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民事再生か?事業譲渡か?エフ・エフ・アルファに学ぶアフターコロナにおける飲食業界の経営戦略

2023.12.10

東京都内で「淡路島と喰らえ」などの飲食店を運営していたエフ・エフ・アルファが、11月27日に東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。

この会社は、事業再構築補助金も活用しつつデリバリー生パスタ専門店「生パスタのお店 わたりあん」のフランチャイズ化を進めるなど、アフターコロナを見据えた新たな飲食ビジネスを模索していました。

それにも関わらず、なぜ突然の倒産に見舞われたのでしょうか。

倒産した飲食店がどのような道をたどるのか……が今回のテーマ

民事再生よりも事業を移転して清算した方が効率的

「エフ・エフ・アルファの民事再生法適用申請には既視感がある」と、内情に詳しい関係者は語ります。「スポンサーを見つけて事業を移転し、エフ・エフ・アルファは清算するのではないか」というのです。一般的に、飲食店の運営会社は民事再生の道を選択するよりも、事業を譲渡して清算した方がはるかに効率的なのです。

まず、エフ・エフ・アルファと、グループを形成する会社、倒産に至った背景を説明します。

今回、連鎖的に倒産したエフ・エフ・アルファと人材派遣業のマックスアルファ、プラスアルファの3社はグループ会社のような関係を構築していました。

この中のプラスアルファとかつてつながりの深かった会社が、現在もスタンダード市場に上場しているアルファグループ。アルファグループは、プラスアルファが手掛けていたモバイルビジネス部門を分離独立させて誕生した会社です。

派遣社員への給与未払いが発生

人材派遣業のマックスアルファとプラスアルファ、飲食店運営のエフ・エフ・アルファ。この3社は、資金繰りが厳しい際はキャッシュフローを補完しあうようになっていたと言われています。

マックスアルファとプラスアルファに異変が生じたのが2023年10月末。派遣登録するスタッフから、給料が支払われていないとの声が上がったのです。

2社は11月10日に東京地方裁判所から破産開始決定を受けました。帝国データバンクによると、マックスアルファの負債総額は13億5,355万円で、債権者数は2,053名。プラスアルファは12億3,898万円の負債を抱え、債権者数は599名に上ると見られています。

関係者からすると予兆はあったという

エフ・エフ・アルファだけが民事再生?

予兆はありました。2023年10月以前より、マックスアルファは社会保険料の滞納が続いており、預金などの資産を差し押さえられていたのです。

人材派遣業の場合、取引先からの入金が数か月後になることが少なくありません。派遣会社は給与を前もって支払うためにキャッシュフローが悪化しやすく、社会保険料や交通費の負担が重いという特性があります。

その点、飲食店は現金商売であり、健全なキャッシュフローを確保できます。派遣業を行うマックスアルファとプラスアルファにとって、エフ・エフ・アルファは都合の良い存在でした。

新型コロナウイルス感染拡大で飲食店が時短営業を要請された際、多くの飲食店は金銭的には健全な経営を維持できました。時短協力金を得ることができたからです。

これは多くの上場飲食企業がコロナ禍において営業赤字に陥る中、営業外収益である協力金を得て多額の経常利益を出していたことからも明らかです。

エフ・エフ・アルファもそれは同じだったでしょう。しかし、時短協力金が得られなくなってアルコール需要が本回復しなければ、経営は立ち行かなくなります。しかも3社は、グループ内でキャッシュフローの補完関係が常態化していました。結果として、それは共倒れという最悪の事態を引き起こします。

しかし、エフ・エフ・アルファだけは他の2社と明らかに異なります。破産ではなく、民事再生法の適用を申請しているのです。

淡路島の食材を使ったメニューが人気の「淡路島と喰らえ」

破産と事業譲渡の合わせ技

破産は会社の清算を行うもので、残った資産を処分して債権者などに分配します。その一方で、民事再生手続きは、裁判所の監督のもとで再生計画を立て、債権者の同意を得て再出発するもの。エフ・エフ・アルファが運営する飲食店は現在も営業しています。債務の一部減免や延期を受けた上で、再スタートを切ろうとしているように見えます。

エフ・エフ・アルファの元関係者が既視感を覚えるというのが、2009年1月に民事再生法を申請した大京フーズの一件。この会社は千葉県を中心に、和食レストラン「すしめん処大京」などを運営していました。大京フーズは、再生計画に基づいて債務の返済に向け、事業を本格再開するかに見えましたが、同年6月に再生手続きの廃止決定を受けたのです。

民事再生は、再生計画案を期日までに提出しなかったり、債権者の合意が得られなかった場合、最終的に裁判所は再生手続きの廃止決定を行います。廃止決定が行われると、会社は清算することになります。

ただし、「すしめん処大京」は、現在も別会社が運営を続けています。

破産したのに「すしめん処大京」が運営を継続しているのはなぜでしょうか。

これはスポンサーが新会社を設立し、そこに営業権などの資産を移転したため。事業譲渡を行ったのです。

破産と事業譲渡の組み合わせで最も重要なのが、譲渡のタイミング。破産前に事業譲渡を行うこともできますが、破産管財人によって否認されることがあります。事業価値を著しく低く評価するなどの不正行為を防止するためです。関係者にとって、このリスクは何としてでも避けたいという思いがあります。

事業譲渡で得られた対価は、債権者の回収対象となります。大京フーズが抱えていた負債は11億6,700万円。このときの新会社は合計36店舗を引き継いでいますが、小規模の飲食店のM&A相場は数百万円と言われており、36店舗あったとしても事業譲渡した上で清算した方がはるかに効率的でしょう。

店舗も営業を継続できるため、従業員の雇用が維持できるというメリットもあります。債権者だけが大損害を被るという構図です。

同じようにエフ・エフ・アルファも、一見すると民事再生法を適用して経営を復活させるようにみえますが、実は事業譲渡を図っている可能性は十分高いと考えられます。

忘年会シーズンが居酒屋の明暗を分けるかも?

現在、「淡路島と喰らえ」のようなアルコール業態の飲食店は同じ悩みを抱えていることでしょう。忘年会と新年会シーズンを迎えています。宴会を受注することができなければ債務の膨張に悩み、倒産を選択する飲食企業が増えてもおかしくはありません。破産、民事再生、事業譲渡……アフターコロナの飲食業界を「倒産」という視点から分析的にみても面白いかもしれません。

取材・文/不破聡

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