最新v9 CPUアーキテクチャに基づいて構築されたオクタコアCPUを搭載
MediaTekから、プレミアム5Gスマートフォン向けに設計された電力効率に優れたチップセット「Dimensity 8300」が登場した。
Dimensity 8000ラインアップの最新SoCであるこのチップセットは、生成AI機能、低消費電力、アダプティブゲーミング技術、高速接続性を組み合わせたもので、同社では「プレミアム5Gスマートフォンにフラッグシップスマートフォンレベルの体験をもたらします」とコメントしている。
TSMCの第2世代4nmプロセスをベースとするDimensity 8300は、Armの最新v9 CPUアーキテクチャに基づいて構築された4つのArm Cortex-A715コアと4つのCortex-A510コアを備えたオクタコアCPUを搭載している。
この強力なコア構成により、Dimensity 8300は、前世代のチップセットと比較してCPU性能が20%高速化し、ピーク時の電力効率も30%向上したという。
さらに、Dimensity 8300のMali-G615 MC6 GPUへアップグレードすることで、最大60%の性能向上と55%の電力効率向上を実現する。
また、メモリーとストレージを高速化し、ゲーミング、ライフスタイルアプリケーションの利用、写真撮影などの際に、スムーズでダイナミックな体験を楽しむことができる。
今回のローンチに際して、MediaTekのワイヤレスコミュニケーションビジネスユニットの副ジェネラルマネージャーであるYenchi Lee氏は、次のように述べている。
「MediaTekの最適化されたDimensity 8000シリーズは、フラッグシップモデルクラスのメモリーや高速化されたAI機能などを提供します。ユーザーはアクセシビリティと最高の体験のどちらか一方を犠牲にする必要がなくなり、すべてを手に入れることができます。
Dimensity 8300は、プレミアムスマートフォンの新たな可能性を切り開き、効率性を損なうことなく、AI、極めて臨場感のあるエンターテインメント、シームレスな接続性をユーザーに提供します」
■前モデルであるDimensity 8200と比較して、INTおよびFP16計算が2倍、AI性能が3.3倍に向上
MediaTek Dimensity 8300は、チップセットにAPU 780 AIプロセッサを統合し、生成AIをフルサポートする初のプレミアムクラス向けSoCだ。
APU 780との統合によって、Dimensity 8300は最大10Bの大規模言語モデル(LLM)を活用する革新的なアプリケーションの構築や、画像生成AI「Stable Diffusion」を適用した製品の開発が可能になる。
APU 780は、MediaTekのフラッグシップSoCであるDimensity 9300と同じアーキテクチャを採用しており、前モデルであるDimensity 8200と比較して、INTおよびFP16計算が2倍、AI性能が3.3倍に向上。
AI機能は、MediaTekの14ビットHDR-ISP Imagiq 980と組み合わせることで、プレミアムスマートフォンの写真・ビデオ撮影を新たな次元への進化が期待できる。
ユーザーは、Dimensity 8300の高度な電力効率設計により、4K60 HDRでより鮮明なビデオを撮影し、長時間録画することが可能だ。
またバッテリー駆動時間をさらに最適化するため、MediaTekの次世代HyperEngine適応型ゲーミングテクノロジーにより、省電力性が向上した。
独自のパフォーマンスアルゴリズムを活用したDimensity 8300は、CPU処理の増減にインテリジェントに適応。デバイスの温度を監視することでゲームプレイを最適化しながらデバイスを冷却でき、フルFPS、低遅延、シームレスなレンダリングなゲームをユーザーが楽しめるようにする。
Dimensity 8300は、3GPP Release-16標準の5Gモデムを内蔵し、超高速通信に対応。このモデムは、状況に応じた最適化を行ない、電波が弱い環境でも接続性を向上させる。
これにより、サブ6GHz帯の性能向上と通信範囲が拡大して、より信頼性の高い接続が可能になる。モデムは3CCキャリアアグリゲーションに対応し、下り最大5.17Gbpsの速度を実現する。
Dimensity 8300を搭載した5G機器は 2023年末から世界各国で発売される予定だ。
構成/清水眞希