【勝手にブック・コンシェルジュ 第3回】岸田文雄さんに『黄金列車』を
いやあ、大変ですねー、「適材適所」と任命した文官たちが立て続けに不祥事を起こしちゃって。公職選挙法違反の疑いで捜査の対象になっているのが柿沢未途前法務副大臣で、20代の女性とラブホ不倫したのが山田太郎前文科政務官で、10年前の性加害やカラオケ店での女性へのセクハラで追及されてるのが三宅伸吾防衛政務官でしたっけ? そりゃ「不適材不適所」と野党から非難されてもしかたありませんよねー。
世間の人たちはもう忘れてると思ってるかもしれませんけど、岸田さん、お宅が跡継ぎに据えようとしてるご長男、周囲の反対を押し切って「適材」とばかりに首相秘書官に任命しましたけど、軽薄な振る舞いが明るみに出て辞職させられたこと、安心してください、覚えてますよ。
そもそものところをお訊きしたいんですが、あなたがたって何のために政治家になろうとしたんですか? 国民を守り、よりよい社会を作るために立候補したんじゃないんですか? でも、残念! あなたからも、あなたのお仲間たちからも、高邁な志はまぁーったく感じられません。ただね、わたしはもうそんなものを文官たる政治家には望んでいないんです。自分の職務に誠実に向き合い、やるべきことを粛々とやり、責任をまっとうしてほしいだけ。
というわけで、岸田さんに何としても読んでいただきたい傑作小説が佐藤亜紀の『黄金列車』(角川文庫)なんです。
『黄金列車』
佐藤亜紀(著)
KADOKAWA