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暖冬のアウターに人気!薄手でも暖かくなる素材「プリマロフト」とは?

2023.12.10

今年の冬は暖冬で、11月に入っても都心の気温が27.5度を記録し、100年ぶりに最高気温を更新。一方で、急激に気温が低くなる日もあるなど、天気による寒暖差も大きい。そんな時代においていま買うべき冬アウターについて考えたとき、注目した素材が「プリマロフト(PRIMALOFT)」だ。

プリマロフトを取り扱うMNインターファッションの高 宏明氏に伺った。

注目素材「プリマロフト」はアメリカ陸軍発祥の洗えて軽い中綿

プリマロフトは、1987年に「天然羽毛や真綿に変わる、軽くて水濡れに強い中綿」として、アメリカ陸軍がアメリカの不織布のメーカー・Albany International Corp社に開発を依頼。アメリカ軍の備品に必要な規格、ミルスペックを満たしており、NASAのワーキングウェアなどでも使われてきた。

これまではアウトドア用途やスポーツ用品など、機能性を追求するブランドのニーズが主だったが、最近はファッションやライフスタイル系のブランドからのニーズが高まってきているという。

「プリマロフトはこれまでは“板綿”という、ジャケットなどの背裏などに面で使われるものとしてのニーズが高かったのですが、1~2年前ぐらいからダウンの代用として使う“詰め綿”としてのニーズが増えています。大きな理由が、クリーニング代の高騰。だいたいダウンジャケットならば4000円から5000円、ブランドものだと1万円前後にもなります。

一方で、近年の暖冬傾向で真冬でも汗をかく機会が増えています。そこで、ダウンジャケットでも汗をかいたら気軽に洗いたいというニーズに対し、自宅で簡単に洗える素材として注目されるようになりました」(MNインターファッション 髙氏)

プリマロフトの中綿の場合、簡単に洗えるだけでなく、自宅の乾燥機でも乾きやすく、製品の仕様によっては洗った翌日にすぐ着られるという利便性もある。そして、アメリカ陸軍が開発に関わった新素材という信頼性もあり、多くのブランドが採用。2023年度は日本国内だけでも70ブランドがプリマロフトを使った製品を販売している。

大人の女性向けのデイリーウェアを展開するMidiUmiが2023年10月JIYUGAOKA de aoneにオープンした旗艦店の店頭にもプリマロフトを使ったKEELAのアウターが並んでいるのを発見。

複数種類あるプリマロフトから性能やコストで使い分ける

誕生から36年が経ち、製品性能の向上に加え、細かなニーズに応えてラインナップも増加。同じ綿でも嵩高感や密度があるもの、ダウンのように軽くふわふわした空気感をまとったものなど素材感も多岐に渡っている。

「ブランド側でも製品に合わせて使い分けられています。大きく変わるのが暖かさと反発性能。反発感が高いものだと、コンパクト性は劣りますが、広げた際の嵩高回復性が速くなります。よりニーズに沿ったものづくりができるということも、人気が出ている理由ではないでしょうか」

同じプリマロフトの詰め綿タイプでも、左は綿っぽいが右は羽毛のように繊維が細かくなっている。

板綿タイプのプリマロフト。品番が違うと、密度や反発性や性能が異なっている。

プリマロフトを使用した製品の見分け方

では、プリマロフトを使用しているかどうかはどうやって見分ければいいのか? ブランドによっては商品の価格などと一緒につけられる下げ札にまずはそれが付属している。衣類そのものにも“ピスネーム”と呼ばれるネーム入りのタグが付けられていたり、ブランドによっては袖先やジャケットの裾などにや「PRIMALOFT」と表面に印字されている例も多い。それだけ、この素材を使っているということがブランド化されてきた証左といえる。

プリマロフトのロゴとネームがダウンのすそに大きく入れられた例。

こちらは比較的薄手のジャケットの袖先近くに入っていた。

「プリマロフトは歴史も長く、また保温性や速乾性など伝えられるコンテンツが多いので、ダウンから変わっても付加価値になる。また、現在は環境問題や動物愛護の観点から人工的に作ったものに変えようという意識もありますね」

プリマロフトでは全ての商品でペットボトルなどからリサイクルしたポリエステルを使用。また、生産段階でも2019年より二酸化炭素排出量を48%も削減する独自の製造技術「プリマロフト P.U.R.E.」を導入。また、マイクロプラスチック問題を念頭に、自然に生分解する素材「PrimaLoft Bio」を開発している。

店頭の商品に付けられているプリマロフトの下げ札には、どのタイプのプリマロフトを使用していて、どんな性能を持つものなのかがわかるようになっている。

暖冬時代のアウターのトレンドは「薄いけれど暖かくシーズン中長く使える」

年々寒暖差が激しくなり、11月でも20度台の日もあれば、例年のように1桁の低気温の日中もあるなど、室内ですごすことが多い都心でもやはりアウターは必要だ。では、そんな時代において、メーカー側はどんなアイテムを発売しているのだろうか?

