必要になる。
「しおり/ブックマークの付与」は、特に情報量の多い資料において、利用者の検索性を高め、正しい順序で読み上げられるように文書構造を整理する際に重要になる。
また、「カラーコントラストの調整」により、色覚多様性に配慮した視認性の高いカラーコンテンツを作成することができる。