中学受験は、受験者数が増加傾向にあるなど、競争激化の渦中にあるもののひとつだ。そして高まる受験熱は、新たなトレンドを生んだ。2ケタ同士のかけ算で使える、暗算ドリルが続々登場しているのだ。
そんな数ある暗算ドリルのなかで大きな話題を呼んでいるのが、小学生向けの暗算ドリル『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』(小学館)である。
岩波邦明・著
小学館・刊
一般的に、算数が苦手な児童は多い。これは令和の時代でも変わらない傾向のひとつだ。では、東京大学理科Ⅲ類を現役合格した経歴を持つ岩波医師は、一体どのようにして算数・数学が得意になったのか?
『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』の著者・岩波邦明医師のインタビューをお届けする。
〝難しい〞よりも先に〝楽しい〞という体験を!
岩波邦明さん/医師・現役スタンフォード生。1987年生まれ。東京大学医学部卒。在学中に暗算法「岩波メソッド ゴースト暗算」を開発。著書は66万部を超えるベストセラーに。
――先生は学生時代から数学(算数)が得意だったのでしょうか?
算数や数学は得意というよりも好きでした。好きの結果、得意になったという表現が正しいかもしれません。
4〜5歳頃でしょうか。たし算やひき算を教えてもらった時期に、どうやら「かけ算」というものがあると何かの本で読んだのです(笑)。かけ算のやり方がわからなかった私は、ひとりで公園の地面に数字を書いて考えていたことを今でも覚えています。
結局、かけ算の方法を自分で見つけ出すことはできませんでしたが、「数字(算数)っておもしろいな」という体験ができました。これが数学(算数)を好きになったきっかけのひとつですね。
――算数の成績は良かったけど、数学は苦手というケースもあります。
苦手意識を持っている人は、高校時代に数学の勉強でつまずいてしまった経験があるのではないでしょうか。それがかけ算なのか分数なのか、XやYといった代数を使った方程式なのか、人それぞれだと思いますが、安心して下さい。
数学が得意な人であっても、新しいことを習った時に一度で理解できているわけではないのです。まずはこのことを知ってほしいですね。
もちろん、私の場合もそうです。ただ、〝難しい〞よりも先に〝楽しい〞という体験ができたことが良かったのでしょう。
それだけではありません。算数・数学が楽しいと感じた経験は、これまでにいくつもあります。例えば、算数オリンピックや数学オリンピックに出場した時のことです。一日中考えているのにどうやっても答えにたどり着かない図形問題がありました。ふと思い立って1本の補助線を引きました。すると、さっきまで悩んでいたのがウソのように、まるで魔法のように答えを導き出すことができたのです。あの時の感動は今でも忘れることができませんし、算数・数学へさらに夢中になるきっかけになりました。
新しいことを学んでも、そうやって常におもしろさを見つけられたからこそ、算数・数学が好きになり、楽しく勉強することができたのです。(続く)
本記事特別企画「ラッキーあゆみ算(4)」の解き方を著者が動画で解説!
『小学生が99×99までスイスイ暗算できる最強ドリル』(小学館)では、2ケタ同士のかけ算全8100パターンに対応する新しい暗算法「あゆみ算」ほか、6つの暗算法「ラッキーあゆみ算」を収録している。
そこで本書で紹介している「ラッキーあゆみ算」のひとつ〝かける数が11だった場合の2ケタ同士のかけ算〟の暗算法をおよそ1分で解説してもらった。
取材・文/編集部 撮影/藤岡雅樹