「寒い時期が年々短くなっており、重衣料は11月から翌年の2月ぐらいまで着るものになっていますが、もしかすると12月からでいいとなるかもしれない。そうなると1年のうち2か月ちょっとだけ着るもののメンテナンスに5000円かけるかとなってくる。そこでやはりブランド側も衣類のメンテナンスのしやすさは重視していますね。もう1つは、プリマロフトを使っていても、厚手のダウンではなく、厚さは薄くてもしっかり防寒できるデザインが増えています」

これは天然のダウンにくらべ、プリマロフトの場合より薄い厚みで高い保温性能を持つことができるという特性が大きい。見た目は薄手のジャンパーのようであっても、高い保温性能を持つ中綿を薄く入れるだけで、見た目は薄手のアウターでも、ダウンジャケットに近い保温性能を持たせることができる。これは防寒具らしい厚手のフォルムではないことで、寒さが本格化しない時期から着まわせるメリットもある。

「シンプルなパーカーのようなデザインでも薄い中綿であれば違和感はない。見た目でも『もうそんなアウター着ているの?』という印象にならず、自然と着用期間も長くなります。もちろん、天然羽毛のダウンのニーズはハイエンドのブランドでは変わらずあります。ただ、コストやメンテナンスのしやすさから考えると、カジュアルブランドだけでなくハイブランドでもプリマロフトを導入する例が増えています」

●D-VEC WINDSTOPPER PRODUCTS BY GORE-TEX LABS インサレーションブルゾン

複数あるプロマロフト素材のなかから、フィッシングメーカーのDAIWAが展開するファッションブランド「D-VEC」のブルゾンでは撥水性のある詰め綿状の「PrimaLoft Black Insulation Thermo Plume」を採用。

リサイクルポリエステル100%からできていて、プリマロフトのラインナップのなかでもふわふわとしていて、かなり羽毛に似た詰め綿。かなり軽量なのに偏りなく空気を閉じ込めながら保持できる。

表面には防風性にも優れたGORE-TEX LABSのWINDSTOPPER PRODUCTS 2L FABRICSを使用している。
同じ素材を使ったデザインが異なるアウターもあり。

D-VEC WINDSTOPPER PRODUCTS BY GORE-TEX LABS インサレーションブルゾン  こちらのカラーはペラジックブルーで、ほかにアイスホワイトとナイトシーブラックがある。 9万6800円(税込み)

●エポカ ウォモ ポリエステルドビーブルゾン 

大人の色気をエレガントに表現するブランド、エポカ ウォモでは、2023年秋冬シーズンは積極的に薄くて軽くて暖かい高機能素材のライトアウターを展開している。

通勤用から週末の外出まで幅広く使えるきれいめなブルゾン「ポリエステルドビーブルゾン」では、中わたに高捲縮ファイバーを使うことで反発性を高め、高さを出すこともできるPRIMALOFT BLACK INSULATION RISEを使用。こちらすべてリサイクルポリエステルが原料だ。

暖かく軽さがあるのが特徴で、複数のポケットデザインが正面から見たときのインパクトともに、やや斜めにカットされているので身体のラインをシャープに見せる効果も。フードは取り外しできるので、使用シーンに合わせて雰囲気を変えられる。手洗い可能とイージーケアなのも魅力だ。表面には撥水ハイカウントポリエステルドビー生地を使用。

エポカ ウォモ ポリエステルドビーブルゾン ブラック(写真左)、カーキ(写真右) 各8万8000円(税込み)

●マッキントッシュ ロンドン 高密度ポリエステルフーデッドアウター

英国を代表するアウターウェアブランド「マッキントッシュ」の伝統を受け継ぎオーセンティックなトータルコレクションを提案する「マッキントッシュ ロンドン」でも、プリマロフトを積極的に使っている。

「高密度ポリエステルフーデッドアウター」では、身頃に「PRIMALOFT Gold Insulation with Cross Core」というプリマロフトのなかで最も高機能な板綿を使用。超極細のマイクロファイバーを使っており、風合いはソフトで圧縮性も高い。

シリーズのなかで最も保温性能も高く、NASAが開発した最軽量の個体「AEROGEL」をファイバー素材に使うことで、雨や雪などの悪天候条件下でも機能する高い断熱性と軽量感を実現している。また、袖部分には「PRIMALOFT Black Insulation RISE」を使い、ソフトな風合いと保温性が特徴の板綿を使っている。

袖はおおぶりなラグランスリーブのため、厚みのあるセーターを着ても脇部分も楽に着られる。また、静電気防止テープを使用しているので、冬に気になる静電気を帯電しにくい機能も備えている。表生地には耐久性、撥水性の高い「DICROS SOLO (R) ディクロス ソロ」を採用。独特な糸の光沢があり、ナイロンのような潤いのある艶やかさで機能性アウターでありながらエレガントな雰囲気を演出してくれる。

マッキントッシュ ロンドン 高密度ポリエステルフーデッドアウター ブラック 11万9900円(税込み)

●マッキントッシュ ロンドン ニットコンビジップアップブルゾン

袖と襟部分にニットを使ったジップアップブルゾン。身頃部分がキルティングになっていて、そのなかにプリマロフトが使われている。ここで選ばれているのは「PRIMALOFT Black Insulation」。板綿だが硬くなりすぎず、ふんわりとした風合いを保つことができる。薄手でもしっかり保温してくれるので、秋から春先まで長く使えるアイテム。キルティングには少し光沢感があるフランネル生地を使っており、大人のカジュアルスタイルにおすすめしたい。

マッキントッシュ ロンドン 二ットコンビジップアップブルゾン ブラック 7万9,200円(税込み)

平均気温の上昇、燃料費の高騰に伴うクリーニング費用アップなど、環境や社会情勢の変化に応じて進化する素材。プリマロフトが人気の理由は、商品購入について考える際に参考になるポイントが詰まっていた。

取材・文/北本祐子

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