気になる装着の手間は?
装着は、実際にやってみたところ、実に簡単だった。まずドーナツ状の「スノーソックス」を駆動輪(FFなら前輪、FRなら後輪。4WDは基本の駆動輪/FFベースなら前輪)のタイヤ上部にかぶせ、クルマをタイヤ半回転分動かして、タイヤ全周にかぶせ、均等になるように整えるだけ。表側にグリップが4か所付いているため、本当に装着は楽で時間もかからなかった。
とはいえ、すでに雨や雪で汚れているタイヤに「スノーソックス」をかぶせるとしたら、手先はもちろん、衣服の袖まで汚れてしまう。タイヤチェーンの装着のあるある、である。が、この「スノーソックス」には長さのある手袋が付属していて、そうした手先、衣服の袖の汚れの心配はなし。気が利いている。さすが積雪地方が多く、有名なスキー場も多いフランス発の布製タイヤチェーンらしさと言っていい。
実際に筆者の愛車に装着し、テストでドライ路面を最初はゆっくりと走ってみたのだが(これは必須)、50mぐらい試走し、正しく装着されているかを確認(これも必須)。その後、走り続けると、金属、非金属チェーンにありがちな走行ノイズはないに等しく、静かで不快な振動もなし。5kmほど走って戻ってみると、装着時よりも、遠心力によってタイヤをきれいに覆うように装着されていたのにもびっくりした。
あくまで緊急用(脱出用)で、時速40km/h以下での走行が推奨され、連続走行距離は金属チェーンや非金属チェーンのようにはいかないものの、都会の突然の降雪時における短距離走行、脱出用として常備する価値は十分にあると思えた。布製タイヤチェーンは耐久性が・・・という声もあるが、1万円台前半のリーズナブルな価格と脱着の簡便さ、常備する際のコンパクトさ、洗濯可能な点は大きなメリット。使わずに済むなら越したことはない・・・という考え方に立てば、本格的な雪道走行には適さないものの、都会のドライバー、めったに雪が降らない地方のドライバーにとっては冬季の大いなる安心、保険になりうるはずだ。なお、カラーは白。汚れが目立ちやすい・・・黒だと汚れが目立たないのでは・・・という見方もあるが、じつは、何度かつかっているうちに、あるいは雪道の間の非積雪路面を走って一部に破れが生じた際、色が白だと破れたところから黒いタイヤの色が透けて見え、コンデションを確認しやすいというメリットがあるという(スノーソックスが黒でタイヤも黒だと破れが分かりにくい)。さすが、合理性を重んじるフランス生まれの「タイヤソックス」である。
スノーソックス | カー用品のセイワ (seiwa-c.co.jp)
文/青山尚暉