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白湯、微カフェイン、低刺激飲料のトレンドから読み解く消費者のインサイト

2023.12.08

ここ数年、飲料メーカーで低刺激飲料の販売が目立っている。コロナ禍では『元気を出したい』ニーズからカフェイン入りのコーヒーやエナジードリンクなどが好まれる傾向にあったが、同時に息抜きできるようなものも求められてきているようだ。飲料メーカーはどんな背景から低刺激飲料を開発しているのか。2社のメーカーへの取材の上、探った。

低刺激な飲料がぞくぞく

「よし!エナジードリンクを飲んで仕事モードに切り替えるぞ!」

コロナ禍でリモートワークとなり、「オンオフの切り替え」や「やる気・集中力アップ」需要から飲料メーカーからはハイカフェインやエナジードリンク、高アルコール商品などの比較的「高刺激」な商品のリリースが続いた。

例えば2020年5月、サントリー食品インターナショナルが売り出したエナジードリンク「ZONe(ゾーン)」がネット上で話題になった。

現在でもその波は続いており、2023年3月に発売された同社の「ボス カフェイン」は1本当たりのカフェイン量が約200mgで、缶コーヒーの1本当たり約70~160mgと比べて約1.2倍から3倍。高刺激ニーズは衰えないようだ。

一方で、新しい潮流も生まれている。それは高刺激とは逆に低刺激のニーズに応える、微カフェインやノンカフェイン、微炭酸などの飲料だ。

特に目立ったのはアサヒ飲料の白湯のペットボトル飲料「アサヒ おいしい水 天然水 白湯」が思いのほか大ヒットし、通年販売化されたことだ。

「アサヒ おいしい水 天然水 白湯」

同社の「アサヒ おいしい水 天然水」と同じ、ミネラルを含む地層を通った天然水を温めたもの。アサヒ飲料マーケティング担当の鈴木慈氏はヒットの要因を次のように語る。

「ミネラルウォーターには『余分なものを体に入れたくない』という飲用ニーズが見られます。天然水は何も添加されていないことが明白であるため、『何が入っているのだろう』と悩んだり、情報を取りに行かなくても安心して飲むことができるのではないでしょうか。さらに、コロナ禍によるさらなる健康志向の高まりにより、白湯を飲用する習慣が生活文化に定着したことで『アサヒ おいしい水 天然水 白湯』が通年で市場に求められるようになったのでは、と考えます」

同社は2023年10月31日に、微カフェインのコーヒー商品「ワンダ SLOW TIME COFFEE(スロータイムコーヒー)」をAmazon.co.jp限定発売した。

アサヒ飲料マーケティング担当の万代文子氏は開発背景について次のように述べる。

「テレワークなど働き方の多様化により、仕事とプライベートの時間も曖昧になる一方で、個人により高い裁量が求められており、元気付けのニーズが高まっています。一方で高刺激ばかりでは疲れが出てきているようです。コーヒー飲用者の消費者インサイトを紐解いたところ、『がむしゃらに頑張る』『とにかく進む』ための『応援が欲しい』というニーズだけでなく、『寄り添ってほしい』『頑張れと言われるとつらい』など『自ら頑張れる気持ちになれること』を重視する傾向が見えてきました。そこで『ワンダ SLOW TIME COFFEE』はゆったりと自分のペースを作りながら飲める微カフェイン設計にしました」

「ワンダ SLOW TIME COFFEE(スロータイムコーヒー)」

同社の主要品と比べ、100ml当たりカフェインを55%カット。カフェインレスのコーヒーを風味のパーツとして通常のコーヒーとブレンドすることで、カフェイン量を減らしながらもほろ苦く深いコクがある味わいに仕上げた。商品名には、ゆっくりとした時間の感覚を意識しながら、自分のペースで飲んでもらいたいという思いが込められている。

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