引退危機から復活した宮市、ピッチ内外で影響力のある鈴木優磨
●5位…宮市亮(30歳、横浜F・マリノス/FW)
4度目の手術を乗り越え、獅子奮迅の働きを見せた宮市亮(筆者撮影)
中京大中京高校を卒業した2011年1月から欧州挑戦を続け、2021年7月に横浜で初めてJリーグのキャリアをスタートさせた宮市亮。2022年には10年ぶりの日本代表復帰を果たすなど、上昇気流に乗りつつあると思われた。しかしその代表活動中の日韓戦で右ひざを負傷。4度目の手術を強いられた挙句、全治8か月と診断された。
常人であれば、その時点で即座に引退を決断してもおかしくなかったが、彼は周囲の励ましを力にして復帰を決意。厳しいリハビリを経て、今年5月に公式戦に戻ってきた。
そしてリーグ17試合に出場し3ゴール。最終的に横浜は神戸に振り切られ、J1連覇を逃したが、宮市は本職の左ウイングのみならず、左SBでもプレー。献身的にチームのために戦った。その頑張りは多くの人々に大いなる勇気を与えたはず。こういう選手がいることを改めて多くの人に知ってほしいものである。
●4位…鈴木優磨(27歳、鹿島アントラーズ/FW)
ヤンチャな一面も含め、つねに注目される鈴木優磨(左から2人目=筆者撮影)
2019年夏から2年半在籍したシントトロイデンから2022年1月に古巣・鹿島に復帰し、常勝軍団復活を誓った鈴木優磨。尊敬する小笠原満男(鹿島アカデミーアドバイザー)がつけていた40番を背負い、今季は数多くの試合でキャプテンマークを巻いてプレー。ここまでJ1得点ランク6位の13ゴールを挙げるなど、鹿島攻撃陣をリードしてきた。
今の鹿島は鈴木優磨しか傑出した得点源がいない状態。相手チームから徹底的にマークされたが、それでも数多くの得点を奪ったところは評価に値する。
鈴木のもう1つのポイントはインパクトの大きな言動。時には批判を浴びることもあるが、派手なパフォーマンス含め、今のJリーグを盛り上げられる数少ない人材の1人なのは間違いない。キャラの濃さ、注目度の高さも含め、あえてトップ5にランクインさせた。来季は何としてもタイトル獲得を現実にしてほしい。
欧州で挫折した武藤の復活劇
●3位…武藤嘉紀(31歳、ヴィッセル神戸/FW)
FC東京時代の2014・15年に連続して2ケタゴールを挙げ、名門・チェルシーからも食指を伸ばされたことのある武藤嘉紀。2015年夏からドイツ・イングランド・スペインでプレーし、2021年夏には神戸で再出発を切った。
欧州6年間は持てる能力を全て発揮できたとは言い切れず、神戸移籍後の2021・2022年も1ケタゴールにとどまっていたが、今季は大迫勇也との2枚看板で点を取りまくり、ここまで10ゴールをゲット。初タイトルを引き寄せた。
夏場には肺炎をこじらせたような息苦しさを覚えながらも、休むことなくフル稼働した。そうやって戦い続けたのも、若い頃にケガで何度もチャンスを棒に振ってきたからだろう。武藤は30代になってようやく確固たる成果を残すことに成功したのである。