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3代目へと進化したスズキの新型「スペーシア」「スペーシア カスタム」はワクワクが満載だった!

2023.12.06

カスタムのインテリアはホテルのラウンジのような上質で華やかな世界観

一方、カスタムのインテリアはホテルのラウンジのような上質で華やかな世界観。セミマットな質感のボルドーと光沢あるピアノブラックによる艶の差によって、もはや軽自動車のインテリアとは到底思えない上質かつ高級感溢れる雰囲気が演出されている。液晶メーターもカスタム専用で、上下にワインレッドを配色。スポーティでもある鮮やかさが印象的だ。

前席に座り、先代と大きく違う部分のひとつが、運転席の足元だ。カスタム全車と標準車のHYBRID Xセーフティプラスパッケージ装着車には、ついに、ライバルは早期に採用していたスズキ車初の電子パーキングブレーキがオートブレーキホールド機能とともに装備され、足元左側の足踏み式パーキングブレーキが消滅。広々とした足元空間になっている。もちろん、その両装備による実用性の劇的な向上も見逃せないポイントだ。

前席は使い勝手も進化している。ティッシュボックスが入る引き出し式のインパネボックスなどは先代からの継承だが、新型では新たに助手席前のビッグオープントレーを設定。スマートフォンの充電ができるUSBソケットとの位置関係も見直されているのもさることながら、大きなトレーは、後席のパーソナルテーブルとともに、テイクアウトした食べ物を置くのにも最適だ。さらにメーター上部にもポケットを完備。いたせり尽くせりの収納もまた新型スペーシアの使い勝手の良さを増幅させる。

そして3代目スペーシアのインテリアの最大のトピックと言えるのが、スズキ初採用のマルチユースフラップと呼ばれる後席の仕掛け。なんとフラップの角度、長さを調整することで、3つのモードに対応する。

まずは、ユーザーの「後席に置いた荷物がフロアに落ちないようになると嬉しい」という声に応えた「荷物ストッパーモード。フラップを上向きにすることでシート座面の”防波堤”のようになり、シート座面に置いた荷物が前方に崩れ落ちるのを抑制。フラップ位置は最大120mm伸び、荷物の大きさに合わせて調整できるのもなかなかのアイデアだ(買い物かご、2Lペットボトル6本入りの段ボール、小型スーツケースなどに対応)。

つぎに、実際に座ってみて、走行中を含めてかなり実用的と思えた「レッグサポートモード」である。後席のリクライニングを起こした状態でフラップを前方に伸ばし、脚の裏側に「マルチユースフラップ」を密着させることで、走行中の姿勢安定をサポートしてくれるとともに、後席の座面(実測480mm)が短いと感じる長身の人でも、シート座面が伸びたような着座姿勢となり、快適度は大幅にアップする。

そして、軽自動車の後席初となる「オットマンモード」だ。後席のリクライニングを倒した状態でフラップを前方や上方向に出して脚を乗せれば、まさに旅客機の上級クラスなどにあるオットマン同様、お尻にかかる負担をふくらはぎなどに分散させる効果があり、寛ぎ感がUP。ただし、実際に身長172cmの筆者が後席に陣取り、「オットマンモード」を試してみると、後席を最後端位置にセットした状態で、頭上に約270mm、膝周りに約330mmもの広大なスペースがあることもあって、これはもう快適そのもの。USBソケット(type-Aとtype-C)が後席にもあり、さらに天井サーキュレーターまで用意されているのだから、かなり贅沢な居心地となる。

ただし、走行中は脚がフロアに付きにくいため(身長や足の長さによる)、足が付かない状態ではカーブなどでの踏ん張りがきかない。ゆえに、主に駐車中にリラックスするときに有効なモードと思えたのも本当だ。眺めのいい、空気がきれいな場所に新型スペーシアを止め、窓やスライドドアを開け、「オットマンモード」にセットし、形状の見直しで進化したパーソナルテーブルを出せば、もうクルマの後席の概念を超えたリラックス空間になるはずだ。

新型スペーシアはラゲッジルームも進化。スクエアなボディ形状だけに、開口部は広く低く(開口部地上高は自転車のタイヤガイド部で510mm)、しかも、先代でさえ、クラスでもっともフラットになった後席格納時の床面はさらにフラット(角度0度)かつ、先代に対して40mmの低床化が計られ!!結果、開口部に2か所ある自転車のタイヤガイドのあしらいとともに、自転車の積載性が一段とアップしているのである(天井が高くなったため、ルーフと自転車のハンドルの間に隙間が生まれている/26インチの自転車の場合)。

もちろん、後席の前後スライドによって、ラゲッジルームの奥行は実測で最小310mmから520mmまで拡大。ちなみにそのラゲッジルームの最大奥行520mmの状態=後席最前端スライド位置でも、身長172cmの筆者が無理なく座れることを確認している。このあたりは室内空間自慢、パッケージ自慢の軽ハイトワゴン、スーパーハイト系ならではだろう。

パワーユニットは例によってすべてマイルドハイブリッドのNA(エンジン49ps/6500rpm、5.9kg-m/5000rpm+モーター2.6ps/1500rpm、4.1kg-m/100rpm)、およびカスタムにのみ搭載されるターボ(64ps/6000rpm、10.0kg-m/3000rpm、モーター3.1ps/1000rpm、5.1kg-m/100rpm)をCVTと組み合わせて用意。ちなみにターボは先代からの流用だが、NAエンジンのほうは最新のハスラーやワゴンRに積まれるR06Dユニットに刷新。結果、効率のいいCVTやライバルを圧倒する車体の軽量化などにより、クラス最上の燃費性能を実現している。数値は標準車のHYBRID GグレードのFFで新型スペーシア最高の25.1km/Lを達成。ターボもFF車で22.4km/Lというライバルを凌ぐ好燃費となる。後席の「マルチユースフラップ」の用意とともに、新型スペーシアの大きな武器になる部分と言っていい。

今回の新型スペーシア、スペーシアカスタムの実車に触れた紹介はここまで。実際に試乗し、ロングドライブをこなした試乗記、大いに進化し、ACCのカーブ手前減速制御まで加わる!! 先進運転支援機能=スズキセーフティサポートやSOSコールやトラブルサポートも用意されたスズキ コネクトなどについては、改めて報告したい。

文・写真/青山尚暉

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