エネルギー価格の高騰などによる様々な製品・サービスの値上げが続き、電気代が家計に与える影響が増大。政府は電気料金への補助金を延長し、家計への影響緩和に取り組んでいる。
そんな中、ダイキン工業は家庭の電力消費が年間で最も増大するといわれる冬を前に、全国の20~59歳までの男女を対象に「エアコン暖房の節電に関する実態調査」を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
自宅で使う暖房器具の第1位はエアコン、約7割が電気代を気にして使用控えを検討
「あなたが自宅で使用している暖房器具は何ですか?」と聞いたところ、78.4%の人が「エアコン」と回答した。また、自宅の暖房器具としてエアコンを使っている人を対象に「今年の冬は電気代を意識して、エアコンの使用を控えようと思いますか?」と質問したところ、約7割が「とても思う(27.3%)」「やや思う(40.8%)」と答えた。
冬の期間も多くの家庭でエアコンが使われているなか、エアコン使用者の多くがエアコンの使用控えを検討している状況のようだ。
一般的に、冬は夏よりも電気代が高くなると言われており、冬の電気代に不安を感じている人が多いことが考えられる。
ただ、暖房器具の過度な使用控えは推奨されない。ちなみにWHO(世界保健機関)は、寒さによる健康影響から居住者を守るための室温として18℃以上を強く勧告している。効果的な節電に取り組みながら、我慢せずエアコンを使うことが重要だ。
■エアコン暖房使用時に肌寒さを感じる人の約76%が「設定温度を上げている」
今回の調査では、冬にエアコンを使用している人の約65%の人がエアコン運転時にも寒さを感じており、そのうちの約76%は、肌寒くなるとエアコンの設定温度を上げていることがわかった。
エアコン運転中の肌寒さには、設定温度以外にもいくつかの原因が考えられる。
例えば、室内の湿度の低下で体感温度が下がることや、暖かい空気は上昇し冷たい空気は下降する性質によって発生する「温度ムラ」で、足元に冷たい空気が溜まってしまうことなどが挙げられる。
設定温度を上げた場合でも肌寒さは和らぐが、エアコンの消費電力の増加につながってしまう。設定温度を上げる以外にも肌寒さへの対応方法があることを意識することも大切になってくる。
■約8割の人が「冬のエアコンの設定温度を1℃下げると約10%の節電になる」ことを知らない
エアコンは、暖房時に設定温度を1℃下げると10%の節電になる(※1)といわれている。これについて知っているかどうかを質問したところ、全体の約8割の人が「知らなかった」と回答した。
肌寒さを感じるとエアコンの設定温度を上げたくなるが、その前に、加湿したり温度ムラを抑えたりすることを心がけたい。
例えば洗濯物を部屋干ししたり、加湿器や加湿機能付き空気清浄機を使ったりして加湿すると、体感温度を高められる。また、エアコンの風向を下向きにしたりサーキュレーターなどで空気を攪拌したりすると、足元に冷たい空気が溜まりづらくなる。
こうした工夫は、エアコンの設定温度を必要以上に上げずに肌寒さを抑えることに役立つ。
※1:出典 財団法人省エネルギーセンター「省エネライフスタイルチェック25」の各種行動と省エネ効果に関する調査報告書」(平成17年3月)
■エアコン暖房使用時、節電への取り組みの実施率は半数以下、「室外機周辺を掃除する」人は1割未満
エアコンの節電における基本的なポイントは、室内機、室外機ともにスムーズに空気を吸い込んだり吹き出したりできる状態を保つこと。そのため「フィルターを掃除する」「室外機周辺を掃除する」ことは重要だ。
また、熱を運ぶ量によってエアコンの心臓部である圧縮機にかかる負荷が変わるため、圧縮機への負担を減らす使い方も大切になる。
例えば「スイッチのオン・オフを控える」「風量を自動に設定する」ことなども工夫のひとつ。また、体感温度を高めるために「加湿器を使ったり洗濯物を部屋干ししたりして湿度を上げる」工夫や、室内の熱を逃がさないように「カーテンなどで部屋の断熱性を高める」工夫もおすすめだ。エアコンが部屋を暖める仕組みを知り、自宅にあった節電方法を取り入れたい。
電気代が高騰しているなか、まもなく家庭の電力消費が年間のうちで最も増大するといわれる冬本番を迎える。今回の調査では、多くの人がエアコンを使用している一方で、節電に効果的な使い方を実施できている人は少ないことが判明した。
節電に効果的な使い方をするには、エアコンが部屋を暖める仕組みや節電につながる理由を一緒に理解し、納得感を持って取り組むことが重要と言えるだろう。