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日本市場に再参入をはたしたヒョンデ、躍進のカギを握る最新BEV「コナ」の完成度は?

2023.12.11

自動車業界の電動化シフトに伴って、EV市場が賑やかだ。これまでの自動車ブランドはもちろん、新興メーカーの参入も注目の的である。特に中国や韓国メーカーの躍進が著しく、コストパフォーマンスに優れるモデルが矢継ぎ早に投入されている。そのなかの一台、「ヒョンデ・コナ」が日本上陸を果たした。

兄貴分に続け

 韓国の自動車メーカー「ヒョンデ」が2021年に日本に再参入を果たしたニュースをご記憶の方も多いかと思う。その際に導入された、電気自動車(EV)“アイオニック5”や燃料電池車“ネッソ”が、デザイン性の高さも含めて強いインパクトを残していたからだ。そして、これらに続く第三の矢が新型EVの「コナ」というわけである。アイオニック5とネッソが中型クラスを担うのに対し、コナは全長4.3mクラスのコンパクトSUVカテゴリーでのシェア拡大を狙う。日本に導入されるコナは2代目にあたるモデルで、本国では2022年末に発表、23年から販売が開始され、日本では去る11月に発売となった。韓国では1.6〜2.0Lの内燃機搭載車も用意されるが、日本に導入されるのはEVのみ。これに的を絞ったことは加速する電動化の流れを汲んだものであり、ヒョンデ・モビリティ・ジャパンの明確な戦略と言えるだろう。

いわゆるB/CセグメントのコンパクトSUVとして登場したヒョンデ・コナ。車内外で電子機器を使用できるV2Lや、クルマに蓄えた電気を住宅に供給できるV2H機能を備える。

 コンパクトSUV市場という激戦区に飛び込んだコナは、身近なところではトヨタC-HRやホンダ・ヴェゼルらとサイズ的に近しいが、直接的なライバルとしては先に日本に上陸している中国のBYD製EV、ATTO 3が挙げられる。いずれにしても扱いやすいサイズの電動モーター駆動SUVを求める層にはちょっと気になる存在だろう。

 先に登場したアイオニック5が“パラメトリックピクセル”と呼ばれるデザインモチーフをふんだんに盛り込んで近未来的に仕立てられ、強烈な印象を残していたが、コナのインパクトも大したもの。車両前後にロボコップを彷彿とさせる真一文字のシームレスホライゾンランプが用いられ、各所にピクセルグラフィックの文様を配して先進性を表現している。ボディサイドの水平および斜めに走るキャラクターラインも印象的だ。それだけでコナと認識できるデザインは個性を大事にする人にとっては魅力的に映るだろう。

ボディサイドを走るキャラクターラインも印象的。アウトドアフィールドでも活躍できるよう最低地上高は151mm確保されている。

良識あふれる仕立て

 そんな個性的なエクステリアデザインに対し、インテリアはヒョンデの実直さを表現したかのようなオーソドックスなレイアウトが取られる。水平基調のダッシュボードにメータークラスターとナビゲーションディスプレイを一体化したパノラマディスプレイが目を引くいっぽうで、空調をはじめとする快適装備のスイッチやハザードなど、使用頻度の高い機能は物理スイッチとして残しているところにヒョンデの見識が窺える。それに何より運転席からの視界も良好なところがいい。

水平基調ですっきりと整理された清潔なインテリア。ドライバーズシートの見晴らしもよくスイッチ類の配置も適切で、運転しやすい環境が整っている。

 後席も同様に過ごしやすい仕立てだ。前輪駆動のEVゆえセンタートンネルはなく、床下にバッテリーを収めてフラットフロアを実現したことによって足元は広々。加えて厚みのあるシートクッションや2段階の角度調整が可能なバックレストのおかげでリラックスした姿勢が取れるのもいい。

後席の足元は広く、リクライニング機構も備わっていて、寛げる空間が確保されている。センターコンソール後端部分にはUSBポート(2口)やAC100Vコンセントも備わる。

 コナには全4グレードが用意され、スタートプライスは399万3000円からとお買い得感が強い。もっとも、ベーシックグレードの“カジュアル”は受注生産でしかもバッテリー容量が小さく一充電あたりの航続可能距離もやや短めな点は頭においておく必要があるだろう。一方で中間グレードの“ボヤージュ”や上級グレードの“ラウンジ”ではバッテリー容量が大きくなり、それに伴って航続可能距離も延び、装備の充実度が高いのが見逃せない。先進安全運転支援装備をはじめ、ARナビゲーションシステムやドライブレコーダーなども備わるから、装備面の内容を吟味して選ぶ必要があると思う。

ボンネット下には充電ケーブルなどを収納可能な容量27Lのフランクが備わる。リアのラゲッジルームは容量466〜1300L。室内の張り出しも少なく、荷物が積み込みやすい形状となっている。

熟成度が高い

 そして気になる走りっぷりはというと、まったく奇を衒ったところのない、素直なドライブフィールに好感が持てた。EVといえば、たとえば出足が鋭いようなリニアリティを強調したモデルが多いなかで、コナはあくまで内燃機関搭載車のような自然なフィールを大事にし、運転手の感性にあった加減速を行ってくれる。ドライブモードはエコ/ノーマル/スポーツ/スノーの4パターンから選択できるが、その味付けもメリハリが効いていた。特にスポーツモードでは、アクセル操作に即応してくれるEVらしい快活さが味わえるのが楽しい。回生ブレーキの効きもパドルでの切り替えによって変えられ、ワンペダル操作も可能。交通状況やナビ情報に合わせての自動調整もしてくれるという優れモノであり、どのモードでも違和感を覚えることはなかった。聞けばヒョンデ自身、2010年をもって日本での乗用車販売は終了したものの、研究開発機関は留まって市場調査や開発を行っていたという。それがやはりドライブモードのセッティングを始めとする運転におけるナチュラルさ、あるいはクルマとしての使い勝手の熟成度につながっているに違いない。

 総じてコナは十分に実用に足るコンパクトSUVに仕上がっていた。扱いやすいサイズや装備、クオリティコントロールも適切で激戦区でも戦っていける実力の持ち主だと思う。あとはいかにして自身を日本市場に売り込んでいけるかがカギとなるだろう。その意味でも今後の成長が楽しみな一台である。

コナは4グレードが用意され、スタートプライスは399万3000円から。一番ベーシックな“カジュアル”グレードはバッテリー容量48.6kWhで一充電あたりの航続距離は456km。中間のボヤージュは64.8kWhで航続距離は625km、上位グレードのラウンジ(&2トーン)は64.8kWhで航続距離は541km。充電はAC200VとCHAdeMOに対応。

(スペック)
ヒョンデ・コナ・ラウンジ
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,355×1,825×1,590mm
車両重量:1,790kg
最低地上高:151mm
最小回転半径:5.4m
駆動方式:FWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:150kW(204PS)/5,800〜9,000rpm
最大トルク:255Nm(26.0kgm)/0〜5,600rpm
WLTC電費:137Wh/km(一充電走行距離:541km)
車両本体価格:4,895,000円(税込み)

問い合わせ先
ヒョンデ・カスタマーセンター
TEL:0120-600-066

文/桐畑恒治(AQ編集部)

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